食品の機能性とは、どのようなことか

1. 食品の機能性 --- Food Functionality

 生きていくためには、食べ物から必須の栄養素を取らなければなりません。これが、食品の必須栄養素としての働き(一次機能)であり、生命維持のために必ず食べ物から取らなければならないものです。しかし最近、必須栄養素の機能では説明できない働きが分ってきています(三次機能---食品の機能性)。これらはもはや、従来の食品化学や栄養学というよりは, 食品機能学と云う新しい学問分野になっています。例えば、大豆食品や, 食物繊維の 血中のコレステロ―ル濃度低下作用はその典型といえます。更に、オリゴ糖の腸内ビフィズ菌の増殖機能、また元々の蛋白質では機能しないがその蛋白質由来のペプチドの免疫増強作用や、更には魚の油のEPA, DHAなどのさまざまな機能性があげられる。これらの研究の成果は、低アレルギ−米や、食物繊維、オリゴ糖商品などの機能性食品の開発に発展しており、この分野の食品市場を活発にしている。

栄養化学研究室では、次のような食品機能性の研究を行っている。

機能性穀類 (雑穀) の食品機能性研究

納豆の食品機能性成分 -- 納豆

新機能豆腐の開発研究 ---豆腐

酢卵の食品機能性研究 -- 卵

海藻の食品機能性研究 -- 海藻

活性酸素が体タンパク質代謝に及ぼす影響と食品

食品成分によるカルシウム利用性の向上

2. 機能性食品

このような食品を食べた時に、その機能性の効果をヒトで現す食品を、厚生省では特定保健用食品 (通称、機能性食品) として認可して、商品にその効用を表示することが許されている。従って、機能性食品の認可を受けるには、動物実験だけでなくヒトへの効果を示す研究デ-タを出す必要があります。日本は、世界に先駆けて機能性食品を制度化した。今日不況と言われているが、この分野は、日本だけでなく世界的に活発に開発研究が行われており、市場が動いている。

現在、78品目が厚生省より認可されている。

3. 食品機能性研究の方法

食品の体に及ばす効果は、ただ単に分析をしただけでは、ほとんど分りません。我々が、いつものように食物を食べて、からだのすみずみまで栄養が行き渡りその生理効果を機能するすると同じように、実験をする必要があります。しかし、ヒトでこのような実験を頻繁に行うのは困難がありますので、動物実験を行うのが普通です。

・食品の機能性成分の分析 --- 食品成分、アミノ酸、豆腐のイソフラボン含量など

・動物実験 --- ラット、マウス --血液中の血漿の-コレステロ-ル、中性脂肪濃度、イソフラボン、ポリフェノ-ル、SOD活性、抗酸化性などの測定

・細胞培養実験 --- 生体と同じような生理機能性を、動物細胞培養で行い、からだに及ぼす食品の機能性を推測します。動物を使用しなくてもある程度の機能性を測定できるメリットがある。

・ヒトに対する効果実験 --- 食品の研究では、いくら高価な分析機器を用いて分析しても、また、動物実験の結果で機能性を現しても、最終的にはヒトでの効果があるかどうかを調べることが必要です。病院との連携で、安全性を充分考慮した上で、ヒトに対する実験も行います。しかし、動物実験と異なり、頻繁には行えない。