獣医生理学実験

担当教官(所属、所在)
橋爪 一善 (獣医学科 基礎獣医、農学部3号館324号室)
木崎 景一郎 (獣医学科 基礎獣医、農学部3号館326号室)

対象学生 科目の種別 開講学期 単位数
獣医学科3年次講座科目
必修
前期2単位

授業の目標
獣医生理学実験は、ラット、マウス、ウサギなどの実験動物の生体反応を観察することにより、生体機能とその調節機構を理解することを目標とする。同時に、実験に必要な手技を習得する。

概要と計画
獣医生理学実験では、主として分子レベルの生理学的実験を行う。    
1. 生体機能の重要な調節系である血液の機能について、血液細胞と血清(血漿)成分の両面から実験する。血液は、特異的および非特異的生体防御に関与しているが、ここでは非特異的生体防御機能を中心に、好中球とオプソニンに関する実験を行う。特異的生体防御機能(免疫)については、生理化学実験で取り扱う。なお、これらの実験は、内科学実習とも関連づけて、一部は合同実習として行う。     
2. 器官や組織の機能は、酵素により発現されるから、組織酵素の特異性を分析しその生理的意義を考える。
3. 個体を維持するエネルギーや分子の摂取は、消化から始まる。その分子機構を実験で確かめる。
4. 呼吸、神経機能などに関しては可能な限り特別実験を設定する。

第 1回 一般的注意、器具の準備/第 2回 細胞機能に関する実験講義
第 3回 細胞成分、タンパク質/第 4回 DNA
第 5回 RNA/第 6回 細胞機能のまとめ
第 7回 血液に関する実験講義/第 8回 血球数、血液像
第 9回 ヘマトクリット、白血球/第10回 血色素吸収スペクトル、浸透圧耐性
第11回 赤血球に関する実験のまとめ/第12回 非特異的生体防御に関する実験講義
第13回 好中球の分離/第14回 ザイモザンのオプソニン化
第15回 好中球の活性酸素産生の測定/第16回 好中球の実験のまとめ
第17回 血清タンパク質の機能に関する実験講義/第18回 血清タンパク質の分析1:正常血清
第19回 血清タンパク質の分析2:炎症血清/第20回 血清タンパク質に関する実験のまとめ
第21回 組織酵素に関する実験講義/第22回 LDHアイソザイムパターンの解析1
第23回 LDHアイソザイムパターンの解析2/第24回 組織酵素に関する実験まとめ
第25回 消化に関する実験講義/第26回 消化管の分離と消化液の抽出
第27回 消化液による消化過程の分析/第28回 消化に関する実験まとめ
第29回 発表会/第30回 実験機器の片づけ、実験室の清掃

教室外の学習
実験、実習に関しては、目的と手順を十分理解しておくことが重要である。生理学の実験では、細胞や変性しやすい生体高分子を取り扱うことが多いから、実験の前日に手順を完全に頭に入れておくこと。
一通りの実験が終わったら、内科と合同の自由研究がある。このときの研究には、実習で習得した手技を必要とするから、高水準の技術を身につけるように心がけること。

教科書、参考書
随時、実習内容を概説したものをプリントとして配布する。
実習参考書としてExperiments of Animal Biochemistry(生理・生化学教育懇談会編)がある。

授業の形式
4〜6名で1班を構成し、実験は原則として班単位で行う。
また、必要なものについては、デモンストレーションを行う。

成績評価の方式
レポートと実習態度による。期限までに提出しなかった者には、単位を認定しない。
レポートは、内容についてA、B、C、Dに分け、Dは不合格とする。

履修に当たっての留意点
実験の性質によっては、他科目の実習担当者の了承の上で、集中して行うこともある。
レポートの作成については、実験時の指示に従うこと。