授業科目対象学生
(専修及び年次)
講座等
(必修・選択別,単位数)
担当教官
(所属,所在)
造林学T
(前期開講)
 農林生産学科
(森林生産学2年次)
森林資源生産学
(必修,2単位)
  橋本良二
(農林生産学科)
(2号館3階)
授業の目標

 文明の発達が,植生の後退は疎か,回復しがたいほどの破壊を繰り返してきたことは,歴史の示すところであり,賢者の悟りを引くまでもない.最も豊かな生物資源と環境を供与する植生が森林であることから,人がおこなう森林の造成は,それが文明を根底からささえることを認識した,叡知の実践にほかならない.農業,とりわけ林業が壮大なスケールで生態系の秩序をつねに論じつつおこなわれるのは,このためである.自然の生物集団が獲得した世代交代の姿から,人がおこないうる持続可能な森林造成について学び,造林の目的とその実行に要する材料を体系的に理解するのが本授業の目標である.

授業計画

第1回 林木の育種(育種の目的と方法)
第2回 林木の育種(採種園と採穂園)
第3回 林木育種事業の概要
第4回 遺伝資源の保全
第5回 種子(開花結実の習性)
第6回 種子(開花結実の調節)
第7回 種子(採取,調整および貯蔵)
第8回 種子(発芽促進と品質検査)
第9回 育苗(苗畑の維持管理)
第10回 育苗(苗木の栄養と肥培管理)
第11回 育苗(諸害の防除と苗木の品質)
第12回 育苗(無性繁殖法)
第13回 種苗生産と森林種苗法
第14回 総括(造林材料の将来)

授業の概要

 造林の成果は,材料,土地,更新育成法,これら三者の選択の適否で決まる.造林学Tでは,これらのうちの材料を中心にあつかう.造林材料は,種子と稚苗に大別される.それぞれ遺伝的に優れた成長特性を有し,気象害や生物害を回避できることに加え,調達容易であることが要求される.本授業では,森林造成の基礎となる林木の育種と種苗の生産について,林木の利用目的との関連を踏まえながら,体系的に学ぶ.

教科書,教材,参考書「造林学 三訂版」(川名 明ら,朝倉書店,定価 3914円)を教科書として使用する.参考書には,「造林学−基礎理論と実践技術」(佐々木恵彦ら,川島書店)があり,図書館に所蔵.
授業の形式講義を主体とし,授業内容の要約および関連の図表等を資料として配付する.必要に応じ,スライド,OHPを使用する.
成績評価の方法総括的なレポートを課し,問題意識と理解度の面で評価する.出席状況を評価の基準に加えている.
履修にあたっての留意点森林資源生産学実験実習T(1単位)と一体化した授業である.