レオロジー

担当教官(所属、所在)
三浦 靖 (農業生命科学科 食品健康科学講座、1号館1階115号室)

対象学生 科目の種別 開講学期 単位数
農業生命科学科
 食品健康科学講座2年次
講座科目
選択
前期2単位

授業の目標
 あらゆる物質または物体は変形と流動を生じるので,工業においては素材の力学的性質が製造・加工における作業性,最終製品の品質などに影響を及ぼす。レオロジー(rheology)とは,物質または物体の変形と流動を取り扱う科学であり,変形と力と時間との関係を明らかにして変形を明確に記述するという現象論的な目的と,分子構造や微細構造と変形あるいは力学的性質との関係を明らかにしようとする物性論的あるいは材料科学的な目的とがある。したがって,レオロジーでは弾性学,塑性学,流体力学,統計力学などの力学関連科学,物理化学,高分子科学などについての知識も要求される。本科目では,変形と力と時間との関係,主に食品素材と食品を対象にして力学的性質と構造ならびに嗜好性との関連性を修得することを目標とする。

概要と計画
 レオロジーで用いられる基本的用語と各種の原理・法則を解説する。
 第 1回 レオロジーと世界
 第 2回 レオロジーの基本的な概念(1):変形,応力および弾性
 第 3回 レオロジーの基本的な概念(2):流動および粘性
 第 4回 レオロジーの基本的な概念(3):粘弾性
 第 5回 高分子のレオロジー(1):非食品
 第 6回 高分子のレオロジー(2):食品
 第 7回 固体粒子分散系のレオロジー(1):非食品
 第 8回 固体粒子分散系のレオロジー(2):食品
 第 9回 分散物が変形する分散系(1):非食品
 第10回 分散物が変形する分散系(2):食品
 第11回 ゲルのレオロジー(1):非食品
 第12回 ゲルのレオロジー(2):食品
 第13回 やさしい観察と実験
 第14回 食品の嗜好性と食品テクスチャー
 第15回 成績評価

教室外の学習
講義前に教科書を用いて当該内容を必ず予習すること。

教科書、参考書
教科書:「レオロジーの世界−基本概念から特性・構造・観測法まで−」(尾崎邦宏,工業調査会,2004年)
参考書:「レオロジー基礎論」(村上謙吉,産業図書,1991年),「おいしさのレオロジー」(中濱信子ら,弘学出版,1997年),「ポピュラーサイエンス キッチンで体験 レオロジー」(尾崎邦宏,裳華房,1996年),「やさしいレオロジー工学」(種谷真一,工業調査会,1992年)「化学者のためのレオロジー」(小野木重治,化学同人,1982年),「食品の物性学ーレオロジーとテクスチャー」(川端晶子,建帛社,1989年)「高分子と複合材料の力学的性質」(L.E. Nielsen,小野木重治訳,化学同人,1982年),"Engineering Properties of Foods"(2nd Ed., Ed. by M.A. Rao and S.S.H. Rizvi, Marcel Dekker, 1995年)など。

授業の形式
講義を主体とするが,必要に応じてOHP,VTR等を利用する。

成績評価の方式
平常点(出席状況,授業態度)50点と学期末筆記試験50点とを合計し,60点以上を合格とする。

履修に当たっての留意点
 本科目は3年次前期の「食品工学実験」の基礎となるので,「食品工学実験」を履修する場合には本科目を履修することが望ましい。
オフィスアワー(月曜日,8:00-10:30,農学部1号館1階115号室)