食品生産システム学

担当教官(所属、所在)
三浦 靖 (農業生命科学科 食品健康科学講座、5号館2階204号室)

対象学生 科目の種別 開講学期 単位数
農業生命科学科
 食品健康科学講座4年次
講座科目
選択
後期2単位

授業の目標
 食品の製造は,製品企画,製品設計,生産計画,工程計画,原料・包装材等の調達,受け入れ検査,保管,加工,評価,検査,出荷などの各ステップから構成される一連のシステムである。食品生産システム学は,食品を対象にした生産システム工学(manufacturing systems engineering)である。したがって,食品生産システム学ではシステム工学,オペレーションズ・リサーチ(OR),制御工学,情報工学,経済工学,生産経済学などについての知識が要求される。本科目では,製品・技術開発の在り方に焦点を絞り,技術・市場・製品の3つの要素から見た製品開発と技術開発に関わる基礎知識を習得し,食品製造に携わる技術者としての製品・技術開発のセンスを身につけることを目標とする。

概要と計画
 技術・市場・製品の3つの要素からの製品・技術開発のとらえ方,技術開発の類型化モデル,ビジネスチャンスへのアプローチ,中堅企業における製品技術開発の取り組み,製造物責任法と製品,情報と技術商業化,総合衛生管理製造,品質管理と環境管理,工業所有権について解説する。
 第1回 食品製造:食品の加工・保蔵,システムのとらえ方 
 第2回 製品・技術開発のとらえ方(1):技術・製品・市場の関係,事業展開から見た研究開発,開発テーマへのアプローチ方法・着眼点
 第3回 製品・技術開発のとらえ方(2):開発コアとなる技術要素,コア・コンピタンス,開発に当たっての外部との連携形態,開発成果の活用と販売形態
 第4回 技術開発の類型化モデル(1):ビジネスチャンスの開拓に向けて重視する技術分野,開発テーマ設定のプロセス,技術革新プロセスの構造化
 第5回 技術開発の類型化モデル(2):ビジネスチャンス開拓に向けての課題,イノベーションの捉え方
 第6回 ビジネスチャンスへのアプローチ(1):研究開発への取組みの背景・動機,開発・導入可能な技術要素
 第7回 ビジネスチャンスへのアプローチ(2):開発・導入技術に関わる情報・ノウハウ,情報化と産業構造
 第8回 中堅企業における製品技術開発の取組み(1):経営環境と技術戦略,モノ作りを基盤にした技術開発戦略
 第9回 中堅企業における製品技術開発の取組み(2):要素技術と製品技術開発,技術開発の進め方
 第10回 製造物責任法と製品:製造物責任法の必要性,対象と定義,製造物責任と製品安全
 第11回 情報と技術商業化:情報と技術管理,情報時代における情報管理の重要性,情報ネットワークを用いた製品の定義・商業化,技術経営
 第12回 総合衛生管理製造:HACCP方式,危機管理・危機評価・危機伝達
 第13回 品質管理と環境管理:ISO 9000sとJIS,ISO 14000s
 第14回 工業所有権:商標,意匠,実用新案,特許
 第15回 評価

教室外の学習
講義前に教科書と予め配布する資料を用いて当該内容を必ず予習すること

教科書、参考書
教科書:「情報・技術経営シリーズ2 製品・技術開発概論」(菅澤喜男ら,コロナ社,2000年)
教材:配布資料
参考書:「入門編 生産システム工学 第2版」(人見勝人,共立出版,2000年),「食品工学基礎講座 12:食品システム論」(矢野俊正・桐栄良三監修,光琳,1989年),「生産工学入門」(岩田一明監修,NEDEK研究会編,森北出版,1997年),「機械系 大学講義シリーズ 31:システム工学」(足立紀彦ら,コロナ社,1996年),「生産管理 理論と実践 12:オペレーションズ・リサーチ」(中川覃夫ら,日刊工業新聞社,1995年),「シリーズ・経営情報システム 3:生産情報システム」(太田雅晴,日科技連出版社,1994年),「改訂フードスペシャリスト論」(日本フードスペシャリスト協会,光琳,2002年)など。

授業の形式
実践的な講義を主体とする。必要に応じてOHPやVTRを利用する。

成績評価の方式
平常点(出席状況,授業態度)50点と学期末筆記試験50点とを合計し,60点以上を合格とする。

履修に当たっての留意点
食品産業(製造業,サービス業)に就職する場合には本科目を履修しておくことが望ましい。