潅漑排水工学

担当教官(所属、所在)
三輪 弌(農林環境科学科地域デザイン学講座,1号館3階313号室)
倉島栄一(農林環境科学科地域デザイン学講座,1号館3階312号室)

対象学生 科目の種別 開講学期 単位数
農林環境科学科
 地域環境デザイン学講座3年次
講座科目
必修
後期2単位

授業の目標
「水資源プランニング」で学習した水資源利用のうち,農業用水として開発され,管理運用される灌漑用水に関して,水源問題と必要水量を中心に学ぶ.また,低平地での排水の必要性を学び,潅漑排水のための施設計画と管理上の問題点についても理解を深めることを目標とする.
 学期の後半では,実際の灌漑排水事業のいくつかの例を取り上げ,調査・計画の進め方や事業完成後の維持・管理のやり方などの技術を身につけ,現状の問題点を分析する力を養成することを目標とする.

概要と計画
(1) 灌漑用水の水源問題    灌漑の水源は,主として降雨に基づくが,降雨は地域的にも時期的にも大きく変動する.日本と世界各地の水資源の特性を比較し,日本の灌漑の現状とその歴史的な発展を学習する.
(2) 農地の灌漑に必要な水量    農地の灌漑のためには,米など作物の生育に必要な水量のほかに,地下に染み込む水量や各農地に配水するための水量も必要になる.一方,広い地域を考えれば,用水の反復利用も可能である.このような灌漑
用水の実態と水田開発などのための用水量の決め方について学ぶ.
(3) 灌漑・排水システムと施設    灌漑・排水のために必要な施設として,ダムや堰,用水路,排水路,分水工などがある.
それらの施設の役割,備えるべき構造,設計の基本などを学ぶ.
(4) 灌漑排水事業の実例    大学近傍の事業例(岩手山麓,雫石川沿岸,山王海など)を取り上げ,調査・計画・設計の実際と,その後の維持管理の現状,問題点を学習する.
第1回   灌漑排水の目的と方法
第2〜4回   灌漑用水の水源問題
第5〜7回   農地の灌漑に必要な水量(純用水量,管理用水量,有効雨量,反復利用)
第8〜10回   灌漑・排水システムと施設
第11〜14回  灌漑排水事業の実例
第15回   期末試験

教室外の学習
 具体的な事例について,各自,情報・資料収集し,問題点と改善策をまとめてレポートを作成する.

教科書、参考書
必要に応じて,プリントを配布する.
参考書:「北上川水系農業水利誌」(農業土木学会 40,000円)

授業の形式
スライドやOHPを使う.事業の実例に関しては,配布した資料に基づき,受講生から報告させ,コメントを加える.

成績評価の方式
期末試験(50%)とレポート(50%)によって合否を判定し,成績をつける.
60%以上を合格とする

履修に当たっての留意点
実際の灌漑排水事業に興味を持って,自ら進んで調査・研究する積極性が望まれる.