食品化学実験

担当教官(所属、所在)
小野伴忠(農業生命科学科・食品健康科学講座:農学部4号館3階302室)
塚本知玄(農業生命科学科・食品健康科学講座:農学部4号館3階301室)

対象学生 科目の種別 開講学期 単位数
農業生命科学科
 食品健康科学講座3年次
講座科目
必修
前期1単位
農業生命科学科
 動物科学講座4年次
講座外科目
選択

授業の目標
 食品の味や食感は、その主要構成成分であるタンパク質、糖質,脂質の性質により大きく左右される。これら主要成分の取り扱い方法に関する知識や技術の修得は、食品産業にたずさわる技術者・研究者として不可欠である。本実験の目標は2つ。第一は、食品中のタンパク質、糖質,脂質成分の分離・精製・同定法に関する原理の理解と基礎技術の修得。第二は、加工によるこれら成分の変化を検討する際に用いられる機器分析・物理化学的分析に関する原理の理解と基礎技術の修得である。

概要と計画
1.タンパク質: 卵よりアルブミンを分離・精製し,その分子量,アミノ酸組成,その熱力学的性質等について電気泳動,クロマトグラフィー,示差走査熱量計などにより解析する。これらの実験では各種分析機器の使用とパソコンによるデータ解析を行う。
2.脂質: 動植物組織より油脂を抽出し,ケン化,メチルエステル化後,その脂酸組成をガスクロマトグラフィー(GC)及びマススペクトル(MS)により定性・定量する。
3.糖質: ジャガイモからデンプンを取り,そのデンプンを加水分解しグルコースを得る。さらにグルコースのアセチル化を行う。これら一連の構造変化を赤外線スペクトル分析により確認する。

第1回 実験講義、実験準備
第2回<タンパク質> 卵白アルブミンの調製
第3回 アルブミンの調製と透析
第4回 タンパク質の定量
第5回 凍結乾燥
第6回 ポリアクリルアミドゲル電気泳動
第7回 SDS電気泳動
第8回 測光分析を用いたTyr, Trpの定量
第9回 卵白アルブミンの加熱変性実験
第10回<脂質> 油脂の抽出,ケン化・メチル化
第11回 GC−MSによる脂肪酸組成分析
第12回<糖質> ジャガイモデンプンの調製
第13回 デンプンからのグルコース調整とグルコースのアセチル化
第14回 赤外スペクトルによる確認
第15回 まとめ・後片付け

教室外の学習
 グループによる実験実施計画の立案,並びに個人によるレポートの作成。

教科書、参考書
1.「食品化学実験の手引き」 小野伴忠・塚本知玄著 食品化学研究室(毎年更新)
2.「新生化学実験講座1 タンパク質の化学T」日本生化学会編 東京化学同人
3.「農芸化学実験書 第二巻」 京大農芸化学教室編 産業図書

授業の形式
 実験講義で実験の原理や手法を説明する。また、講義は実験の待ち時間等に適宜行う。個人で進める実験と3〜4人のグループで進める実験があるが、いずれも、実験中の質疑応答が重要となる。得られた結果に基づいてレポートを作成し提出してもらう。

成績評価の方式
<方法> 目標達成の程度は、各自の実験実施状況とレポート内容から、総合的に評価する。実験技術は、実際に自分で実験を行い結果を出すことで自ずと修得できる。原理の理解の程度は、実験中の質疑応答状況とレポート内容で評価する。
<基準> 優:理解し技術修得できた。良:技術修得できたが理解が不十分。可:技術修得できたが理解できていない。不可:技術修得が不十分、又はレポートを提出しない場合。

履修に当たっての留意点
1.時間割通りには行われないので、担当教官の指示を受けること。
2.実験操作を覚えることも大事だが、実験や操作を理解することがより重要である。講義を聴き、テキストをよく読み、不明の点は質問すること。