よくある質問

よくある質問 
 
Q なんで今どき大腸菌を使って研究しているのですか?

A 分子生物学では大腸菌はモデル生物としてさかんに研究されてきていて、大腸菌を使った研究論文数はヒトを対象とした研究論文に次ぐ多さです。ノーベル賞学者・ジャック モノー先生は「大腸菌にあてはまることは、ゾウにもあてはまる!」とおっしゃったそうです。実際、遺伝暗号の解明やDNAの複製機構など、全生物で普遍的に見られる生命現象は、大腸菌を使って明らかにされてきました。タンパク質膜輸送の世界でも、大腸菌で得られた普遍的な知見が数多くあります。大腸菌は多くの遺伝学的、生化学的知見があり、増殖速度も速いため、精密で定量的な研究が可能です。我々は大腸菌を材料に用いて、すべての生物に還元できる生命現象の分子機構を明らかにすることを目指しています。


Q 寒冷バイオって植物の研究所じゃないの?

A ちがいます。寒冷バイオは、『世界的に類を見ない「温度と生命活動」の関係をさらに進化させながら、寒冷圏の生命システムの特性を解明しつつ、その成果を地域社会に還元し、世界に向けて「温度と生命活動」に関する研究教育成果を情報発信することを目指す』ことが求められています。
 我々は、タンパク質膜輸送の分子機構を解明することを目指していますが、このタンパク質膜輸送は低温で最も影響を受ける生命活動の一つです。温度が下がると生体膜の流動性は大幅に低下しますから、膜輸送は低温感受性であることは当然のことなのです。低温下で生体膜の流動性が低下するのは、冷たいバターはパンに塗りにくいのと同じです。


Q タンパク質の膜輸送だなんてなんだか難しそうだけど?

A 暗中模索の段階ではたしかに難しいことが多いですが、いろいろわかってしまうととても簡単です。例えば、ある膜タンパク質が膜に挿入されるときには、「ただ膜がそこにあればよい」と考えられてきました。つまり、膜タンパク質と膜脂質の疎水的相互作用によって膜タンパク質は「自発的に膜挿入」すると考えられてきたわけです。しかし、これでは自発的に膜挿入するものとそうでないものをどうやって区別するのか全く理解できません。我々は、生体膜にはジアシルグリセロールがあってこれが無秩序な自発的膜挿入を抑える作用があること、その結果どんな膜タンパク質も自発的には膜挿入しないことを発見しました。その上で、どんな膜タンパク質の膜挿入にも働く因子MPIaseを発見することができました。今では、MPIaseの作用を考えるとどんな膜挿入も分子レベルで理解することができます。こうしたことを明らかにしていくのが研究の醍醐味です。


Q タンパク質膜輸送の分子機構がわかればどんな応用ができますか?

A 細胞にとっては膜タンパク質はとても大事です。物質の輸送や情報のやり取りなど、数え上げるときりがありません。しかし、膜タンパク質は、当然のことながら水には溶けません。そのため、膜タンパク質を精製してその機能を解析しようと思うととても大変です。もし、膜挿入機構が明らかになって、試験管内で膜挿入反応を再現できるようになれば、理論的にどんな膜タンパク質でも容易に機能を解析することができます。最近ではゲノムプロジェクトなどで多くのDNA配列が明らかになっており、ヒトの細胞ですらどんなタンパク質が合成され得るのかわかっています。その中の多くが膜タンパク質で、しかも機能がわからないものです。こうした膜タンパク質は、新しい薬の標的として注目されているものの、実際に薬のスクリーニングを行うのはとても煩雑です。そこで、「膜タンパク質試験管内合成・膜挿入システム」を開発すれば、こうしたスクリーニングは非常に容易になります。また、タンパク質膜輸送の分子機構は、その基本的な部分ですべての生物で保存されています。しかも、葉緑体におけるタンパク質輸送系は大腸菌とより類似性があります。ということは、葉緑体ではMPIaseに相当する分子が存在する可能性が極めて高いと言えます。葉緑体MPIaseを同定してその機能改変を行えば、たとえば低温耐性植物を開発することも可能であると考えられます。しかし、どういう応用をするにしても、基本的な分子機構を解明することが最初のステップになります。


Q 卒論や大学院で研究室配属されると、何でも好きな研究をさせてもらえるのですか?

A 私が責任を取れる範囲で、納得のいく研究をしてもらいたいと思っています。


Q 卒論でも学会発表や論文発表させてもらえますか?

A 学会発表や論文発表は積極的に行ってもらっています。そのために、最大限のサポートをします。