酒造米の研究 |
本研究は、指導教官 西 澤 直 行教授の指導下における、斉 藤 博 之の岩手大学大学院連合農学研究科博士課程における研究である。
斉 藤 博 之氏は、岩手県職員岩手大学大学院連合農学研究科博士課程社会人入学して、修了した博士第1号である。
1. どんな研究か
本研究は、新品種酒造米の酒造適性評価について、統計的手法によって体系的に解析して、その評価方法を開発した。まず、新品種の分析値を5段階に評価する基準値を、又、主成分分析からサンプル得点図の評価法を考案した。次に、新品種を酒造好適米と一般米を明確に判別する重判別式を導いた。その結果、千粒重と吸水性20分の値からなる式が得られた。更に、酒造適性を評価する基準値と範囲を、次のように開発した。(1)酒造に適した酒米分析値であるかどうかを評価する「酒造適性基準値」を重判別分析法によって、千粒重、吸水性20分、蒸米吸水率、及び直接還元糖の項目順に、24.16g、25.52%、39.20%、9.53%以上、粗蛋白質を5.70%未満の値とした。(2)酒造適性を数値化して、「酒造適性スコア」、及び(3)「山田錦並範囲」を導入した。本研究は、従来あいまいであった酒造米の酒造適性の評価方法を明確した。
2. 日本醸造協会 伊藤賞 受賞 (平成9年度)
本研究の成果は、平成9年度の日本醸造協会伊藤賞の受賞となった。
テレビ、新聞報道:平成 9 年 8月 29 日、岩手日報;9月4日 IBCテレビ、受賞式の様子を放映
また、上記の業績の貢献で、同氏は、岩手県職員顕彰表彰もされている。
3. 詳しくは、下記の論文を見てください。
総 説
(1). 斉 藤 博 之 (1998)
新品種酒造米の酒造適性を推定する方法の開発と実用的応用 (仮題)
J. Brew. Soc. Japan, Vol. 93 (印刷中)
原 著 論 文
(1). 斉 藤 博 之、西 澤 直 行 (1996)
新品種酒造米の酒造適性を推定する方法
J. Brew. Soc. Japan, Vol. 91 (10) 737-744.
(2). 斉 藤 博 之、西 澤 直 行 (1996)
酒造好適米と一般米を判別する方法
J. Brew. Soc. Japan, Vol. 91 (2) 123〜129.
(3). 斉 藤 博 之、谷口 肇 (1995)
新品種酒造米の実用的評価方法の開発とその応用
J. Brew. Soc. Japan, Vol. 90 (5) 387-393.
2. 食品の機能性とは
3. 研究の方法
栄養化学研究室では、食品の分析から、実験動物、細胞まで扱います。
食品の体に及ばす効果は、ただ単に分析をしただけでは、ほとんど分りません。我々が、いつものように食物を食べて、からだのすみずみまで栄養が行き渡りその生理効果を機能するすると同じように、実験をする必要があります。しかし、ヒトでこのような実験を頻繁に行うのは困難がありますので、動物実験を行うのが普通です。
・食品の機能性成分の分析 --- 食品成分、アミノ酸、豆腐のイソフラボン含量など。
・動物実験 --- ラット、マウス --血液中の血漿の-コレステロ-ル、中性脂肪濃度、SOD活性、抗酸化性などの測定
・細胞培養実験 --- 生体と同じような生理機能性を、細胞培養で行い、からだに及ぼす食品の機能性を推測します。動物を使用しなくてもある程度の機能性を測定できるメリットがある。
・ヒトに対する効果実験 --- 食品の研究では、いくら高価な分析機器を用いて分析しても、また、動物実験の結果で機能性を現しても、最終的にはヒトでの効果があるかどうかを調べることが必要です。病院との連携で、安全性を充分考慮した上で、ヒトに対する実験も行います。しかし、動物実験と異なり、頻繁には行えない。