ネコ尿タンパク質「コーキシン」の生理機能とその応用
応用生物化学課程
生化学
准教授
博(理)
山下 哲郎
ネコの尿中に存在している新規タンパク質を発見し、「コーキシン」と命名しました。コーキシンの生理機能について、ネコの尿中に特異的に存在するイオウを含むアミノ酸であるフェリニンという化合物との関連について解析を行ったところ、コーキシンはフェリニンの合成に関与する酵素として働くことが明らかになりました。また、フェリニンがネコの尿独特の臭いのもとになっていることもわかりました。
本研究により、ネコの尿臭の原因となる化合物の生成にコーキシンが関与することが明らかになり、コーキシンの分子構造や反応機構の解析で得られた知見をもとにコーキシンの阻害剤を作ることができれば、ネコ尿臭の発生を防ぐような画期的な方法を開発することが可能になると考えられます。また、人間やヒツジ、ウシなど、ネコ以外のほ乳類でもコーキシンによく似たタンパク質が存在することがわかり、他の動物でどのような働きをしているかについても研究を進めています。