食品衛生学

担当教官(所属、所在)
塚本知玄(農業生命科学科・食品健康科学講座:農学部4号館3階306室)

対象学生 科目の種別 開講学期 単位数
農業生命科学科
 食品健康科学講座3年次
講座科目
必修
前期2単位
農業生命科学科
 動物科学講座3年次
講座外科目
選択

授業の目標
 日本が世界一の長寿国となった原因の一つは,戦後の衛生環境の飛躍的改善があげられる。食品分野に関しても,貯蔵加工法の進歩や広域物流システムの構築等により食中毒が激減した。しかしその一方で,新技術利用と国際化社会に起因する新たな諸問題が発生し,安全で安心な食生活を求める動きが活発となってきている。
 本授業は,栽培(増殖),生産,製造から最終消費に至るまでの過程で起こりうる食品由来の危害因子の理解を通じ,食品の安全性や健全性を確保するための手段や方法を考えるための基礎知識を身につけることを目標とする。

概要と計画
<第1回> 1.食品衛生の概念と食中毒発生状況
<第2・3回> 2.自然毒による食中毒 (動物性自然毒,植物性自然毒)
<第4・5回> 3.有害物質による食品汚染 (カビ毒,農薬,ダイオキシン,有害金属,その他)
<第6・7回> 4.食品添加物 (規格と基準,表示,安全性評価)
<第8回> 中間試験(45分間)並びに解説
<第9・10回> 5.微生物による食中毒a.ビブリオ菌 b.サルモネラ菌 c.ブドウ球菌 d.ボツリヌス菌e.ウエルシュ菌 f.セレウス菌 g.リステリア菌 h.腸管出血性大腸菌i.SRV(ウイルス) j.クリプトスポリジウム(原虫) k.その他
<第11回> 6.寄生虫感染 (魚介類由来,肉類由来,生野菜類由来)
<第12回> 7.食品汚染指標細菌と食品の腐敗判定
<第13・14回> 8.食品衛生行政 (食品衛生法,HACCP,食品衛生監視員)
<第15回> 期末試験(45分間)並びに解説

教室外の学習
1.予習課題: 市場に出回っている各種食品について日頃から関心を向け,食品の表示内容(品名,原材料と添加物,賞味期間等)を確認しておくこと。
2.復習課題: 授業で出た内容についてあらためて市場の各種食品を観察し,食品の安全性・健全性を確保するための手段や方法の実状を確認すること。

教科書、参考書
<テキストと教材>
 必要な資料等は,その都度,授業時間に配布・回覧する。
<参考図書>
 1.「食品衛生学」 山中英明・他著 恒星社厚生閣(1999)¥2500
 2.「食品衛生学 改訂版」 廣田才之編 共立出版(2000)¥3000

授業の形式
講義は対話形式で進める。受講者全員に毎回質問する。

成績評価の方式
<方法> 中間試験50点+期末試験50点+平常の成績30点(出席点1×14回+授業中の質疑応答内容+1〜−1点×16回分)の総合得点で評価する。平常の成績点は,期末試験の前に各自に連絡する。
<基準> 総合得点が,70点以上で優,69〜50点で良,49〜30点で可,29点以下は不可とする。

履修に当たっての留意点
1.基礎生化学,食品化学,微生物学概論を予め履修し,理解しておくことが望ましい。
2.絶えず新しい技術や方法が開発されるため,必ずしも前年と同じではないので注意すること。