岩手大学 農学部 附属施設

寒冷バイオフロンティア研究センター

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岩手山 四十四田
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センター概要


センターの目的

本研究センターの目的は、「寒冷環境におけるユニークな生命活動を追及するとともに、その成果を地域社会に還元しながら、「温度と生命活動」に関する研究教育成果を世界に向けて発信することです。
 本研究センターは学部教育においては多くの講義を担当するとともに、副担当教員として各課程4年次学生の卒業研究指導を行っています。また、大学院農学研究科バイオフロンティア専攻(修士課程)及び大学院連合農学研究科(博士課程)に属し、大学院学生の教育・研究指導を積極的に行っています。

センターの各研究分野の設置目的


寒冷発育制御研究分野

 生物の寒冷適応に関わる生理現象の中で、生長と分化に着目した研究を分子レベルで展開し、その制御メカニズムを明らかにする。生物が寒冷環境に適応して生存・発育・生長できるしくみの解明に取り組み、農・産業等の発展に役立てる。

生命適応機能研究分野

 寒冷環境で生育する植物が持つ環境ストレスによる傷害から回避する機構、及び、低温などの劣悪環境に適応する分子機構を明らかにし、植物がもつ高い環境ストレス耐性を獲得するための内生メカニズムを解析する。地球規模での気象変動が進行する現在、高緯度地方への農地拡大や突発的気象災害による被害の軽減などに貢献する。

生体熱制御システム研究分野

 ザゼンソウをはじめとする発熱植物の熱産生システムを構成する要素群を同定・解析するとともに、そのシステム制御メカニズムを明らかにします。また、ザゼンソウなどの発熱植物の一般市民への紹介等、サイエンスメディエーター機能を充実させるとともに、研究成果の応用及び実用化を積極的に推進する。

細胞遺伝応答研究分野

 寒冷環境に生命維持機構が応答・適応するしくみ、あるいは寒冷ストレスにより傷害を受けるしくみを、生長の制御(細胞増殖の停止や再開)や組織形成・分化の制御の面から分子生物学的および分子遺伝学的手法で解明する。地域特産物などを研究材料とし、地域農業・産業に貢献する。


センターの理念

 岩手大学農学部としては、昭和63年4月から10年間存続した「細胞育種学実験施設」が平成10年3月で時限を迎え、同年4月から10年の時限で「寒冷バイオシステム研究センター」へと衣替えし、平成20年3月で時限を迎えました。
 第2ステージに当るこの10年間の教育研究実績として、設立当初の目的である「生物の寒冷に関わる現象を解明し、その成果を有用生物の育種に応用する」という旗印が、「岩手大学農学部附属寒冷バイオシステム研究センター活動報告書」(平成19年3月発行)に反映されているように、植物耐冷性に関する数々の評価の高い論文業績と競争的研究資金の受け入れ実績に結実しています。また、その出口としては、ザゼンソウ、リンドウ、寒冷地作物を巡る応用開発へと着実に進化を遂げています。さらに、平成16年度には本センターのメンバーを核とし、21世紀COE事業「熱−生命システム相関学拠点創成」に採択されたことは特筆に価します。
 従って、岩手大学農学としては、本センターの役割を第3ステージと位置づけ、「農学部附属寒冷バイオフロンティア研究センター」へと発展させることを決断しました。新センターにおいては、世界的に類を見ない「温度と生命活動」の関係をさらに進化させながら、寒冷圏の生命システムの特性を解明しつつ、その成果を地域社会に還元し、世界に向けて「温度と生命活動」に関する研究教育成果を情報発信することを目指しています。

センターの使命

 2006年のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)報告によれば、地球温暖によって発生する人類の諸課題は寒冷圏も含めて全地球的な深刻な問題となっています。岩手大学農学部においては、前身である盛岡高等農林学校が明治35年(1902年)の勅令第98号をもって設立された趣旨が寒冷地農業への期待からであり、100年以上経へても新センターとしてこの精神が脈々と受け継がれ、21世紀の新しい課題である「温度と生命活動」へと昇華させながら、新センターとしての使命を、以下の3点に要約します。
1. 寒冷環境生命分野の研究成果を世界に向けて発信する。
2. 研究成果を地域社会に還元する。
3. 寒冷環境における生命分野の教育と研究のフロンテアを担う。