食品物理学

担当教官(所属、所在)
三浦 靖 (農業生命科学科 食品健康科学講座、5号館2階204号室)

対象学生 科目の種別 開講学期 単位数
農業生命科学科
 食品健康科学講座2年次
講座科目
必修
後期2単位

授業の目標
 食品は微視的に見れば原子や分子から構成されており,さらに分子を重合度の観点から見れば単量体から重合体になっている。そして,それらはドメインを形成したり,ネットワークを形成したり,組織を形成したりして集合体として存在している。したがって,食品成分の種類と量が同じであっても,これらの階層構造や相構造,食品成分の化学変化や物理変化が異なれば当然のことながら物性も変化する。本科目では,食品の構造を把握した上で,食品の加工・保蔵で起きる現象の本質を理解し,食品物性の評価法を修得することを目標とする。

概要と計画
 食品の組織構造,物理化学の基礎理論,食品の物性評価法の理論と装置を解説する。
 第1回 食品物理学とは:組織・構造,物性,相転移・相変化,界面現象,移動現象
 第2回 食品の構造(1):植物組織(青果菜類)
 第3回 食品の構造(2):動物組織(鳥獣肉類,卵類,魚介類)
 第4回 食品の構造(3):分散系(飲料)
 第5回 食品の物理化学(1):熱力学の基礎
 第6回 食品の物理化学(2):相転移・相変化
 第7回 食品の物理化学(3):界面現象
 第8回 食品の物理化学(4):移動現象(熱移動)
 第9回 食品の物理化学(5):移動現象(物質移動)
 第10回 食品の物理化学(6):新展開(フラクタル,超高圧,超臨界・亜臨界)
 第11回 食品の物性(1):光学的物性
 第12回 食品の物性(2):電気化学・電磁気学的物性
 第13回 食品の物性(3):力学的物性
 第14回 食品の物性(4):熱力学・伝熱学的物性
 第15回 成績評価

教室外の学習
講義前に教科書と予め配布する資料を用いて必ず予習すること。

教科書、参考書
教科書:「食品の科学4 食品物理化学」(松野隆一・矢野俊正編,文永堂出版,1996年)
参考書:「食品の物理」(種谷真一,槇書店,1989年),「食品物理学」(林 弘通,養賢堂,1989年),「基礎食品工学」( 林 弘通ら,建帛社,1996年),「食品工学ポケットブック」(種谷真一,工業調査会,1994年),「食品工学・生物化学工学−科学的・工学的ものの見方と考え方」(矢野俊正,丸善,1999年),「「物理化学による化学工学基礎」(川合 智ら,槇書店,1996年),「現代化学工学」(橋本健治ら,産業図書,2001年)など。

授業の形式
知識集積型の講義を主体とする。必要に応じてOHP,VTR等を利用する。

成績評価の方式
平常点(出席状況,授業態度)50点と学期末筆記試験50点とを合計し,60点以上を合格とする。

履修に当たっての留意点
本講義は2年次前期の「食品工学」および「レオロジー」と独立しているが,両科目の基礎を発展させた内容であるので,両科目を履修することが好ましい。また,3年次前期の「食品工学実験」の基礎となるので,「食品工学実験」を履修する場合には本科目を履修しておくことが望ましい。