第2回目岩手大学動物病院移動診療車
「わんにゃんレスキュー号」陸前高田市派遣記録

第2回「わんにゃんレスキュー号」派遣記録

2011年4月7日(木曜日)晴れ
第2回「わんにゃんレスキュー号」派遣記録 8時から12時
盛岡市から大船渡市まで移動。
12時
大船渡市合同庁舎到着。
担当の大船渡保健所前田獣医師の案内で合同庁舎裏の車庫に保管してあった動物用救護支援物資(犬猫用ドライフードが中心)をわんにゃんレスキュー号に積み込みました。また、陸前高田沿岸部は全戸が被災するという厳しい状況であり、高台の避難所では道が狭いうえ、緊急車両で混雑しており移動が簡単ではない旨の説明がありました。


第2回「わんにゃんレスキュー号」派遣記録 第2回「わんにゃんレスキュー号」派遣記録

12時25分
狂犬病予防技術員の佐藤さんの案内により熊谷獣医科医院を訪問。
熊谷獣医師に現在の状況を伺いました。また、本病院では被災動物の一時預かりをしているため、動物達の被災当時の状況や近況などを説明していただきました。保護されている動物の内訳は、猫5頭、犬4頭でした。中には波にのまれて泥だらけになった状態で保護された犬やがれきの下から救出された猫がいました。すべての動物の引き取り手は近隣で確保されているとのこと。
現在、フード等の支援物資は届いているとのことでしたが、ワクチンおよび関連物資(2.5mlシリンジ・23G針)が不足しており、早急に届けてほしいとの要望があり、シリンジと針を置いてきました。ワクチンについては対策本部の方へ連絡。

13時05分〜13時半
熊谷獣医科医院を出発。陸前高田市災害対策本部が設置されている陸前高田市給食センター避難所へ向かいました。5分ほどで到着し、災害対策本部長より、今後のわんにゃんレスキュー号の活動については自由にしてよいとの許可をいただきました。本避難所は、警察や自衛隊車両で敷地内が埋まっており車がすれ違うのがやっとというくらいの大変混雑した状況でした。
狂犬病予防技術員の佐藤さんの伴侶動物達に対する深い愛情が感じられ、スタッフ一同、心強さと感謝の念を感じえませんでした。佐藤さんが「避難所にフードを取りに来られない人たちもいるはずなので、巡回車で、家々にフードを届けるような活動をしたい」と言っていたことが印象的でした。大変お世話になりました!
第2回「わんにゃんレスキュー号」派遣記録 13時40分
診療希望者がとても多かっスポーツドーム(サンヴィレッジ)避難所に到着。避難所の責任者へ挨拶。屋外の駐車場スペースに簡易受付と診療スペースを用意し、診療開始。釜石タカサワ動物病院より、酒井先生が応援に駆けつけてくれました。 避難所には数頭の動物がいるとの情報でしたが、周知不足で具合の悪い状態にあった動物の飼い主さんは残念ながら不在の状態でした。膀胱炎疑いの犬1頭を診察しました。また、犬用のドライフードが不足しているとのことで、救援支援物資(フードなど)を渡してきました。

<スポーツドーム避難所での診療頭数>
 犬:1頭

14時40分
陸前高田第一中学校避難所へ出発。
第2回「わんにゃんレスキュー号」派遣記録 14時45分
陸前高田第一中学校避難所到着。大きな避難所で、校庭には多くの車が駐車してありました。また、校庭に隅には自転車置き場が臨時の犬小屋となっており、犬6頭が外飼いされていました。すでにレスキュー号を待っていた飼い主さんが複数いました。
避難所の責任者に挨拶。校内放送でわんにゃんレスキュー号が来た旨を周知してくれました。

第2回「わんにゃんレスキュー号」派遣記録




















第2回「わんにゃんレスキュー号」派遣記録
14時55分
グランドにて診療開始。
事前のお知らせで駆けつけた人のほかに、他の避難所から知人を訪ねてきていた際に偶然わんにゃんレスキュー号を見つけて立ち寄った人がいました。ここでは避難所に避難している人が車で飼っている乳腺腫瘍の犬や、他の避難所でやはり車で飼っている外耳炎の犬などを診察・治療。

診察を受けた動物達は、津波の際、命からがら一緒に逃げてきた大事なかけがえのない家族だと話してくれた飼い主さん達。中には、一度高台にある職場から自宅へ戻って、犬を助け出してきたが、本当に自分の命もあぶないところだったと話してくれた方もいました。

飼い主さんからお話を聞いたところ、フードなどの援助物資は比較的足りているが、動物を飼っていることで避難所に入れないことや仮設住宅に入れないことが一番困っていることであり、なんとか一緒に家で暮らせるようにしてほしいというのが切実な要望でした。

市による第1回目の仮設住宅説明会では、「動物は原則禁止」と言われ、絶望的な気持ちになったそうです。そのため、現在は、車の中で動物と暮している人がほとんどでした。ただ、その後、陸前高田市は4月4日、仮設住宅で原則禁止としていたペットの飼育を事実上容認する姿勢を示し、ペットのいる世帯の住民が近隣住民らと協議し、同意が得られた場合などに限り飼育を認めるとの見解を示したため、飼い主さん達は少し希望の光を見出したとのことでした(現在、県獣医師会による申し入れや盛岡ペットワールド専門学校での署名活動などが行われています)。
車の中での飼育のため、動物のストレスを心配する相談も見られました。
また、もともと室内飼いの動物が多く、トリミング(被毛のカットやシャンプー)できるところを探しているが近隣では見つからず困っているとのことでした。第一中学校は大きな避難所であり、情報は回っているようでしたが、離れた避難所へ行くと、回ってくる情報が少なく横の連絡がうまくいっていないとの声も聞かれました。

現地ではボランティアの人達が多数活動しており、わんにゃんレスキュー号へ多くの人が挨拶に訪れてくれました(ゴリラも診察に訪れました!)。また、NHKやAP通信社、新聞社の方々が集まり、取材や質問を多く受けました。また、たくさんの避難所のこども達が、動物が集まっているということで、興味深そうに診察を見ていました。

ここでは避難している方から、実は診察が至急必要な動物を持っている人が複数いるのだが、わんにゃんレスキュー号が来ることを知らずにいるので、是非ともまた近いうちに来て欲しいという強い要望が出されました。口コミで他の飼い主にも知らせたいという声も聞かれました。このことを避難所の副代表の横田さんと相談したところ、事前に次回の日程を連絡してもらえば、必ず皆に声がけをするので、次回是非来て欲しいとのことでした。

<陸前高田第一中学校避難所での診療頭数>
 犬 : 7頭
 フード受け取り: 犬 2頭
 相談:犬 2頭
    (そのうち飼い主不在:1頭)
    猫 1頭
       合計:12頭


第2回「わんにゃんレスキュー号」派遣記録 第2回「わんにゃんレスキュー号」派遣記録 16時10分
撤収。帰路につく。
陸前高田市の沿岸部沿いは壊滅的な被害を被っており、がれきの山と津波が残した海水が残っている状態で、建っている建物はほとんど見当たりませんでした。頻繁に緊急車がサイレンを鳴らして走っていました。被害は甚大で、想像を絶するものでした。

20時〜21時15分
動物病院に帰還。
荷下ろしと、薬品の整理・補充を行い、その後本日の診療の血液検査と尿検査を実施。わんにゃんレスキュー号の車内清掃。
本日分の業務終了。



23時32分
震度6弱の地震。停電。




   ※今後も「わんにゃんレスキュー号」は被災地への出動を予定しています。
   ※予定が決まり次第、本ホームページにてお知らせいたします。
   

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