食品保蔵学

担当教官(所属、所在)
塚本知玄(農業生命科学科・食品健康科学講座:農学部4号館3階301室)

対象学生 科目の種別 開講学期 単位数
農業生命科学科
 食品健康科学講座3年次
講座科目
選択
後期2単位

授業の目標
 ある時期ある場所で大量に収穫された食糧は,人が利用できない状態(腐敗状態)にならないよう,それを長期にわたり貯えるための多くの工夫が施されている。この工夫は食品保蔵技術の典型例である。できたての料理は美味しいと言われる。しかしながら,それを多くの人々(例えば日本全国の1億人以上の人々)に提供しようとすれば,その美味しさを保持するためのさまざまな工夫が必要となってくる。このような工夫を支える理論も食品保蔵技術の一つである。本科目は,食品保蔵の社会的意義を理解し,食品の性質に応じた食品保蔵の理論と手法を修得することを目標としている。

概要と計画
第1〜2回   1.食品保蔵の概念
          歴史的観点から・食品保蔵の役割・安全安心な
          食糧供給システム
第3〜6回   2.食品劣化に関わる環境因子
          温度・水分・pH・電磁場・酵素・その他
第7回       中間試験(30分)・解説
第8〜10回  3.微生物の制御
          殺菌・静菌と除菌・バイオプリザベーション・
          ハードル理論・包装他
第11〜14回 4.各種保蔵の実際:原理と問題点
          低温貯蔵・CA貯蔵・乾燥・塩蔵・缶詰ビン詰・
          くん製・その他
第15回      期末試験(45分)・解説

教室外の学習
1.予習課題
 市場に出回っている各種食品について日頃から関心を向け,食品の種類,保存の温度,包装形態等と賞味期間との関係等を確認しておくこと。
2.復習課題
 授業で出た内容についてあらためて,市場の各種食品を観察し,実際の現場での手法やその背景となっている理論を再確認すること。

教科書、参考書
<テキストと教材>
 必要な資料等は,その都度,授業時間に配布・回覧する。
<参考図書>
 「食品保蔵学」野中順三九・他著 恒星社厚生閣(2000)¥2500
 食品保全研究シリーズ4「食品微生物制御技術の進歩」
 日本食品保全研究会編 河端俊治・他監修 中央法規出版(1998)¥2500
 「食品の殺菌−その科学と技術−」高野光男・他著 幸書房(1998)¥7200
 食品成分シリーズ「タンパク質の科学」鈴木敦士・他編 朝倉書店(1998)¥4300
 シリーズ食品の科学「野菜の科学」 高宮和彦編 朝倉書店(1993)¥3700

授業の形式
講義は対話形式で進める。受講者全員に毎回質問する。

成績評価の方式
<方法>
 中間試験+期末試験+平常の成績30点(出席点1×14回+授業中の質疑応答内容)の総合得点で評価する。平常の成績点は,期末試験の前に各自に連絡する。
<基準>
 総合得点80点以上:優,79〜70点:良,69〜60点:可,59点以下:不可。

履修に当たっての留意点
1.基礎生化学,食品化学,植物食品学,栄養化学,食品加工学,微生物学概論,食品衛生学,動物食品学を履修し,理解しておくことが望ましい。
2.絶えず新しい技術や方法が開発されるため,必ずしも前年と同じではないので注意すること。