農林環境政策論

担当教官(所属、所在)
柏 雅之 非常勤講師 (茨城大学、FAX:029-888-8616)

対象学生 科目の種別 開講学期 単位数
農林環境科学科
 地域マネジメント学講座3年次
講座科目
選択
後期2単位

授業の目標
 第1に、農林環境政策の先進地であるEU共通農業政策における環境農政や農村開発政策、およびEU地域構造政策の論理、展開過程そして政策システムを理解してもらう。第2に、わが国農林環境問題の構図と直接支払い制度をはじめとする政策システムの実態と問題点を理解してもらう。第3にEUの経験からわが国農林環境政策が学ぶものについて理解をしてもらう(「日本型モデル」の論理)。

概要と計画
 上記の第1の課題に関しては、EUの共通農業政策や地域構造政策における論理と実態、新たな展望に関してイギリスとフランスの例を中心に講義を進める。そこでは農業農村環境政策における農村地方行財政システムの90年代以降の大きな変動、すなわち農村ガヴァメントから農村ガヴァナンスへの移行に関する論理と実態についても重点をおく。さらにバイオマス戦略と農林環境政策との関連についてみていく。第2の課題については、わが国中山間地域農林業・資源管理の実態と新たな担い手システム創出の要諦とそのための政策システムの設計問題について講義を進める。さらに近年ようやく始まったばかりのわが国のバイオマス政策について各地の実態を踏まえながら考えていく。第3の課題に関しては、政策の地元での「受け皿」すなわち地域経営に関する新たな主体や方法についてEUとの比較を通して「日本型モデル」を考えていく。

1. EU共通農業政策と地域構造政策の論理と展開過程
2. EU農林環境政策の登場の背景と展開過程
3. イギリスにおける農林環境政策の実態と課題
4. フランスにおける農林環境政策の実態と課題
5. EUのバイオマス戦略の意義と課題
6. 農村ガヴァメントから農村ガヴァナンスへの移行の意義と問題点
7. 日本の中山間地域農林業・資源管理の実態
8. 日本の中山間地域農林業・資源管理の担い手再建システム
9. 日本の中山間地域政策の展開過程、意義および限界
10. 「中山間地域直接支払制度」の意義と限界
11. 日本のバイオマス戦略の現場から
12. 日本のバイオマス戦略の意義と問題点
13. 日本の地域経営主体の問題点―「農村第3セクターの失敗」の意味をとおして―
14. 日本農業・農村における行政、民間営利、市民・民間非営利各セクターのパートナーシップ・システムの萌芽的実態の意義と可能性
15. 日本における農林環境政策のあり方と地域経営システム

教室外の学習
おこなわない。

教科書、参考書
教科書
 柏 雅之『条件不利地域再生の論理と政策』(農林統計協会、2002)
参考書
 村田武編『WTO体制下の農業市場再編』(筑波書房、2004)

授業の形式
講義を中心に進める。教科書利用とともに適宜講義資料の配布も行う。

成績評価の方式
試験あるいはレポートによる。

履修に当たっての留意点
わが国農林業問題の基本的知識や経済学の初歩的知識は必要である。熱意と興味・関心の強い学生の履修を期待する。