■担当教官(所属、所在) |
佐野宏明 (農業生命科学科 動物科学講座、3号館3階) |
■対象学生 | 科目の種別 | 開講学期 | 単位数 |
農業生命科学科 動物科学講座3年次 | 講座科目 必修 | 通年 | 2単位 |
■授業の目標 |
動物は種々の生命活動を通じて生産行為を営んでいる。動物栄養学実験では、生理機能、消化・吸収過程および血液成分の測定を通じて動物の生命現象の一端を知り、測定の理論とテクニックを修得させることを目的としている。 |
■概要と計画 |
授業の概要 課題1 飼料の消化率の測定 消化率を測定する方法には排泄した糞を全量採取する全糞採取法と、その一部を採取して指示物質の濃度変化より計算する指示物質法とがある。これらの測定方法では飼料摂取量と糞排泄量の差を消化吸収した量とみなし、その摂取量に対する割合を求める。このようにして得られた消化率は見かけの消化率といい、飼料に起因しない内因性の排泄成分を補正して得た値を真の消化率という。本実験では、実験動物としてヒツジを用い、全糞採取法および指示物質法によって見かけの粗タンパク質消化率を算出する。 課題2 採食に伴う生理反応、血液成分の変化 生産行為を営むために、動物が飼料を体内に取り入れるための最初の過程は採食行動である。しかし、採食行動は単に飼料を消化管に送り込むことだけではなく、様々な生理機能が互いに関わり合いながら、遂行されていく。本実験では、ヒツジを用い採食量が経時的にどのように変化するのかを観察し、合わせて血液成分の変化についても検討する。 課題3 採食に伴うルーメン内VFA濃度の変化 反芻動物はルーメンという消化吸収器官を有するために様々な栄養生理学的特徴を持っている。すなわち、ルーメン内微生物の作用によって飼料中の炭水化物は酢酸、プロピオン酸、酪酸などの揮発性脂肪酸 (VFA) にまで分解されて、体内に吸収される。本実験では、ヒツジのルーメン内容液中のVFA濃度を測定し、採食に伴う変化について検討する。 授業計画 第1〜2回 実験講義:実験の概要説明 第3〜12回 採食に伴う生理反応、血液成分の変化 1)毎日の動物管理法 2)ヒツジの生理反応の観察および血液の採取 3)ヒツジの採食量の測定 4)血液成分(ヘマトクリット値)の測定 第13〜22回 飼料の消化率の測定 1)サンプルの採取、調整 2)全糞採取法による消化率の測定 3)指示物質法による消化率の測定 4)飼料成分(粗タンパク質)の定量 第23〜26回 採食に伴うルーメン内VFA濃度の変化 1)ル−メン内容液の採取 2)水蒸気蒸留法 3)ガスクロマトグラフィーによるVFAの定量 第27〜30回 1)デ−タ整理 2)後かたずけ 3)研究発表 |
■教室外の学習 |
ヒツジの飼養管理 |
■教科書、参考書 |
担当者作成のテキストを使用する。 |
■授業の形式 |
個人の実験を基本とするが、内容によりグル−プ実験も行う。 |
■成績評価の方式 |
出席回数、実験、研究発表の態度および内容により、総合的に判断する。レポ−トは課さない。 |
■履修に当たっての留意点 |
実験の前に詳しい手順を説明するが、あらかじめテキストで予習して実験の理論と手順を理解しておくこと。 |