森林更新生態学

担当教官(所属、所在)
橋本 良二 農林環境科学科、2号館3階

対象学生 科目の種別 開講学期 単位数
農林環境科学科
 森林科学講座2年次
講座科目
選択
後期2単位

授業の目標
多くの生物種がそうであるように,樹木は集団を形成して生活するのが普通である.そこでは,環境からの資源獲得の競合が起こり,様々な要因で進行する優占種の交代も見られる.森林がどのような種組成や個体群構造をもって群落を形成し,どう変わろうとしているかを理解することは,森林の取り扱いを考える上で最も重要なことである.森林群落の分布と環境,個体群の構造と動態,物質経済など,森林の更新と関連づけて,林木集団の諸性質を学ぶのが,この授業の目標である.

概要と計画
陸上でどのような森林がどのように広がっているかは,温度と降水量の分布で決まり,森林帯が形成される.しかし,ミクロな視野に立てば,主として地形因子にもとづく土地的影響が大きくかかわっている.どこに行けばどんな森林があるかを考えることは,実に興味深い.この授業では,森林の更新機構を掘り下げて考える意味で,まず森林植生と環境要因および森林植生の生態的遷移について学ぶ.そして,更新の持続性との関連で,森林の物質生産や物質循環系のメカニズムについて学ぶ.

第1回 森林生態系(共同体とニッチ)
第2回 気候・群系・フロラ
第3回 群系分類(熱帯多雨林,雨緑林,照葉樹林)
第4回 群系分類(硬葉樹林,夏緑林,針葉樹林)
第5回 わが国の森林植生(森林帯の水平分布と垂直分布)
第6回 わが国の森林植生(亜熱帯林,暖温帯  林,冷温帯林,汎針広混交林)
第7回 わが国の森林植生(太平洋側と日本海側,土地的条件の影響,二次林)
第8回 森林の発達と更新(遷移類型)
第9回 森林の発達と更新(生態遷移系列)
第10回 森林の発達と更新(遷移に伴う諸変化と更新機構)
第11回 森林の物質生産(現存量と純生産量)
第12回 森林の物質生産(光エネルギー利用効率)
第13回 森林物質循環系
第14回 総括(造林学へのアプローチ)

教室外の学習

教科書、参考書
教科書は使用しない.参考書には,「森林生態学」(堤 利夫編,朝倉書店),「日本の森林植生」(山中二男,築地書館),「植物の生態」(田川日出夫著,共立出版)があり,図書館に所蔵.

授業の形式
講義を主体とし,授業内容の要約および関連の図表等を資料として配付する.必要に応じ,スライド,OHPを使用する.

成績評価の方式
総括的なレポートを課し,問題意識と理解度の面で評価する.出席状況を評価の基準に加えている.

履修に当たっての留意点
森林造成学(2単位)の基礎及び発展科目.