環境微生物学

担当教官(所属、所在)
若尾紀夫
 農業生命科学科・生物機能科学講座・応用微生物学研究室
 農学部4号館2階203

対象学生 科目の種別 開講学期 単位数
農業生命科学科
 生物機能科学講座3年次
講座科目
選択
後期2単位
農業生命科学科
 食品健康科学講座年次指定無し
講座外科目
選択

授業の目標
地球が誕生し, まもなく(微)生物が発生する. それ以来, 地球上の生態系は平衡状態にあり,すべての生物と環境との間では恒常性が保たれ, 物質循環は円滑に行われてきた.それには, 天文学的な種類と数の微生物群が関与し重要な働きをしている.微生物が生息していなければ動植物の遺体は分解されずに, 地球上は不気味な世界になる. 微生物は,人やその他の生物の暮らしている地球環境をちょうど良いような状態に保つために種々の重要な働きをしている. ここでは, 自然環境における微生物の働きをさまざまな側面から考える.

概要と計画
導入として地球上に原始生命体(微生物)がどのように発生したか, 地球環境と微生物とは相互にどのような関係を保ちながら進化してきたかを述べる.次いで, 現在分かっている環境微生物の世界−微生物の種類・機能・生活様式の多様性−について述べる.さらに,地球レベルでみた物質(主に炭素・硫黄・炭素など)循環と微生物の働き, 実験室的純粋培養系ではみられない混合微生物系の成り立ちと意義について説明する.農薬や環境ホルモンなどの化学物質は生物や生態系に深刻な悪影響を及ぼしているが, そのような広範囲の地球規模での人為的環境汚染と微生物による環境修復の問題を学ぶ.

*地球の誕生と生命の発生・地球と生物の共進化
*環境微生物の種類    
*微生物の機能と生活様式の多様性
*自然界における物質循環と微生物との関係
  (窒素・硫黄・炭素・その他の元素)
*自然界での微生物混合系と微生物の遷移
*地球環境の汚染と微生物・環境汚染の自然浄化
 機構
*環境バイオテクノロジーの発展
*微生物による環境修復
*遺伝子工学と環境微生物
*農業と微生物




教室外の学習

教科書、参考書
教科書は使用しない.参考書:微生物科学 第4巻(生態)(柳田著, 学会出版
センター), 微生物生態入門(服部著, 東大出版会), 入門生物地球化学(山中著,
学会出版センター), 土の微生物学(服部・宮下著, 養賢堂)

授業の形式
講義を主体とする.

成績評価の方式
成績の評価は, 出席・レポート提出・期末試験の結果で総合的に行う.

履修に当たっての留意点
微生物学概論・微生物生理機能学の履修, および化学, 生化学, 分子生物学, 分子遺伝学などの知識をある程度理解していることが望ましい.