森林造成学実習

担当教官(所属、所在)
橋本良二 (農林環境科学科 森林科学講座、農2−314)
白旗 学 (農林環境科学科 森林科学講座、農2−313)

対象学生 科目の種別 開講学期 単位数
農林環境科学科
 森林科学講座
   総合森林学コース3年次
講座科目
選択
前期1単位
農林環境科学科
 森林科学講座
   森林管理技術学コース3年次
講座科目
必修

授業の目標
 森林の育成には,数十年以上の長い時間がかかります。また,地形・気象条件も変化に富んでいる山岳地帯が主要な舞台となり,何よりも広大な面積を相手にしなければいけません。そのため,健全な森林を効率的に育成するためには、樹木の持つ自然力を最大限に発揮させるようにしていく事が大切です。多くの先人達の様々な経験・努力の結果、特に人工林を中心として基本的な育林技術が体系化されてきました。それは現在も様々な改良を重ねながら現場レベルで実際に営まれています。本授業では、大きく分けて2つの目標があります。一つは本学演習林、学外の諸機関を含めた実際の現場レベルでおこなわれている育林施業にふれ,その基本的な体系を実体験として習得しながら様々な問題点、将来展望を学びます。もう一つは,それらすべての基本となる立地条件と樹木の成長特性について室内実験をおこなうことで理解する事を目標とします。

概要と計画
 育苗(播種、床替、苗圃管理、挿し木・接木による育苗)、地拵え、植栽、下刈り・徐伐、間伐までを本学演習林を中心に実際におこないます。林業用苗圃の管理は(株)岩手林業、挿木・接木など無性繁殖による育苗は林木育種センター東北育種場で実習をおこない、実際の現場レベルにおける技術を理解します。室内実験では、樹木の成長解析および各器官の相対成長関係、土壌の理化学性分析による立地条件の評価をおこないます。現地実習の時はバスで大学から移動します。室内実験の時は、各項目の開始時に内容の説明、講義をおこなった後、試料の採取、調整からデータ収集、解析計算、レポート作成と順次すすめていくことになります。

1.ガイダンス
2.種子の調整、床替(下台実験苗圃)
3.地拵(附属演習林)
4.植栽(附属演習林)
5.苗圃管理((株)岩手林業)
6.無性繁殖による育苗(林木育種センター東北育種場)
7.森林土壌の理化学性1、試料採取(附属演習林)
8.森林土壌の理化学性2、土壌酸度(室内実験)
9.森林土壌の理化学性3、理学的性質(室内実験)
10.樹木の成長と生理生態1、試料採取、層別刈り取り法(下台苗圃)
11.樹木の成長と生理生態2、各器官の相対成長関係(室内実験)
12.樹木の成長と生理生態3、同化器官の環境適応(室内実験)
13.下刈り・徐伐・枝打(附属演習林)
14.間伐(附属演習林)
15.実習の総括

教室外の学習
実習は時間が限られているため、下に紹介した参考書等を使い内容について理解を深めてください。

教科書、参考書
実習内容に関するプリントを配布します。全体的な参考書として以下をあげておきます。「林業実習ハンドブック」 林業実習研究会編 朝倉書店,「森林の生態学」依田恭二著 築地書館(出版年は古いが基礎的な事項が良くまとまっている)。「森林土壌の調べ方とその性質 改訂版」森林土壌研究会編 林野弘済会。各項目についての参考書は,その都度授業中に紹介します。

授業の形式
内容により、数人の班に適宜わかれておこなう場合があります。各項目ごとに,レポートを課します。

成績評価の方式
レポートの提出を40点,その内容と実習中の参加態度(積極的に実習に参加しているか,解析を他人任せにしていないかなど)を総合的に判断して60点の割合で評価します。60点以上を合格(優80点以上、良70−79点、可60−69点)とします。なお,実習という性格上,出席は必須となります。無断欠席1回につき15点減点します。再試験はありません。

履修に当たっての留意点
現地実習の際の服装・必要装備等は、事前に連絡するので注意すること。一部内容(下刈・徐伐・枝打、間伐)は、夏休み中に集中でおこなう場合があります。その場合は事前に連絡をするので注意してください。質問等は,別途公表されているオフィスアワー(白旗:月10〜12時、農2-313)以外の時間でも,事前に連絡をしてもらえれば柔軟に対応します。