リンゴ高接病の病原ウイルス

リンゴ高接病
 リンゴ高接病は、リンゴの台木が衰弱し、やがてリンゴ樹全体が枯れてしまう病気です。この病気は日本特有ですが、その理由はわが国でリンゴの台木として使われているマルバカイドウやミツバカイドウなどが、病原ウイルスであるACLSV、ASGV、ASPVに感受性のためです。栽培リンゴ品種では、これらのウイルスが感染しても通常は病徴は現れません(潜在感染)。
 左図(上段左と真中)はASGVによって接木部が壊死を起こしている様子です。ASGVはリンゴ以外に、カンキツにも感染して接木部異常症を引き起こします(上段右、中段真中)。
 ACLSV、ASGV、ASPVは、いずれもひも状のウイルスで(左図下段はASGV)、長さが600〜800nmです。われわれの研究室ではこれらウイルスゲノムの全塩基配列を解析し、ゲノム構造を明らかにしました(下図)。分類学的には、ACLSVはトリコウイルス属、ASGVはカピロウイルス属、ASPVはホベアウイルス属に所属します。
 現在、病原性の強いウイルス株と弱い株では遺伝子の中のどこが違うのかという病原性の解析、またウイルス本体やウイルスが持っている遺伝子をウイルス病の防除に利用しようというテーマで研究を進めています。

 

リンゴ高接病の病原ウイルスのゲノム構造

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