授業科目対象学生
(専修及び年次)
講座等
(必修・選択別,単位数)
担当教官
(所属,所在)
木材化学実験

(前期開講)

応用生物学科
(生物資源利用学3年次)

農林生産学科
(森林生産学専修) 専修外

木材利用科学
(選択1単位)

太田路一・小藤田久義
(応用生物学科)

(2号館2階)

授業の目標

木材化学の分野では、樹木成分の構造解析、抽出物からの生理活性物質の単離、生合成および生分解経路などの研究において様々な有機化学的実験手法が必要とされる。本実験実習では、なかでも共通して用いられるような基本的実験操作法を有機合成実験を行う過程で実践し、習得する。さらに、樹木の腐朽および関連酵素についても実験を行い、木材化学分野における微生物および酵素の取り扱い方を習得するとともに、腐朽菌が樹木成分を分解するために分泌する様々な酵素について知る。

授業計画

第1〜 3回 
 1 2: 5 6-Di-O-isopropylidene-α-D-glucofuranoseおよび3'4'-dimethoxyflavonolの合成

第4〜 6回 
 反応生成物の同定(UV、IR、NMRスペクトルおよび融点等の測定)

第 7〜 9回 
 データ解析等

第10〜12回 
 粗酵素液の調製と蛋白質の定量(菌の培養は第1週より第4週まで行う)

 第13〜15回
 セルラーゼ、キシラナーゼおよびラッカーゼ活性の測定

授業の概要

木材化学実験では、はじめに有機化学的実験手法の習得を目的とした合成実験を行い、しかるのち木材腐朽菌が分泌する各種酵素活性の測定を中心とする酵素実験を行う。
 1. 合成実験: 有機合成は入手可能な既知物質を出発点として、骨格合成や官能基変換などの反応、生成物の分離と精製、生成物の同定という過程を経る。生成物の分離と精製の過程では結晶化、各種クロマトグラフィーなどが含まれ、また生成物の同定のためには融点の測定および各種スペクトルの解析等が必要となる。これらの基本操作を下記の合成実験を通して学習する。
 2. 酵素実験: 微生物はその酵素によって森林の木質系堆積物を分解・代謝し、炭素循環に重要な役割を担っている。また利用の面からも、樹木成分の分解酵素を紙パルプ製造工程に用いることなどが検討されている。本実験では木粉培地を用いて担子菌の培養を行い、菌が木材の生分解過程で分泌・生産する酵素を分離し、これら生分解関連酵素の活性測定を行う。


教科書,教材,参考書参考書(いずれも図書館に所蔵)
" マイクロスケール有機化学実験 "(Williamson K. L. 著、後藤俊夫他訳、丸善)
" 有機化合物の構造決定法 "(田中誠之編著、産業図書)
" 木材化学実験書 II 化学編 "(日本木材学会編、中外産業調査会)
" 木質生化学 "(樋口隆昌著、文永堂出版)

授業の形式実験実習。数人ずつ班毎に分かれて実験を行う。一つの実験が終了する都度各自の実験ノートを提出する。

成績評価の方法実験に取り組む態度および実験ノートを参考にする。

履修にあたっての留意点有機化学および分析化学を履修しておくことが望ましい。