森林生化学

担当教官(所属、所在)
小藤田久義 (農林環境科学科 森林科学講座、2号館2階207号室)

対象学生 科目の種別 開講学期 単位数
農林環境科学科
 森林科学講座
   森林管理技術学コース3年次
 森林科学講座
   総合森林学コース3年次
講座科目
選択
後期2単位

授業の目標
 樹木は太陽エネルギーのみをエネルギー源に用いることにより、極めて効率的に有機物の生産および変換を行っている。すなわち、その静かな外見からは窺い知ることのできないダイナミックな生命活動が樹木細胞を主体として営まれた結果、森林が生み出されるのである。また、一方では同じ森林の中で朽ち果てていく樹木があり、そこでは森の分解者であるキノコなどの微生物が旺盛な活動を行っている。本講義では森林の主体をなす樹木の成り立ちと、木質成分の分解に関わる様々な生命活動とそのメカニズムを、細胞レベル、分子レベルで理解する。

概要と計画
 はじめに樹木を構成する各種成分の生合成のメカニズムと、これに関与する酵素の生成・制御について学ぶ。次いで、ややマクロな視点から樹木組織の形成と分化、早材・晩材および心材の形成と制御について、植物ホルモンとの関わりを含めて論ずる。最後に樹木の腐朽過程における担子菌の役割と、関連する酵素の性質および発現と制御の機構について学ぶ。

第1回 一次代謝と二次代謝
第2回 樹木成分の生合成:多糖類(1)
第3回 樹木成分の生合成:多糖類(2)
第4回 樹木成分の生合成:シキミ酸経路
第5回 樹木成分の生合成:リグニン(1)
第6回 樹木成分の生合成:リグニン(2)
第7回 樹木成分の生合成:抽出成分(1)
第8回 樹木成分の生合成:抽出成分(2)
第9回 樹木成分の生合成:抽出成分(2)
第10回 樹木組織の形成と分化
第11回 樹木の腐朽形態と腐朽菌
第12回 木質系多糖類の分解に関わる酵素およびその発現と制御(1)
第13回 木質系多糖類の分解に関わる酵素およびその発現と制御(2)
第14回 リグニンの分解に関わる酵素およびその発現と制御
第15回 成績評価

教室外の学習
 本講義は、下記にあげたいくつかの基礎的な科目について、一定の知識を持っていることを前提としている。したがって、講義の中で理解できなかった基礎的内容については必ず復習しておくこと。

教科書、参考書
参考書

 木質生化学 (樋口隆昌編著、文永堂出版)
 木質の形成 (福島和彦他編、海青社) など

授業の形式
講義主体で、必要に応じてスライド等を用いる。随時小テストを課す。

成績評価の方式
受講状況 (20点)およびレポート(80点)で評価し、60点以上を合格とする。成績は「優:80点以上」「良:70〜79点」「可:60〜69点」「不可:60点未満」とする。再試験は行わない。

履修に当たっての留意点
森林化学、植物生理学および有機化学、生化学関連の科目を履修しておくことが望ましい。オフィスアワーは月曜16時〜18時とするが、これ以外の時間帯でも可能な限り受け付ける。