ランドスケープエコロジー

担当教官(所属、所在)
國崎貴嗣(農林環境科学科 森林科学講座 2号館4階415号室)

対象学生 科目の種別 開講学期 単位数
農林環境科学科
 地域マネジメント学講座2年次
講座科目
選択
後期2単位
農林環境科学科
 森林科学講座3年次
 地域環境デザイン学講座3年次
講座外科目
選択

授業の目標
 人間を含む生き物すべては生態系の一員である。この生態系を扱うのが生態学であり,生態系内部での構造や機能を学問の対象としてきた。そのため,個々の生態系は隣接する生態系からはまったく影響を受けない独立の系として扱われてきている。しかし,実際には,物質・水循環や動物の移動,撹乱の伝播などを通して,互いに影響を及ぼしあっているのが一般的である。こうした生態系間の相互作用を理解するためには,生態系の複合体に相当するLandscapeを対象にすることが必要である。このLandscape内で生じる様々な生態学的現象を,その空間的構造の特性を考慮して解明しようとするのがLandscape Ecology(以下,LEとする)である。この講義では,Landscapeレベルで生じている様々な現象を,LE的観点から理解することを目標とする。

概要と計画
 総論では,Landscapeの定義,時空間スケールという見方を整理した上で,LEの必要性,目標,基本的手法について解説する。また,Landscape形成における撹乱の重要性についても実例をまじえ解説する。
 各論では,陸域の大部分を占める農山村,森林,河川,都市を例に,Landscapeレベルで生じる現象のいくつかについて解説する。さらに,LEの出口の1つとして期待される,環境保護,生物保全への貢献について,Landscape管理との関わりから議論したい。

総論
 第1回 LEに関する用語の定義
 第2回 時空間スケールによる現象の整理
 第3回 LEとは
 第4回 Landscapeの形成と撹乱
各論(Landscapeの構造)
 第5回 農山村地域のLE
 第6回 森林域のLE(小地形レベル)
 第7回 森林域のLE(微地形レベル)
 第8回 河川流域のLE
 第9回 都市域のLE
 第10回 盛岡周辺のLandscape構造の変遷
各論(Landscapeの機能)
 第11回 物質・水循環とLandscape
 第12回 動物の生息地とLandscape
試論
 第13回 環境保護とLE
 第14回 生物保全とLE
 第15回 Landscape管理

教室外の学習
 レポート作成にあたっては講義資料だけでは全く不十分であり,複数の本を読む必要がある。具体的な分野については講義のつど,指示する。

教科書、参考書
参考書:
 沼田 眞編著,「景相生態学」(朝倉書店,1996)
 日本造園学会編,「ランドスケープエコロジー」(技報堂出版,1999)

授業の形式
OHPを用いて授業を行う。また,OHPと同じ資料をできる限り配布する。

成績評価の方式
期末レポート(60%)および授業時提出のミニレポート(40%)により評価する。

履修に当たっての留意点
・講義内容に関する質問は授業中,研究室にて随時受け付ける。
・この科目は知識の獲得より,LEの見方・考え方を理解してもらうことに重点を置いて講義する。そのため,講義で紹介する個別現象(例えば森林動態,動物の生態な ど)を深く理解するためには,この講義だけでは十分でない。各自このシラバスを参考に,自分が必要と考える科目を積極的に受講して欲しい(第1回目の授業でアドバイスする)。