■担当教員(所属、所在) |
井良沢道也 (農林環境科学科 森林科学講座) |
■対象学生 | 科目の種別 | 開講学期 | 単位数 |
農林環境科学科 森林科学講座 森林管理技術学コース3年次 森林科学講座 総合森林学コース3年次 | 講座科目 必修 | 前期 | 2単位 |
■授業の目標 |
国土の7割が山地で急流河川が多く、地質的にも脆弱な地帯を抱える日本列島は、集中豪雨や台風、火山噴火、地震などによって土砂災害が毎年のように発生している。土砂災害は、人命財産に大きな被害を与えており、このような災害から安全な生活を創出してくために砂防・治山事業が行われている。また、近年人口の都市集中や中山間地での過疎高齢化、さらに地球環境の変動はこうした災害に対し、新たな問題をもたらしている。一方、渓流を水辺環境空間の場としての活用や、水源地から河口海岸域まで水系全体の土砂管理の重要性の指摘、警戒避難の実施などソフト対策の必要性など新たな対応をせざるを得ない状況となっている。 こうした山崩れ、地すべり、土石流など山地における土砂災害の発生機構とそれによって引き起こされる土砂災害の防止・軽減対策を体系的に習得することを目的としている。 |
■概要と計画 |
本講義でははじめに山地における土砂移動形態とその機構についての基礎的理論の習得を行う。続いて有害土砂に関する土砂制御手法について最新の施策や課題も含めて学ぶ。砂防学の分野は対策手法など新手法が開発されえおり、絶えずアップデートな授業を心がけたい。 第1回 ガイダンス 第2回 国内外における土砂災害の実態 第3回 山地の土砂移動現象の機構 第4回 山地渓流における土砂移動形態と流出土砂量の推定 第5回 崩壊・地すべり 第6回 土石流 第7回 掃流・浮遊・河床変動 第8回 火山災害・流木対策 第9回 砂防計画の立案 第10回 砂防施設の設計 第11回 地すべり・急傾斜地施設の設計 第12回 水辺域の保全・渓流生態砂防 第13回 土砂新法とソフト対策 第14回 新たな砂防の挑戦と今後の課題 第15回 期末テスト |
■教室外の学習 |
砂防学の内容自体が膨大であり、現場の技術や行政の動向と直結した学問体系であるので、新聞やテレビなどで関連分野や自然災害などの記事にも関心を払って欲しい。受講生も講義前に教科書と予め配布する資料を用いて当該内容を予習することが望ましい。 |
■教科書、参考書 |
「新砂防工学」塚本良則・小橋澄治編(朝倉書店)を教科書として用いる(図書館に数冊所蔵)。参考図書として、「現場技術者のための砂防・地すべり・急傾斜・雪崩防止工事ポケットブック」池谷浩編編(山海堂)、「河川砂防技術基準案計画編」(山海堂)、「砂防学概論」(鹿島出版会)、「土石流災害」・「火山災害」池谷浩著(岩波新書)、「山地保全学」小橋澄治編(文永堂)、「水辺林の生態学」(東大出版会)、「渓流生態砂防学」太田猛彦編(東大出版会)、「大学土木河川工学」(オーム社)等がある(図書館所蔵)。 |
■授業の形式 |
講義を主体とし、授業内容の要約及び関連の図表等を資料として配布する。またビデオなどを用いて視覚的な説明も行う。また、授業内容の習熟のために計算問題などを随時レポートを課す。 |
■成績評価の方式 |
期末試験(70点,資料持ち込み不可,電卓使用可),出席・宿題(各15点)により評価し,合計60点以上を合格(優:80点以上,良:79〜70点,可:69〜60点)とする。講義に10回未満しか出席しなかった者は,期末試験の点数に関係なく不可とする。60点に満たなかった人のうち希望する人に対し再試をおこなう。再試も60点以上を合格(可)とする。 |
■履修に当たっての留意点 |
森林管理技術学コース3年次では必修となっているが,総合森林学コースでは選択必修Aである。シラバスは2007年春時点で作成されたものなので,若干の変更が生じることもある。詳細については第1回目の授業で説明する。オフィスアワー:月曜12時〜13時。メールはirasawa@iwate-u.ac.jp。 7月〜9月に全国の砂防事務所への見学実習「キャンプ砂防」及び夏期実習に多くの学生の参加を望む。質問は授業中を含め随時受け付ける。本授業でもふれるが、「土質工学」・「水理学」については他講座開講の授業を受講するのが望ましい。 |