レオロジー

担当教官(所属、所在)
三浦 靖

対象学生 科目の種別 開講学期 単位数
農業生命科学科
 食品健康科学講座2年次

農林環境科学科
 リサイクル生物生産工学講座2年次
講座科目
選択
前期2単位

授業の目標
あらゆる物質または物体は変形と流動を生じるので,工業においては素材の力学的性質が製造・加工における作業性,最終製品の品質などに影響を及ぼす。レオロジー(rheology)とは,物質または物体の変形と流動を取り扱う科学であり,変形と力と時間との関係を明らかにして変形を明確に記述するという現象論的な目的と,分子構造や微細構造と変形あるいは力学的性質との関係を明らかにしようとする物性論的あるいは材料科学的な目的とがある。したがって,レオロジーでは弾性学,塑性学,流体力学,統計力学などの力学関連科学,物理化学,高分子科学などについての知識も要求される。本科目では,変形と力と時間との関係,主に食品素材と食品を対象にして力学的性質と構造ならびに嗜好性との関連性を修得することを目標とする。

概要と計画
レオロジーで用いられる基本的用語と各種の原理・法則を解説する。
第1回 レオロジーとは何か?
 第2回 典型的な弾性変形(1):弾性率の種類と機構
 第3回 典型的な弾性変形(2):理想ゴムの構造と弾性率 
 第4回 理想的な流動変形(1):Newton流動
 第5回 理想的な流動変形(2):非Newton流動
 第6回 典型的な静的粘弾性変形(1):粘弾性模型
 第7回 典型的な静的粘弾性変形(2):緩和スペクトル,遅延スペクトル  
 第8回 典型的な動的粘弾性変形(1):正弦応力
 第9回 典型的な動的粘弾性変形(2):正弦ひずみ
 第10回 時間換算測,合成曲線,WLF則
 第11回 非線形粘弾性
 第12回 破壊
 第13回 最近のレオロジー研究の話題
 第14回 食品の嗜好性と食品テクスチャー
 第15回 成績評価

教室外の学習
講義前に教科書を用いて当該内容を必ず予習すること。

教科書、参考書
テキスト:「レオロジー基礎論」(村上謙吉,産業図書,1991年)
参考書:「おいしさのレオロジー」(中濱信子ら,弘学出版,1997年),「ポピュラーサイエンス キッチンで体験 レオロジー」(尾崎邦宏,裳華房,1996年),「やさしいレオロジー工学」(種谷真一,工業調査会,1992年)「化学者のためのレオロジー」(小野木重治,化学同人,1982年),,「食品の物性学ーレオロジーとテクスチャー」(川端晶子,建帛社,1989年)「高分子と複合材料の力学的性質」(L.E. Nielsen,小野木重治訳,化学同人,1982年),"Engineering Properties of Foods"(2nd Ed., Ed. by M.A. Rao and S.S.H. Rizvi, Marcel Dekker, 1995年)など。

授業の形式
講義を主体とするが,必要に応じてOHP,VTR等を利用する。

成績評価の方式
平常点(出席状況,授業態度)50点と学期末筆記試験50点とを合計し,60点以上を合格とする。

履修に当たっての留意点
本科目は3年次前期の「食品工学実験」の基礎となるので,「食品工学実験」を履修する場合には本科目を履修することが望ましい。