小動物病態内科学研究室
■ネコの多発性嚢胞腎(polycystic kidney disease:PKD)の病態解明
PKDは腎臓に嚢胞(水の溜まった袋)が多数でき腎臓の機能が徐々に低下していく、常染色体優性の遺伝病です。
ヒトでは難病指定されており、決定的な治療法は未だなく、末期には透析や腎臓移植が必要となります。
この病気は、ネコでは特にペルシャやエキゾチックショートヘアで多くみられます。
PKDの病態と発症のメカニズムには未だ不明点が多く、我々の研究室ではPKD細胞の分析を行うことにより病態解明に取り組んでいます。
■慢性腎臓病における尿中バイオマーカーの検索
伴侶動物の老齢化とともに、腎臓もまた少しずつダメージを受け機能が低下していきます。
慢性腎臓病を治す治療薬はありません。したがって、「予防と早期発見が一番の治療法になる」との考え方が主流です。
そのためには、腎臓病の発症した早期に尿検査で検出できるバイオマーカーがあれば、はやく手が打てるようになります。
また、その後の進行が早いのかどうかの予後診断にも利用できるバイオマーカーもあるかもしれません。
我々の研究室では、尿の詳細な分析を行うことにより、新規バイオマーカーの発見に取り組んでいます。
■雑種犬における好中球機能低下症の遺伝子解析
我々は、新規の好中球機能低下症を見つけ出しましたが、家族性に発症していたことから、遺伝疾患である可能性が高いと考えています。
原因遺伝子が判明している犬白血球粘着不全症(CLAD)と類似した病態をもちますが、そのエキソンでの遺伝子変異は認められていません。
そこで、遺伝子変異部位を探すために、非翻訳領域などの遺伝子配列の解析を行うことにより遺伝的背景の解明に取り組んでいます。