「エルピーダメモリーの破綻について」     2012.3 

 先日,エルピーダメモリーが破綻したという報道があった。

情報産業の米とも言われるメモリー生産,

米国で開発され生産が始まり,

単純精密機器の大量生産が得意な日本が生産高世界一に,

そしてインフラコストの安い台湾での生産へ。

より早く,容量の大きいメモリーの開発で

15年前(2000年頃)までは,日本は優位にあった。

しかし,世界的な競争の中で優位性が揺らぎ始め,

一大合併会社エルピーダメモリーができたのでしたが,

船頭多くして船進まずで,破綻に至ったわけです。

 

一方韓国では,未来志向の国策として社会の情報化を促進し,

それを支える情報産業を重要な発展産業と位置づけた。

メモリー生産はその基幹であると国を挙げて先行投資し,

生産,さらに開発にも力を入れた。

現在,世界メモリーの70%近くは韓国で生産されている。

 

メモリーはDDRからDDR2,そして現在のDDR3へ。

容量と速さが倍,倍,倍と進んで,値段はむしろ安くなった。

2011年,ついにDDR4出現,韓国サムスン電子より!

今年(2012)より発売開始とか。

 

中国やインドでも30年前ぐらいから,情報化志向は強かったと思う。

私がカナダ,米国に留学した1980年代初め,

中国,インドからの留学生の多くは情報関連分野志望であった。

その当時の日本人留学生は,

入学が難しい日本の大学を諦めた若者が多く,

語学学校で学んだ後,

入学容易な社会学部や保健学部へ行くものが多かった。

日本の老齢化をみこし,福祉国家日本を目指していたのかも・・・。

 

さて,日本社会を支える若者の大学進学傾向を見ると,

6070年代では,理系重視で優秀な人材は理系を目指し,

大学入試の難易度も理数系優位であった。

うむ,彼らが技術立国日本を支えていたのだ。

 

80年代になると先ず教員養成の教育学部で理数離れが始まり,

国語科や社会科が優位となる。

理数系教師の“でもしか化”が始まったようで・・・?

でもゆとり教育でみんなが難解な理数を取らなくても良くなった。

ま,それなりに,うまく行ったのかな。

今,過去の技術立国の栄光を引き継いでいるのはこの世代ですよね。

 

90年代になると

4年生大学への女性進学率の上昇や遺伝子工学の発展もあり,

工学離れが始まり,理数では生物が人気科目となり,

情報工学科などができても倍率は低いままであった。

競争倍率では農学系が工学系を上回り,女子学生が急増した。

2000年代に入ってもこの傾向は変わらず,

工学系に生物工学や生命工学ができたが,人気は今ひとつ。

この時代の卒業生達が,

益々激しくなる世界的技術競争に立ち向かう

日本の技術精鋭部隊なのだ。

うう・・,頑張っているとは思うがかなり厳しい気がする。

 

米国でも子供の理数離れで,教育のてこ入れ策が講じられているが,

なかなか成功していないようだ。

しかし,米国の凄いところは,

大学の研究や教育には世界から人材を募り,

世界Topの研究・教育を行っていることだ。

大学教員の人種や母国は

ヨーロッパ系,アジア系,インド系と様々だ。

学生も世界から集まっている。日本人留学生は減っているが。

もちろん企業も,

世界から人材を募り,最先端の研究を行っている。

だから,開発では世界の先頭を走り続けているのだ。

 

良く技術に優れた日本と言いますよね。

でも,我々の研究室で使っていた機器類は簡単なものを除くと

ほとんどが外国製でした。

なぜなら,便利さ,堅牢さ,正確性などで日本製より信頼できるのです。

そう,安いものだと中国製も増えていましたね。

今ひとつ信頼できないのですが。

 

私は電子機器が好きで,パソコンやデジカメ,プロジェクターなど

時々更新し,それなりに最新の技術導入のものを手にしています。

値段もあるが日本製はデジカメとプリンターだけです。

同じ値段で性能を比べたら,最新仕様では米国,台湾,韓国,中国が上。

それが現在の日本の現状なのでは。

 

例えばプロジェクター;フルHD3D対応,HDMI接続可で

なんと8万円(2010年購入),台湾製です。

日本製だと2030万円でもまだ3D対応は有りませんでした。

ビジネス仕様のパソコンなら,

値段でHPコンパックやデルにかないません。

内部の作りも感心するほど合理的にできている。

でも,軽量小型のノートは,

高いけど日本製,パナソニックです。

確かにこれは重量,持続時間,堅牢性など,優れものです。

 

日本の優位な物品もそれなりにはあるのですが,

だんだん少なくなっているような気がします。

特に世界のソニーはどうしたのでしょうね。

 

では,日本はいかにすべきでしょうか。

<<途中飛ばして>>

子供を大事にし,お金をかけて丁寧に教育すること。

教師を増やし,教育の仕方に競争原理を入れること。

 

大学の教師は世界基準で募集し,

英語での教育を行い,学生も世界から集めよう。

入試は面接のみで入学させ,

学年試験や卒業試験を公的な外部機関で行い

学力の達成度で卒業資格(学士)を与える。

 

技術教育にはドイツのようなマイスター制を導入し,

技術者の地位を保証すべきだ。

 

日本再生のために,

この提言の1つでも取り上げてもらえたらと思う。

 

途中省略しました・・・

 

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