食品工学

担当教員(所属、所在)
三浦 靖 (農業生命科学科 食品健康科学講座、1号館1階115号室)

対象学生 科目の種別 開講学期 単位数
農業生命科学科
 食品健康科学講座2年次
講座科目
必修
前期2単位

授業の目標
 食品工業は,手工業的な色彩から機械化・自動化への道をたどり,高品質な食品を連続的に効率よく大量生産できる方式が確立されるようになった。食品工学(food process engineering)とは,食品に本来的に具備している栄養的・嗜好的価値を損なうことなく食品を加工,包装,保蔵,流通するための種々の単位操作ならびにその連結系の効率を,物質的かつエネルギー的に高めることを目的とする応用科学である。したがって,食品工学では機械装置に関する工学的な基礎知識に加えて,食品化学,食品保蔵学,食品加工学,産業微生物学,食品生産システム学などの食品科学,物理化学,有機化学などの科学分野についての知識も要求される。本科目では,基礎的単位操作の中に新技術を包括し,品質評価にも触れ,基礎的製造技術を修得することを目標とする。

概要と計画
 基本的な単位操作の理論と装置を解説するとともに演習問題を解く。
 第 1回 食品工業と食品工学の接点:食品工学と化学工学,単位と次元
 第 2回 工学的問題取り扱いのための数学の初歩(1):関数
 第 3回 工学的問題取り扱いのための数学の初歩(2):微分・積分
 第 4回 反応速度論(1):反応速度式,反応速度定数,活性化エネルギー
 第 5回 反応速度論(2):酵素反応
 第 6回 水分の収着・脱着と食品中の水の状態(1):水の物性,状態図
 第 7回 水分の収着・脱着と食品中の水の状態(2):水の収着・脱着,存在状態
 第 8回 食品とガラス転移(1):ガラス転移
 第 9回 食品とガラス転移(2):食品の加工・保蔵とガラス転移
 第10回 移動現象論(1):物質移動(浸透,拡散,濃縮,乾燥),熱移動(加熱,冷却)
 第11回 移動現象論(2):対流を伴わない系
 第12回 移動現象論(3):対流を伴なう系
 第13回 界面科学の進歩と食品工学(1):乳化剤,乳化・解乳化
 第14回 界面科学の進歩と食品工学(2):界面特性
 第15回 成績評価

教室外の学習
講義前に教科書と予め配布する資料を用いて必ず予習すること。

教科書、参考書
教科書:「食品工学入門−食品製造・保存の考え方−」(熊谷 仁ら,アイ・ケイコーポレーション,2005年)および配布資料
参考書:総論には「基礎食品工学」( 林 弘通ら,建帛社,1996年),「食品工学ポケットブック」(種谷真一,工業調査会,1994年),「物理化学による化学工学基礎」(川合 智ら,槇書店,1996年),「現代化学工学」(橋本健治ら,産業図書,2001年),「食品の科学4 食品物理化学」(松野隆一・矢野俊正編,文永堂出版,1996年),「食品工学・生物化学工学ー科学的・工学的ものの見方と考え方」(矢野俊正,丸善,1999年),「食品の物理」(種谷真一,槇書店,1989年),「食品物理学」(林 弘通,養賢堂,1989年)など。各論には「機械工学選書 伝熱工学」(相原利雄,裳華房,1994年),「食品加熱の科学」(渋川祥子編,朝倉書店,1996年),「低温環境下の伝熱現象とその応用」(福迫尚一郎ら,養賢堂,1996年),「機械工学入門講座2 流体力学」(杉山 弘ら,森北出版,1996年)「食品用乳化剤−基礎と応用−」(戸田義郎ら編,光琳,1997年),「食品の殺菌」(高野光男ら,幸書房,1998年)など。

授業の形式
問題解決型の講義を主体とする。必要に応じてOHP,VTR等を利用する。

成績評価の方式
平常点(出席状況,授業態度)50点と学期末筆記試験50点とを合計し,60点以上を合格とする。

履修に当たっての留意点
 本科目は3年次後期の「食品物理学」と独立しているが,「食品物理学」で講義されない内容を取り上げるので両科目を履修することが好ましい。また,3年次前期の「食品工学実験」の基礎となるので,「食品工学実験」を履修する場合には本科目を履修しておくことが望ましい。
オフィスアワー(月曜日,8:00-10:30,農学部1号館1階115号室)