流域保全学

担当教官(所属、所在)
井良沢道也 (農林環境科学科 森林科学講座、 )
島田徹( 非常勤講師 (国際航業株式会社)   、 )

対象学生 科目の種別 開講学期 単位数
農林環境科学科
 森林科学講座
   森林管理技術学コース3年次
 森林科学講座
   総合森林学コース3年次
講座科目
選択
前期2単位

授業の目標
授業の前半では、「砂防学」で砂防に関する基礎的な体系を学んだ前提で、砂防学のソフトウエアとも言える計画論について学びます。防災対策は個々の対応事例は異なることが多い訳ですが、その基本的な考え方は共通しています。ここでは実際的な展開例と課題などを紹介してきたいと思います。砂防行政を取り巻く施策論、地域活性化と防災など大きく変わりつつある砂防のいくつかのホットなテーマについて事例も交えながら取り上げる。このうちいくつかのテーマについては各自が図書館等で資料をまとめるなどの課題提出を求めたいと思います。また国T試験(砂防分野)の傾向と対策についてもふれたい。
授業の後半では、土砂災害の実態を把握し、その対策について基本的な考え方を学ぶことを目標とします。土砂災害対策では、様々な対策施設(砂防ダムなど)を整備して防災対策を講じます。授業では、土砂災害の原因となる現象について概要を把握した上で、公共事業で行われるこのような施設計画の基本的な考え方を講義します。また、土砂災害対策には、このような施設による対策(ハード対策と呼ばれる)の他に、住民の警戒避難や土地利用の誘導によって防災対策を行っています。このような対策は、ハード対策に対してソフト対策と呼ばれています。最近の砂防分野では、土砂災害防止法と呼ばれる法律の施行と相まって、ソフト対策が急速に進展していて、その中で情報技術が特に重要な役割を果たしています。授業では、最近の情報技術の動向について実例をまじえながら説明していきます。
なお、授前半・後半とも集中講義を予定しています。


概要と計画
<前半>                 <後半> 
1.イントロダクション            1.イントロダクション
  土砂災害防止のための計画論 概論        土砂災害の実態 
2.土砂災害防止のための警戒・避難対策    2.代表的な土砂災害事例とハード対策
3.防災計画の中での土砂防止論        3.代表的な土砂災害事例とソフト対策  
4.地域活性化と防災計画           4.土砂災害防止法と総合的な防災対策
5.都市化の進展と防災            5.防災対策における情報技術の役割  
6.緑豊かな渓流環境の創出          6.地形情報と三次元地形モデルの活用
7.流域の保全と防災             7.地理情報標準と情報の流通
8.期末テスト                8.期末テスト

教室外の学習
流域保全学は実際の防災や流域管理につながる事業に直結した学問である。十分に予習や復習など自学に努めて欲しい。また、災害関係のニュースなど新聞やテレビなどに日頃より注意を払って欲しい。

教科書、参考書
前半の講義では「現場技術者のための砂防・地すべり・急傾斜・雪崩防止工事ポケットブック」池谷浩編編(山海堂)及び「河川砂防技術基準案計画編」(山海堂)などをテキストに用いる(井良沢)。テキストは用いない(島田)。

授業の形式
ビデオ・スライド・OHPを使用する。

成績評価の方式
井良沢担当分:期末試験(70点,資料持ち込み不可),出席及びレポート(各15点)により評価し,合計60点以上を合格(優:80点以上,良:79〜70点,可:69〜60点)とする。60点に満たなかった人のうち希望する人に対し再試をおこなう。再試も60点以上を合格(可)とする。
島田担当分:学期末のテスト(80点)及び出席状況(20点)で評価する。60点に満たなかった人のうち希望する人に対し再試をおこなう。再試も60点以上を合格(可)とする。


履修に当たっての留意点
森林管理技術学コース及び総合森林学コースともに選択科目である。シラバス関連科目である「砂防学」、「砂防学実習」などの科目を履修することが望ましい。また、キャンプ砂防などに参加するとより本授業の内容の理解が深まるので参加を勧めます。オフィスアワーは月曜日:12:00〜13:00であるが、これ以外にも気軽に相談下さい。