海外林業論

・開講時期---前期
・対象学生---農林生産学科4年次
・担当講座---農林経済学(林政)

・単位等
  専修共通---選択(2単位)
・担当教官---土屋俊幸

授業の目標

 物ごとを見るとき大事なことは、一つの視点からだけではなく、複数の視点や見方で捉えてみることである。そうすると、単一の視点からは見えなかった様々な部分が見えてきて、物ごとの全体像がわかるようになる。
 日本の森林や林業を見る場合も同じことが言える。海外の森林や林業、あるいはそこでの森林と人々とのつながりを知ることによって、日本の森林を中からだけ見ている場合と比べて、よりよく日本のことがわかるようになることがある。また、世界の森林が日本の森林とどう繋がっていっているのかをたどっていくことから、日本の森林や林業の抱える問題が鮮明に見えてくることもある。
 この授業では、東南アジア、北アメリカ、ニュージーランドの森林と日本とのつながりを、木材の生産・輸出入と環境問題という二つの視点から捉え(実際には、この二つの事柄は分かち難く結びついている)、説明してみたいと思う。

授業の概要

 右記のように、東南アジア(フィリピン、タイ、インドネシア、マレーシア、ヴェトナム等)、北アメリカ(アメリカ合州国、カナダ)およびニュージーランドについて、地域内での木材生産、森林の環境保全の動向を日本との関係(木材生産、流通、海外協力等)を軸にして、なるべく有機的に説明したい。
 各地域、少なくとも1回ずつのスライド中心の授業を含む。

授業計画

[東南アジア]
 ・日本向け木材生産の推移と現況
 ・森林破壊の状況とその要因
 ・先住民族、少数民族と焼畑
 ・人工造林の進展と日本の紙パルプ企業
 ・日本のODAとNGOの活動

[北アメリカ]
 ・北アメリカにおける森林管理と自然保護
 ・国有林における市民参加
 ・北米における木材生産・流通(カナダ材の流通と南部林業の発展)
 ・日本向け木材生産の推移と現況
 ・アメリカ北西部の野生動物保護問題が与えた影響(エコシステム・マネジメント、木材貿易を通じた日本への影響)

[ニュージーランド]
 ・大規模人工林林業の展開
 ・日本等アジア諸国への戦略的木材輸出
 ・林政の大改革(国有林の民有化)
 ・保全局による天然林の保全的管理
 ・資源管理法による地域自然資源の一体的管理


テキスト・教材・参考書  参考書としては、熊崎 実「地球環境と森林(林業改良普及双書 No.114)」全国林業改良普及協会、アレキサンダー・メイサー「世界の森林資源」築地書館、ジャック・ウェストビー「森と人間の歴史」築地書館、半田良一編「林政学」第二版、文永堂出版がある。

授業の形式  各回に資料を配布する。スライド使用あり。

成績評価の方法  あらかじめ示したメニューから選択したテーマについて論じたレポートによって評価する。

履修にあたっての留意点  質問、意見の発表等を通じて、積極的に授業に参加して欲しい。4年次にこの授業があることの意味をよく考えること。他専修からの聴講も歓迎する。