岩手大学農学部Faculty of Agriculture, Iwate University
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21世紀COEプログラム:熱−生命 システム相関学の拠点を育成します。

■ 21世紀COEプログラムとは? 

文部科学省による研究拠点形成等補助金事業。日本の大学に世界最高水準の研究教育拠点と人材育成を図るための支援を行う。

学部横断的に研究に取り組んでいます。

 熱と生命システムの2つは、将来の食料生産を考える上でも、環境適応という生命生存の基本的しくみを考える上でも重要な問題です。しかしこの2つを関連づけた研究はこれまで国内外になく、それぞれの学問領域で取り組んできました。本学では「熱-生命システム相関学拠点創成」をテーマに、学部横断的な研究を進めています。この新しい学問分野の創造をめざす本学の研究が、2004年度文部科学省の21世紀COEプログラムに採択されました。

3つのグループに分かれ、さまざまな切り口から研究。

 このプログラムは基礎生物学・工学・生物情報学の3分野が連携して新たな生命システムや工学装置(デバイス)の開発をめざします。上村教授を拠点リーダーに、以下のグループに分かれて研究を行っています。

  • 1. 熱に対する生物の生存戦略メカニズム研究グループ
  • 2. 植物の熱制御システム研究グループ
  • 3. 熱適応・応答のシステム生物学およびシステム工学グループ

世界的に注目される植物の発熱システム。

ザセンソウ

 岩手県など寒冷地に自生するザゼンソウは、外気温が氷点下になっても体温が20℃程度と変わりません。そのザゼンソウの発熱システムと温度制御について研究するグループでは、気象分析などに使われるカオス理論を応用した解析を行いザゼンソウの温度制御特性から導き出したアルゴリズ ムを考案、それを基に温度制御装置を開発しました。

 植物のアルゴリズムから制御装置を作った例は極めて珍しく、日本国内はもとより世界的にも注目されています。

 

インタビュー:工業・医療分野にも大きな可能性生物の進化メカニズムの中にもヒントが…

岩手大学大学院連合農学研究科/農学部附属寒冷バイオフロンティア研究センタ−
「熱-生命システム相関学拠点創成」拠点リーダー 上村 松生 教授
上村松生 教授

 私たち研究グループは、低温から農作物を守るための鍵が、厳しい冬を生き延びる生物の中にあるのではないかと考えます。「なぜ植物はマイナスの温度でも生きていられるのか」「寒さに強い植物と弱い植物の違いは」「なぜ自ら熱を出す植物があるのか」「北に住む昆虫と南の昆虫との違いは」「冬が長い地域で、複数の異種の生物が協力して環境に適応している仕組みはないか」など、疑問は際限なく浮かびます。

 生物の進化メカニズムの中にもヒントがあるかもしれません。地球上に生命が誕生して以来、度重なる温度環境の変動がありました。それに適応してきた生物の進化を探ることは興味深いものです。また、外気温を感知して体温を調節する植物もいて、このメカニズムを解析することは、工業面や医療面への応用の可能性を秘めています。

 このような研究を対象として、「熱(エネルギー)」という物理的な情報から「生命システム」が有する生物学的応答への変換機構を解析し、これら2つの異なる研究領域を包含した新しい研究分野「熱─生命システム相関学」を作り出そうというのが、本COEプログラムのめざすものです。

 
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