樹木は太陽エネルギーのみをエネルギー源に用いることにより、極めて効率的に有機物の生産および変換を行っている。すなわち、その静かな外見からは窺い知ることのできないダイナミックな生命活動が、細胞を主体として営まれているのである。また、一方では森林で朽ち果てていく樹木があり、そこでは森の分解者であるキノコなどの微生物が旺盛な活動を行っている。これら樹木の生と死に関わる様々な生命活動を、細胞レベル、分子レベルで考える。

第１回 樹木成分の生合成：
　　　　一次代謝と二次代謝
第２回 樹木成分の生合成：
　　　　多糖類の生合成(1)
第３回 樹木成分の生合成：
　　　　多糖類の生合成(2)
第４回 樹木成分の生合成：
　　　　リグニンの生合成(1)
第５回 樹木成分の生合成：
　　　　リグニンの生合成(2)
第６回 樹木成分の生合成：
　　　　抽出成分の生合成(1)
第７回　樹木成分の生合成：
　　　　抽出成分の生合成(2)
第８回　樹木組織の形成と分化：
　　　　木部・師部の形成と分化機構
第９回　樹木組織の形成と分化：
　　　　早材・晩材・心材の形成と制御
第10回　樹木成分の生分解：
　　　　樹木の腐朽と腐朽菌
第11回　樹木成分の生分解：
　　　　多糖類の分解に関わる酵素
　　　　およびその発現と制御(1)
第12回　樹木成分の生分解：
　　　　多糖類の分解に関わる酵素
　　　　およびその発現と制御(2)
第13回　樹木成分の生分解：
　　　　リグニンの分解に関わる酵素
　　　　およびその発現と制御(1)
第14回　樹木成分の生分解：
　　　　リグニンの分解に関わる酵素
　　　　およびその発現と制御(2)
第15回 成績評価

　はじめに樹木を構成する各種成分の生合成のメカニズムと、これに関与する酵素の生成・制御について学ぶ。次いで、ややマクロな視点から樹木組織の形成と分化、早材・晩材および心材の形成と制御について、植物ホルモンとの関わりを含めて論ずる。最後に樹木の腐朽過程における担子菌の役割と、関連する酵素の性質および発現と制御の機構について学ぶ。