学び直して,アグリでキャリアアップ! IAFSは21世紀の農業を切り拓く意欲的な農業経営者を育てます

IAFS いわてアグリフロンティアスクール
 講義風景
「講義風景」では、実施した講義の様子を随時掲載していきます。 ※スクール修了生の方は、現地研修・演習以外の座講は聴講可能な場合もありますので、事務局(TEL019-621-6231)までお問合せください。
平成28年
12月8日(木)「都市農村交流論」
12月7日(水)「鮮度保持・流通技術」
11月30日(水)いわてアグリフロンティアスクール設立10周年記念シンポジウム
11月24日(木)「インターネットを利用した農産物マーケティング」
11月18日(金)「農産加工品のマーケティング」
11月10日(水)「デザインとブランド」
11月2日(水)「商品開発・農業機械」
10月26日(水)「アグリ管理士との意見交換」
10月5日(水)「マーケティング改善演習1」
10月4日(火)・12日(水)「地域活性化論」
9月28日(水)「6次産業化関連現地研修2」
9月14日(水)「食の安全管理」
9月7日(水)「農業技術先進地研修2」
8月24日(水)「公開講座・地域リーダー活動演習」
8月18日(木)「地域担い手形成論」
8月17日(水)、23日(火)「会計財務管理と経営診断」
8月3日(水)「農業経営戦略演習」
7月27日(水)・28日(木)「現場スタディ」
7月21日(木)「農場の衛生管理」
7月20日(水)「地域マネジメント論」
7月13日(水)「農業技術先進地研修1及び6次産業化関連現地研修1」
7月6日(水)「経営成長の管理」
6月29日(水)「病害虫管理」
6月28日(火)「食産業ビジネス論」
6月23日(木)「地域資源活動論」
6月21日(火)「土壌管理」
6月15日(水)「農業経営戦略論」
6月8日(水) 「人的管理・労務管理」
6月3日(金) 「農業経営の発展と農業協同組合」
5月26日(木) 「農業を巡る内外情勢」

平成27年 >

○ 12月8日(木)「都市農村交流論」

【講師】

  1. 岩手大学農学部共生環境課程
    造園計画学・観光学研究室 山本 清龍 准教授
  2. 農事組合法人やくらい土産(どさん)センターさんちゃん会
    代表理事組合長 加藤 重子 氏

【講義の概要】

○ 山本准教授から

  1. 観光とリゾートについて、観光は日常の刺激から更に非日常として刺激のある方を志向し、リゾートは日常の刺激から解放・弛緩される異日常を志向するという違いがある。
  2. 岩手大学の学生(東北圏から7割が入学し農村に親しんでいると想定される母体)に「新しい観光の方向性」について意識調査をしたところ、農村体験観光(グリーン・ツーリズム)と回答した者が最も多く、学生が考える「観光への取組提案」としては、住民参加型、地域一丸となった観光振興、方言を話す観光ガイドの養成などがあり、観光プログラムとしてはホスト(受入側)との交流型滞在・民泊ツアー、来訪者が参加出来る祭り・イベントの開催などに回答者が多かった。
  3. 学生の意識調査は、従来の名所見物型の「見る」ことを主眼とした観光から、滞在型、学習・体験型の「する」ことに主眼を置いたエコツーリズム(ecotourism)へと旅行の志向が移ってきていることを示しているともいえる。近年はバックヤードツアーに人気があり、「表を見たいから裏を見たい」、「目抜き通りから横町へ」とニーズが多様化しており、旅行者の「する」ことをサポートする役割として、ガイドの果たす役割が大きい。地域の景観や食がガイドの話す言葉と相まって、地域の魅力を旅行者に知ってもらうことに繋がる。
  4. 岩手にも高松の池や北上展勝地、盛岡石割桜など、花見を「する」という、エコツーリズムの資源があるが、旅行者がお金を落とす仕組みがなくもったいない状況。施設間連携や環境学習、住民参加によるガイド、歴史・文化に関するプログラムなどにより、「岩手」のイメージを多様化していく必要。
  5. グリーン・ツーリズムについては、体験主義の浸透によりプログラムの画一化が始まっている。過度な企画開発競争や価格競争、ホスト側のもてなし疲れがあり、ホスト側が無理をしないことが継続するためには肝要。
  6. グリーン・ツーリズムの浸透については、英国で地域観光振興・地域資源管理を担う中間支援組織があり、観光ボランティアに対して旅行者へのサポート提案を行い、けしかけ役を組織的に行っている。

 

○ 加藤代表組合長から

  1. 旧小野田町の町長が、地元の薬莱山を活かした観光としてグリーン・ツーリズムに積極的であり、都市と農村の交流を考える契機になった。平成5年にグリーン・ツーリズムの研修でフランス・ドイツを訪れ、農場で喫茶店を経営している農家や酪農場の納屋を改装し長期滞在型の農家民宿を見学。日本では考えられなかった農家の在り方に感銘を受けた。
  2. その後、平成13年に農家民宿・レストランを開業。地産地消を旨とし、自分で作った農作物を地域の伝統料理として提供し、宿泊のお客様に喜んでいただいている。農家民宿は年間200名から250名程度で450万円程度の売上げであり、リピーターが多い。夏・冬を通して、勉強会や学校の合宿、ゆっくりとした時間を過ごしたいお客様が多い。仙台圏の中学生の合宿に際しては、田植え等の農業体験もしてもらっている。
  3. 農家民宿は、料理を一緒に作って食べるという形にしないと民泊許可がおりない。農家民宿の継続のコツは、飾りすぎないこと。長続きさせるためには、ありのままを宿泊者に見せるのが重要。
  4. 一方で、産直「やくらい土産センター」を平成6年から開始し、現在、会員は200名程度、全体販売額は約2億4千万円になっており、年間で会員一人あたり100万円弱の販売額となっている。産直の代表をしていることで、自ら経営している農家民宿についても、町が積極的に宣伝してくれた。
  5. 産直の代表として今、考えることは、産直「やくらい土産センター」で収入が得られることを地域の若者に示したいということ。また、産直で、子育て中のお母さんをパートで雇っており、レジ打ちを任せているので、今何が売れているのかを各家庭にフィールドバックし、農産物の収益向上を目指して欲しい。

 
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○ 12月7日(水)「鮮度保持・流通技術」

講師は2名で午前と午後にそれぞれ講義を行った後、全体討議を行いました。

<午前の部>「農産物・農産食品の鮮度保持・流通技術」
岩手大学農学部 食料生産環境学科農産物流通科学研究室
教授 小出章二氏

  1. 鮮度とは
    1. 鮮度とは、「新鮮さ」の度合で、収穫後の時間とともに低下する。
    2. 消費者が青果物を購入する際重視する点の第1位は「鮮度」(「価格」は2位)
    3. 青果物の鮮度の基準の1位、果実は「色・つや」、野菜は「みずみずしさ」
  2. 鮮度保持の基礎
    1. 鮮度保持技術の基本は、①呼吸を抑える ②蒸散を抑える ③微生物の繁殖を抑えるの3つに大別され、そのためには「低温管理」と「包装技術」が重要である。
    2. 低温流通のためには、産地で予冷を行う必要がある。(強制通風、差圧通風、真空冷却)。
    3. 包装資材の発展は目ざましく、各種フィルムの性質を生かしたフィルム包装や呼吸と蒸散を抑制する「MA包装」などがある。
    4. ガス貯蔵としては、リンゴやニンニクで「CA貯蔵」が実用化している。
    5. 「エチレン」の感受性の高い青果物はエチレンを抑制し品質保持が可能。
  3. 鮮度保持の実態と今後の課題
    1. 野菜・果実・穀物についてそれぞれの特徴と現在の鮮度保持対策について解説
    2. 今後期待される技術として「輸出関連技術」「シミュレーション技術」「革新的検査技術」「収穫前評価技術」等が挙げられた。

 

<午後の部>「高付加価値化に向けた米・米粉の加工流通技術と品質評価」
農学・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門 食品加工流通
研究領域 食品製造工学ユニット長 岡留博司氏

  1. 主食米の加工流通技術と品質について
    1. 世界の米、日本の米、消費者や食味分析等についての説明があり、米の品質、食感にはアミロース含量が大きく影響しているとのこと。
    2. 最近では、チルド米飯等用の低アミロース米、ピラフ等用の高アミロース米など用途別の品種開発もなされている。
  2. 米粉の加工流通技術と品質について
    1. 粉製品の種類や用途、生産量等を概説。
    2. 米粉は「粉砕」の仕方が加工適性や最終製品の品質に影響することを力説、粉砕機による米粉の特徴や製粉方法による米粉の製パン性などが紹介された。
    3. 米粉を製造する際には、その目的に合った機種選定が重要であることが説かれた。

 
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○ 11月30日(水)いわてアグリフロンティアスクール設立10周年記念シンポジウム

11月30日(水)にいわてアグリフロンティアスクール設立10周年を記念し、本スクールの創設に大きく携わられたDABアグリ研究所所長・岩手大学名誉教授の木村 伸男先生をお迎えして、「農業ビジネス戦略計画」の考え方を再確認するシンポジウムを開催しました。

シンポジウムの内容について、リポートします。

○ 基調講演「農業経営の企業化と地域貢献」
  木村 伸男 岩手大学名誉教授

  1. 日本の農業経営は戦後の農地改革で誕生したが、食べるための生きていくための家業のための戦後に生まれた農業経営の仕組みは、2015年現在、賞味期限切れになった。
  2. 経営の老化は、時間経過によって、知識・経験が蓄積され、行動・組織・ルールが複雑・細分化して活力が低下すること。多くの経営者は、蓄積された知識・経験・ルールに従って行動をしており、経営の老化の脱皮のためには、若返り・世代交代といった経営のリセットや家業ではなく企業といった経営観の転換が必要。
  3. なぜ、農業をやるのか、何のためにやるのか今一度考える必要。農業経営者が「夢」を持つことで考え方を変えることができ、経営の仕組みを改善していくことができる。「夢」は忘れやすいので、書き留めておくことが重要。書き留めたもののうち、情熱や熱い思いが企業にとっての経営理念であり、社会にとってその「夢」がどういった意義があるのかが使命感であり経営目的になる。
  4. 農業経営者は、家業から企業へと価値観を転換し、家族の満足ではなく社会の満足を目指すべき。社会のニーズは、問題点の裏返しであり、ニーズに対応することが新しい問題の解決に繋がる。
  5. 経営目標は、現状維持ではあってはならず、現状より高く設定しなければならない。多くの農家は技術がなければ目標を達成できないと考えるが、目標を達成・実現するための手段が「技術」である。目標があってこそ、技術がついてくることを認識すべき。
  6. 農業経営の企業化プロセスは、@生活時間と経営時間の分離、A口座の分離、B家族関係と職能関係の分離、C生活空間と経営空間の分離の4つの「分離」がある。生活する母屋から仕事場が離れていくほど農業販売額が上がっていく傾向がある。
  7. 現在、北海道の網走などで、集落営農が議論されている。その根底には、企業化された専業農家が栄えても、その所在する地域社会が滅べば意味がないという視点がある。地域社会がなくなれば、農業経営もつぶれてしまう。企業化された専業農家をこれから支えていく仕組みが必要であり、支えるのは年金農業者ではないかと考えている。年金農業者に健康・生きがいといった人間として幸せな生活ができる福祉農業に取り組んでもらい、企業化された専業農家と福祉農業が連携していくことが重要になるのではないかと考えている。

○ 事例研究
① 北上市 及川 仁一 氏 (㈱岩ア農産代表取締役 平成20年度アグリ管理士)

  1. IAFSの講座を受講してから、なぜ北上市の岩崎地区で農業をしているのか自信を持って説明できるようになった。
  2. 岩崎地区では農民が古くから伝承してきた岩崎鬼剣舞という伝統芸能がある。岩崎鬼剣舞の芸能伝承と連携して、ストーリー性のある農業を発信していきたい。

② 遠野市 桶田 陽子 氏 ((農)宮守川上流生産組合加工部長 平成20年度アグリ管理士)
  1. 宮守川上流地区は、中山間地域であり、早くから担い手不足に直面。担い手の高齢化による離農により図らずも農地が集約され、一集落一農場として地域内ブロックローテーションを実施するとともに、加工場を建設し、加工作業受託事業による経営の安定を図っている。
  2. 組合商品ブランドの定着のため、取引先全店に組合の紹介アイテムを置くとともに、新規取引先を月1件開拓し、新商品開発を4半期に1商品行っている。今後は加工部発信による農産物栽培を開始し、農村地域に新たな付加価値・所得を作り出し、地域の雇用を担っていきたい。

③ 盛岡市 藤村 真哉 氏 (ふじむら農園代表 平成24年度アグリ管理士)
  1. 経営理念には、社会性、科学性(独自性)、人間性の3つの側面が必要。素敵な盛岡を作るために、農業をやっている。持続可能な地域になるためには、付加価値の高いものをつくり、地域にお金を引っ張ってくるものが必要。
  2. 経営理念や目的がはっきりしてこそ手段が生きてくる。金銭は、使うときに価値がでるものであり、何か目的を達成するための手段でしかないということを認識すべき。
  3. 経営計画は、自分の経営の航海図と羅針盤である。経営計画は、1年終わったらその後の4年を見直し、新たに6年目を創って完成する。日々の見直しが必要。

事例提供の後、今年度の受講生や修了生の皆様から、自由闊達な意見交換が行われ、大盛況のうちに、シンポジウムを閉会することができました。

閉会にあたって、盛川周祐 いわてアグリフロンティアスクール同窓会会長から木村先生へこれまでの御功績に対し感謝状が贈呈されました。

木村先生は、IAFSの理念や仕組みを創られた方であり、先生の基調講演は、大変エネルギッシュで、まさにIAFSのエッセンスが凝縮されたものでした。今年度の受講生の皆さんにとっても、改めて「なぜ農業をするのか」、「なぜ経営理念が大切なのか」を考える機会になったと思います。

IAFSは、歴代の講師の皆様とこれまでの修了生の皆様の御活躍のおかげで、10周年を迎えることができました。本当にありがとうございます。

IAFSの財産は、先進的で多様な修了生の皆様のつながりです。今後とも、IAFSの縦・横の繋がりを活かして、修了生の皆様に更なる高みを目指していただければと思います。

 
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○ 11月24日(木)「インターネットを利用した農産物マーケティング」

【講師】 堀 明人 氏
  一般社団法人 千葉IT経営センター理事(あびこブルーベリーガーデン園主)

堀先生は、情報通信業界で25年勤められ、情報システムやマーケティングを担当されてこられました。英国勤務時代に自分らしく生きる英国人のライフスタイルに強く共感し、2007年にコンサルタントとして独立され、2009年からライフワークとして新規就農し、あびこブルーベリーガーデンを観光農園として開設されていらっしゃいます。

【講義の概要】

  1. ○ マーケティングの本質は、商品の良さ・価値を伝えること。社会環境や消費者ニーズを踏まえて、何が足りないのか「隙間に気づき」、商品の価値を顧客に提案することが必要。形にして示すまで、顧客は何が欲しいのか分からない(分かっていない)。顧客が欲しいと思うものについて、仮説・実行・検証を繰り返して、顧客に価値を訴求していくことが重要。
  2. ○ 価値の訴求のためには、USP(Unique Selling Proposition)の確立が必要。その商品は何か、他と異なりどんな特徴があるのか、どんなメリットがあるのかを提案。
  3. ○ 消費者の購買決定のプロセスについては、インターネットが普及している今日、AISASの法則が妥当(Attention 認知、Interest 興味、Search 検索、Action 行動、Share 共有)。商品を知ってもらうこと及び商品に興味を持ってもらうことが必須。インターネットでは、昼夜関係なく、地理的な制約を超えて商品の掲示ができるが、膨大な情報量の中に埋もれやすい。
  4. ○ 認知のための手段として、名刺交換、チラシ、広告類、クチコミ、プレスリリース、動画ポータル、SNSなどがある。それらに商品のUSPを折り込み、何とかして顧客の認知を獲得し、興味を持ってもらう必要。検索の対策としては、ホームページで用いる文言をインターネットで検索される言葉にして、検索エンジンにヒットしやすくする工夫が必要。現在、Googleは、「ウェブマスター向けガイドライン」を公表し、過剰なリンクやMETAタグを利用したサイトに対しては、検索順位を下げる対応をしているので注意が必要。
  5. ○ ホームページでは、商品の購入に繋がるよう、USPをメッセージとして発信。具体的には、購入に繋がるメッセージとして、①顧客が商品から得られるメリット・価値を視覚的に伝え、②外部評価やお客様の声など客観的事実により商品を購入しても失敗しない安心感を与え、③最も他の商品と違う特徴を説明し、④内容量や賞味期限など商品の仕様を適切に記載する必要。また、顧客の購入に向けて裏付けとなる情報として、⑤商品のこだわりや理念、⑥他の商品との区別の源泉を示し、⑦商品の作り手の姿(ヒトケ)を見せ、⑧品質管理など社会的責任を果たしている事実の説明があると顧客による商品の購入をアシストすることにつながる。
  6. ○ ホームページの見せ方として、ネット販売では導線の出来が全てであり、売上げの良いネットショップほど、クリックの数を少なくするため、縦長のページになっている。多くの場合、前述の①から⑧が網羅的に記載。
  7. ○ リピーターを増やすためには、まず顧客に配送連絡など進捗状況を報告し、顧客の不安等を解消し信頼を得るのが最低限必要。その上で、ホームページの訪問者の検索ワードや閲覧ページでの行動などを分析し、定量的に顧客の購買へ結びつくホームページの導線づくりが重要。

堀先生の授業は、インターネットで農産物を販売していく上で、大変示唆に富む内容でした。インターネットで商品を販売するためには、何をすれば良いのか、その根拠となる考え方や思考過程が分かりやすく、理論的に整理され、受講生にとっても大変参考になったと思います。

 
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○ 11月18日(金)「農産加工品のマーケティング」

[講師] 岩手大学農学部応用生物化学科 食品工学研究室 教授 三浦 靖 氏

三浦先生は、IAFS創設以来マーケティングコースの主任講師を務め、平成25年度新体制になってからも「農産加工品のマーケティング」の講師を務めていただいています。
IAFS修了生と一緒に新しい加工品開発に取り組んだり、岩手大学附属三陸水産研究センターの所長を兼任した際、新たな発想の干物「潮騒の一夜干」を開発するなど、地域と連携した活動を行っておられます。
講義は、①社会情勢、②マーケティング、③食品開発、④食品科学、⑤食の安全、⑥知的財産権に分けて講義いただきましたので、一部を紹介します。

  1. 食に関するトレンド
    ☆消費者志向=①健康維持、②安全性確保、③簡便性、④アメニティ、⑤食文化の多様性(スローフード運動など)。
    ☆循環型(持続可能型)社会志向=7R−①Reduce、②Reuse、③Recycle、④Refine、⑤Reconvert to energy、⑥Repair、⑦Refuse。
    ※フードファディズムやヘルシズムなど一時的に流行したものもあるが、ホメオパシーのように科学的に否定されたものもあるので、注意が必要である。
  2. マーケティング
    ・マーケティングの4P=①製品(Product)、②価格(Price)、③流通(Place )、④販売促進(Promotion)。
    ・販売促進のための広報宣伝活動では、テレビに取り上げてもらうのが効果的、特にNHだと東北から全国、世界(BS)へのPRも可能。
  3. 食品開発
    ・食品加工技術の革新への取組は、「KKD+S−O」。
    →勘(K)と経験(K)と度胸(D)に科学(S)をプラスし、思い込み(O)を除く。
    ・商品としての食品が備えているべき事項は、①安全性、②おいしさ、③適切な価格、④使用原料と最終製品の関係における必要性と必然性、⑤健康性、⑥美粧性、⑦簡便性、⑧ユニバーサル性、⑨低環境負荷、⑩ホスピタリティ。
  4. 食品科学
    ・食品成分間の相互作用を理解する。
    「水」、「脂質」、「タンパク質・ペプチド・アミノ酸」、「糖質」、「その他」。
    ・1984年に概念が提案された食品の三次機能
    一次機能→栄養機能、二次機能→感覚・嗜好機能、三次機能→生体調整機能
    さらに、四次機能→精神機能(満足感、喜び、意欲)。

 
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○ 11月10日(水)「デザインとブランド」

【講師】

  1. 岩手大学 インダストリアルデザイン研究室 田中 隆充 教授
  2. 合資会社 高橋デザイン事務所 高橋 幸男 代表

【概要】

○ 田中教授から

  1. デザインとは、図案や意匠に加えて、工学的設計を含む概念であり、人や地域の不満・不安を解決し、それをビジネスに繋げることがデザイン思考である。
  2. 商品力=価値要素の総合機能÷価格であり、デザインはモノ・コトの付加価値を上げることができる。
  3. 人が本当に生活行為で求めており必要としているもの(夢や社会的ニーズ)を実現することで、デザインをする目的が達成(音楽を聴くことについて、歩きながら音楽を聴きたい、機械を小さくして持ち運べるようにしたいという人々の欲求から、ラジカセからウォークマン、ウォークマンからi-Podへ進化していったことを例示)。
  4. デザインで商品価格を10%上げられる。社会文化的に色の持つイメージ・機能を考慮して、パッケージをデザインし、デザインアイデンティティの構築をしていくことが重要(その最たる例が、赤い色の背景にエビがデザインされているパッケージで、商品が「カッパえびせん」と分かること)。
  5. デザインは少ない材料で、どれだけ消費者に分かりやすく商品価値を訴求するかが重要。デザインで欲張って情報を入れすぎていることが多い。商品の使い手である消費者にとって本当に必要なものなのかが考える視点。
  6. デザインで心がけるべきは、ターゲットは誰で、どこで販売し、自家用なのか贈答用なのかを考えること。

○ 高橋代表から

  1. ブランドは、「他の類似商品と見分けるため」にある。その前提として、ブランドを付ける商品が他の商品より勝っていること、高い品質や他にはない特徴があることが必要。
  2. 地域ブランドは、地域そのものに対する消費者からのイメージや評価が投影される。地域から生まれた商品・サービスに対して、岩手に対する消費者からのイメージによる相乗効果により、地域全体の評価を高めて行くことが重要。

田中教授からは、デザインは単なる意匠ではなく、生活スタイルや世界を変えるものであるという提起がなされ、新たなデザインの種・もとは、日々の我々の生活の中にある不満や欲求を解消することにあり、「気づき」が重要なのではないかと感じました

高橋代表には、講義の後に開催された「岩手の農業を踏まえた新しいビジネスプラン」のグループワーキング演習をコーディネートしていただき、受講生の皆さんによる創意工夫に満ちた発表がありました。職業柄、法律や制度の枠組みから思考を開始してしましましたが、皆さんの発表を聞いていて、まず制度的に何ができるかではなく、自分が何がしたいかと考えることが、新しいビジネスにとっては重要と実感しました。その上で、制度上、ひっかかる部分については、専門家の智恵を借りて解決をしていくのがいいのかなと思います。

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○ 11月2日(水)「商品開発・農業機械」

○ 商品開発〜農産物の販促を通して~
 合資会社高橋デザイン事務所 高橋 幸男 氏

  1. 商品づくりの視点として、①他の商品との差別化、②マーケットインの発想、③「何を売るか」ではなく「どう売るか」が重要。
  2. 農産物にあてはめると、①技術を生かして意図的に形状を作る(例:四角いスイカ、真っ直ぐなきゅうり等)、②最終製品を製造する実需者のニーズに合わせて農産物を加工する(例:カット野菜など、収穫後調整、選別、水洗い等を行ったもの、単に切断したもの及び単に凍結させたもの)、③農産物を原材料として食品を製造し包装の工夫を施す等の商品化がある。
  3. 商品づくりのプロセスとしては、ターゲットを絞り商品コンセプトを決め、商品の仕様やパッケージなどのデザイン、売れる価格の設定をしていく。作ろうとする「商品」について、マーケットの有無により販売戦略が異なり、マーケットがなければ消費者に商品の魅力を伝え理解してもらうことが必要であり、既存にマーケットがあれば類似商品との市場の奪い合いになるので、自社製品を消費者に訴求していくことが必要。

 

○ 農業機械
 岩手大学農学部 武田 純一 教授

  1. 農作業死亡事故の現状について、岩手県内では年間15名程度の方が亡くなられている状況。全国的にも統計を取り始めた昭和46年から減っておらず横ばい傾向。
  2. 農作業事故の原因について、農業者が把握することが大切。トラクタや刈払機、コンバイン、耕耘機、脚立等の使用における事故の特徴、安全対策について詳細に説明。

講義を通じて、商品づくりについては、品質が良いということは前提として、「ちょっとお土産に持っていきたい又は持って帰りたい」と思うようなパッケージづくりが重要なのではないかと感じました。盛岡には、南部古代型紙などもありますし、伝統を現代風にアレンジして岩手らしさを表現するデザイン・包装も商品開発で考えてもらえたらいいなと感じました。
また、農業機械については、事故の状況・原因について分かりやすく御指摘いただきました。講義での指摘事項を頭の隅においていただいて、安全に農作業を行っていただきたいと思います。

 
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○ 10月26日(水)「アグリ管理士との意見交換」

10月26日(水)にIAFSの先輩であるアグリ管理士の皆さんとの意見交換が行われました。

まず、午前の部として、岩手大学の岩渕明学長、高畑義人農学部長から、受講生に向けての特別授業がありました。

(講演順)
1 「植物育種の基礎と岩手県での育種」
  岩手大学 高畑 義人 農学部長

  1. 植物育種とは、遺伝的性質を人間にとって良いものに改良することであり、米では過去100年間で10a当たりの単収を2倍に増やすことに貢献。
  2. これからも、形質の多様性を確保しながら遺伝資源を活用していくことが重要。
  3. 盛岡は、「緑の革命」の原動力となった「小麦農林10号」(育成者:稲塚権次郎博士)が育成された土地であり、世界で栽培されているルーツであることを知ってほしい。
 

2 「Scale-shiftで価値を創る」
  岩手大学 岩渕  明  学長

「Scale-shift」(岩渕学長の造語)とは、対象とする課題のスケールが変わると、解決のためのアプローチ・対応が違ってくるということ。従来は「良いものは売れる」という傾向があり、技術者が良いものを作れば消費者が買ってくれると皆が思っていた。しかしながら、現在ではものを作る者自身ではなく、他人である消費者が良い物かを判断する時代。Scale-shift的に考えれば、良いもの(価値)の判断をする人が農業者から消費者に変われば、価値が変わるということ。その価値を知るためには、農業や地域以外の第三者の視点が参考になる。

 

次に、午後の部として、農業経営活動科目群、6次産業化科目群、農村地域活動科目群ごとに、4つの班に分かれ、受講生の皆さんが現時点で構想している戦略計画の概要について発表し、アグリ管理士の皆さんにアドバイスをいただきました。
活発な議論の中から、これから策定していく戦略計画へのヒントをたくさん持って帰っていただけたのではないかと思います。

 

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○ 10月5日(水)「マーケティング改善演習1」

10月5日にマーケティング改善演習1が開催され、受講生の皆さんとアグリ管理士の先輩お二方をお伺いさせていただきました。

【視察先】
1 株式会社 高橋農園
  代表取締役 高橋 淳 氏(平成19年度アグリ管理士)

  1. ○ 高橋農園では、水稲、野菜、果樹(ぶどう)の複合経営に取り組み、生産したもち米やジャガイモを加工し、付加価値を付けて産直などで販売。現在、総売上高全体の7〜8割が加工・販売によるものであり、もちの加工、ジャガイモ等の加工、カフェ「ポテト・デリ・マメタ」や産直での販売が、それぞれ3分の1ずつ占めている。
  2. ○ 紫波町では、水稲から野菜等の高収益作物へ転作を奨励していたが、地域全体では麦・そばへの転作に留まっている状況。高橋農園では、お客様がよく食べ収益が高く価格が安定している土地利用型野菜として、平成22年からジャガイモの作付けを開始。最近では、台風10号でジャガイモの一大産地である北海道が打撃を受け、ジャガイモの需要が高まり、昨年の倍の値段で売れており、取引量も増加。平成24年からは、産直オガール内に直営のカフェ「ポテト・デリ・マメタ」において、ジャガイモを利用した商品を販売。
  3. ○ ジャガイモの加工については、現在、主にフリットの製造・販売に取り組む。フリットを選択した契機は、6次産業化コンサルタントから東京でフリットが人気になっていると提案があったことから。当初、フリットについて、地域住民にとり馴染みがなく大変であったが、ここ数ヶ月はフリットの注文が殺到しており好評をいただいている。
  4. ○ フリットの製造は、高橋農園の従業員全員が全ての作業工程ができるようになっている。各従業員が主に担当している作業の空き時間に、フリット製造ラインに入っている。注文ロット数が更に増加すれば、フリット製造に専業の従業員を充てられる見込み。製造に必要な真空パック充填機や急速冷凍機の調達は、補助事業を活用。ジャガイモは、青果による1回の販売契約でコロッケ等を扱う惣菜店などに100s出荷しているが、青果1個当たりの重量が重く、在庫(約1トン)の保管場所を確保することが難しいことから、フリットの製造は、ジャガイモの青果のよい棚卸し先になっている。現在では、週にどれぐらいジャガイモの加工業者が使う量を見込んだ上で、生産量を決めており、在庫保管の費用がかからないよう努めているところ。
  5. ○ 高橋農園では、銀河のしずくを栽培しており、栽培がしやすい品種と認識。ただし、葉の色が薄いので、過剰に追肥をしてしまうことには注意する必要がある。
  6. ○ 現在、農の雇用事業を使った研修の受け入れはしていない。事業により研修生の給与はまかなえるが、社会保障分は個別の農家持ちであり負担も大きい。研修生のスキルが高ければ収入も上がりメリットがあるが、稼げない研修生を受け入れると指導で付きっきりなってしまう。また、研修制度だと報告書の作成など手続も多いので、スキルの高い就農希望者が訪ねて来た場合には、雇用にしてもらっている状況。
 

2 農事組合法人 上小田代
  代表理事組合長 伊藤 周治 氏(平成21年度アグリ管理士)

  1. ○ 上小田代ぶどう沢地区は、重粘土地帯で水はけが悪く、不整形で小区画の条件が不利な水田が広がる中山間地域。しかしながら、地域の営農意欲が非常に高く、作業効率の向上のため、水田の集約化、作業道である私道の拡張、パイプラインによる排水を求める声が多かったことから、平成25年度からほ場整備に取り組み悪条件地が解消。集落のづくりに役だったと感じている。ほ場整備が完了したら、水稲と大豆で、ブロックローテーションを組む予定。現在、集落の中に、30代、40代の方がいるので、将来的には、その方々に農事組合法人の代表をやってほしいと思っているが、集落内の人材だけで、営農を維持していくことは難しい。外部から農業後継者を募集することも、将来的には想定。
  2. ○ 平成16年に特定農業団体となり、地域の農作業受託を行ってきたが、任意組織であり収益をプールできないことから、平成22年に法人化。これまで15年間、中山間直接支払制度により年間約650万円の交付を受け、40%を地域に還元し、60%を集落づくりに使用してきた。この交付金の60%をほ場整備事業の地元負担分(総事業費の5%)に充て、地域住民の負担をゼロにしたところ。
  3. ○ ぶどう沢地区では、ほ場整備前から悪条件の水田を畑として使用し、主にきゅうりやトマトを栽培。小さい農業法人では、大きな会社と直接取引することは、ロット確保の観点から難しいので、自分たちで売り作を確保して、主にレストランのシェフを相手に野菜の出荷。現在、トマト(すずこま)を1町5反で栽培しているが、全て自分たちで売り先を探してきたところ。これまで、岩手県が主催した商談会や東京ビックサイトで行われるフードエキスポなどに出店し、そこでマッチングのあったシェフが東京などから買い付けに来てくれている状況。
  4. ○ トマトを使った加工にも取り組む。平成22年にトマトプリンを作ったが、生菓子は消費期限が短く、売り捌くのが大変であった。現在は、ミネストローネと「とまと味噌ラーメン」を6次化商品として販売。
  5. ○「とまと味噌ラーメン」を作り始めたのは、農協のまつりでの屋台で、売り出したのが最初。作っているミニストローネをラーメンに入れてみたら好評であったところ。現在、催事の屋台で、500円で販売し年間1000食を販売。屋台だけでしか食べられないものではなく、さらにぶどう沢独自の「お土産」的なものが欲しいと考えて、「とまと味噌ラーメン」の製品開発に着手。その際、味付けについては、ホテルプラザイン水沢の料理長に監修してもらったところ。
  6. ○ 「とまと味噌ラーメン」は近隣の食品関連事業者に製造を委託し、1食800円で販売。収益を上げつつ在庫を残さないようにするには、値段を下げられない。現在は、奥州市のふるさと納税の謝礼品として人気になっている状況。

今年度、最後の現地研修として、IAFS同窓会副会長の高橋淳さんと伊藤周治さんにお話をお伺いしました。
高橋農園さんでは、生産から加工へと経営をシフトされており、受講生の皆さんに絶えず社会のニーズに合わせて経営の見直しを適時適切に行う重要性を認識していただくことができたのではないかと考えています。
また、伊藤周治さんからは、ほ場整備事業を実施する上での地域の合意形成や地元で生産したトマトからお土産を新たに作っていく過程を御説明いただき、地域リーダーの在り方について大変参考になったのではないかと思います。

 
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○ 10月4日(火)・12日(水)「地域活性化論」

今年度からIAFSでは、地域リーダーによる農村活性化を見据え、農村地域活動科目群を新設し、本科目群について主に門間敏行東京農業大学名誉教授に御担当いただいています。

10月4日及び12日に2日にわたり、門間先生による地域活性化論の授業がありましたので、リポートします。

  1. ○ 「農業ビジネスモデル」って何?
    農林水産物の生産・加工・流通・サービスに関わる経営体が経営環境の変化に対応して、持続的に利益を実現するための仕組みを描く設計図となるもの。
    地域づくりにおいても、ビジネスモデルのスキームを取り込み、地域が持続的に収益を上げていく枠組みの構築していかなければならない。地域の意識改革をして、ビジネス的な発想をすることで、地域づくりの目標が浮かび上がってくるとのこと。
    そして、地域の経営体や組織の発展段階に応じて、適時適切にビジネスモデルを見直し、地域が儲かる仕組みを作ることにより地域の持続可能性が担保される。毎日、何気なく暮らしている中で、自分の住む地域が何と良い所だろうと思う、そういう地域をつくるにはどうしたら良いかを地域の皆で思いを共有していくことが重要。
  2. ○ 住民参加による地域活性化活動
    「毎日快適に住み続けるにはどうしたらよいか」を考えることが地域づくりの原点。地域づくりは、一人ひとりの住民のためのものであるので、地域づくりにおいて、地域住民の巻き込みは重要。
    住民の意識・ニーズが多様化している中で、地域の目標について地域住民全体でコンセンサスを得て合意することは、地域づくりに関して、地域住民に主体的に関わりを持たせ、住民に責任意識を醸成させる。住民参加により、地域づくりについて総論賛成・各論反対といった状況を防止することに繋がる。
  3. ○ 住民参加の促進の方法
    住民に主体的に地域づくりに参加させることにより、有効な結果が生まれたと皆が認識する仕組みをつくり、成功体験を積み重ねることで、地域住民に地域づくりに対する自信とやる気をもたらす。
    参加者には何らかの利益が還元され、特定の者に不利益が生まれないようにするとともに、地域において住民が各々役割分担をして特定のリーダーに頼らない組織を作ることが重要。
    地域のお寺の本堂や集会所、喫茶店など、地域の皆が常に集まり、交流・活動できる「場」をつくることが重要。

地域活性化については、多様な論点があります。その中で、住民が地域づくりに主体的に取り組む環境をつくることが、「地域リーダー」の素質と感じました。受講生の皆さんには、授業での示唆を活かして実践的な地域振興計画を策定してほしいと思います。

 
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○ 9月28日(水)「6次産業化関連現地研修2」

9月28日に6次産業化関連現地研修2が開催されました。
本年度は、久慈市及び軽米町で活躍されているアグリ管理士の先輩方をお伺いさせていただきました。

【視察先】
1 有限会社 越戸きのこ園
  専務取締役 越戸 翔 氏(平成25年度アグリ管理士)

  1. ○ 平成15年に菌床しいたけの生産を開始。平成19年に地域資源の活用として旧国民宿舎の建物を購入し、「侍の湯 きのこ屋」として旅館業を開始。地域密着型で地域に根差した経営を目指す。
  2. ○ 越戸きのこ園の事業部門は、3つ(菌床生しいたけの販売、菌床ブロックの販売、「侍の湯 きのこ屋」の旅館業の運営)。菌床しいたけの販売及び菌床ブロックの生産で50名、旅館で15~20名を雇用している状況であり、IAFSで戦略計画を前倒しで経営の拡大が継続中。
  3. ○菌床しいたけは、現在約90棟のハウス(一つのハウスの広さが60坪から80坪、一つのハウスに1万2千菌床を収穫の作業効率の良い技術で栽培)から、一日2回の収穫で2トン、年間で600トンを収穫。JA系統を通じ、関東圏に70%出荷し、残り30%が近郊の八戸市に出荷している状況。
  4. ○ 菌床しいたけの需要は、秋冬の10月から3月に需要が高まり、現在、年末の需要には半分も応えられていない状況。ハウスを増築し増産計画を策定しているが、計画の段階で増産分の商談が終わっている状況。一つのハウスの建設には、温度管理に適し耐久性もあるウレタン発泡ハウスを整備しているが、初期投資をその程度行っても2~3年で回収できているとのこと。
  5. ○ 久慈市は周年できのこ栽培をしているところが多い。当きのこ園では、1つの菌床ブロックで植え付けてから4ヶ月しいたけ菌を培養し、その後6ヶ月間収穫できる。菌床ブロックの生産販売(1ブロック250円で販売)もしているので、周年の雇用確保が可能。
  6. ○ 「侍の湯 きのこ屋」では、朝採れたてのしいたけを料理で提供し好評を得ている。旅館の利用者は久慈市や八戸市からの日帰り入浴客が多いほか、震災後には復旧工事関係者の宿泊を多く受け入れているとのこと。
 

2 農事組合法人 鶴飼酪農生産組合組合長
  姫ヶ森牧場ひめがもりチーズ工房
  田中 祐典 氏(平成20年度アグリ管理士)

① 酪農について

  1. ○ 先代が昭和52年に酪農家として入植。草地が32haで、現在は搾乳牛が32頭、育成牛と入れ替え牛18頭で、全50頭を自然放牧で飼育している状況。
  2. ○ 搾乳した乳は、大野ミルク工房に委託し、牛乳(1リットル牛乳パックで400本)とヨーグルトを製造。店舗販売は、店舗販売にすると売上げが読みにくいこと、少量販売であるので、軽トラックで保健所から移動販売許可をもらい、八戸・二戸・軽米の宅配依頼がある80件の家々を廻っている(走行距離にすると300キロ程度)。その他、ネットと軽米町内の3店舗でも販売しているとのこと。
  3. ○ 保育園の遠足を受け入れ、子牛に哺乳する体験を園児にしてもらうとともに、年に一度、消費者との交流会を通して、本牧場の牛乳の味を楽しんでもらっている。本牧場の乳牛は山地酪農でストレスをなるべくなくし育成しているので、お客様から味が濃くて美味しいと評価いただいている。お客様からは、200ミリリットルや500ミリリットルなど、小さいサイズで販売をしないのかと御要望をいただいている。しかしながら、現在、大野ミルク工房で、本牧場の牛乳のために一つの生産ラインを借りている状況であることから、生産量や採算コストを考えると、1リットル牛乳パックしか対応できていない。
  4. ○息子さんが後継者になると言ってくれているので、来年には酪農部門を息子さんに任せ、田中さんはチーズづくりに専念する予定とのこと。

② チーズづくりについて

  1. ○ 御自身の宅地内に地区の公民館があったが、老朽化で公民館機能が移転。解体費用もかかることから、平成26年に御自身が生産した牛乳を原材料にしたチーズ工房に転用し有効活用している。牛乳は消費期限が短く、またその価格も下落しているので、牛乳よりも消費期限が長いチーズづくりをすることで6次化・高付加価値化に取り組むことで、販売領域を拡大し経営改善をしようと考えている。
  2. ○ チーズは現在、月2回、チーズ工房で製造し、奥様と2人で朝9時から夕方6時まで作業。チーズづくりにカビが必須なので、建物の躯体を痛めないよう工房を総ステンレスづくりにした。販売先は、宅配がメイン。地元の3店舗には商品を置かせてもらっている。
  3. ○ 高い物を作って儲けるのではなく、お客様が喜んで買ってくれる物を提供し続けることが大切。ただし、お客様は飽きやすいのでニーズの把握が重要。
  4. ○軽米地域では、良い産品がたくさんあるが、単品で勝負してもPR力が足りない。良い物と良い物をマッチングさせ、一緒に共同で産品を消費者に向けてアピールしていくことが重要。軽米町には美味しい味噌があるので、味噌とタイアップした商品を開発していきたい。

6次産業化関連現地研修ということで、お二人の先輩にお話をいただきました。お二人のお話を伺って、「消費者ニーズを捉まえて、自分がしたいことをする」という明確なビジョンが伝わってきました。受講生の皆さんにも、御自身の「夢」を戦略計画の中で描いてほしいと思います。

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○ 9月14日(水)「食の安全管理」

〔講師〕
岩手大学農学部 塚本 知玄 准教授
岩手県 県民くらしの安全課 高橋 孝嗣 食の安全安心担当課長

【概要】

  1. ○ マーケティングとは、商品を求める顧客が何を求めているのかニーズを把握して、それを明らかにしていく作業。商品の売主としては、商品をどういう人に買って欲しいのかターゲット・的を絞って、商品の製造やPRをしていくことになる。
  2. ○ 世の中の全ての人が欲しがる商品というものは存在しないが、「食の安全」は、数少ない全ての人が求めているニーズ。安全であることが「価値」であり、安全な食品を提供するための手段として、リスクアナリシスやHACCPの考え方を学ぶことは重要。
  3. ○ 食の安全は、大前提。そのことをどのように、顧客にPRするかによって、商品の強みになる。特に、農場からお客様の口に入るまで、食の安全を管理できるのであれば、そのことは、大いなる商品の強みと考えて良い。ある意味、農業者でなければできないこと。
  4. ○ マーケティングの極意は、お客様に喜んでもらうことを考えること。ただ単に儲けることだけを考えると破綻してしまう。受講生それぞれが、独自のアイディアで、売ろうとする商品のマーケティングを考えて欲しい。

世の中では誤認されやすい食の安全と安心について、塚本先生・高橋先生から、「安全」は科学的根拠に基づく客観的なもの、「安心」は主観的なものということを分かりやすく解説していただきました。
マーケティングの観点から、食の安全を御講義いただき、受講生の皆さんにとって新しい視点になったのではないかと思います。

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○ 9月7日(水)「農業技術先進地研修2」

9月7日に農業技術先進地研修2が行われました。
当日は、28名の受講生が参加し、最先端の技術について知識を深めることができました。

【視察先】

1 東北農業研究センター

  1. 農研機構における東北農業研究センターの設立経緯・取組の概略
  2. 四季成り性イチゴの日長処理による花成誘導に関する研究成果説明
    海外産いちごが市場に流入する夏秋期イチゴの生産に向けた日長処理による花成誘導について研究成果の解説。市場出荷の端境期に対応し、農業者の所得の向上に繋げていこうとするものとのこと。
  3. 温度勾配実験施設における研究説明
    東北地方の冷害対策に対応するため取り組む研究であること。低温対策にくわえ、温暖化、CO2濃度の将来変化にも対応するよう取り組まれていること。

2 岩手大学農学部付属寒冷フィールドサイエンス教育研究センター

  1. 農学部における教育の場としての農場であること。
  2. 水稲、大豆、りんご、ブルーベリー等各種品目の栽培研究等の取組について説明。水稲の乾田直播、大豆栽培技術や80種類のブルーベリー品種栽培等。
  3. 横田清岩手大学名誉教授が育成者であるりんご品種「はるか」の栽培で、鮮やかな黄色を得るための「袋」の検討などをされていること。
最先端の技術は、農業経営を考えていく上での重要なファクターとなります。新しい技術を御自身の営農に導入するかどうかは別として、アンテナを高くして技術の情報を収集する大切さを感じることができた研修になったと思います。

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○ 8月24日(水)「公開講座・地域リーダー活動演習」

当日は、リーダーシップと地域づくりに関する講義と、現代の農村地域リーダーの活動の課題や地域住民の動かし方を、受講者自らが検討できるよう事例紹介が行われました。
また、公開講座として行われ、地域活動に関係する皆様に聴講をいただきました。

1 地域リーダー活動演習(リーダーシップと地域づくり)
 東京農業大学 門間 敏幸 名誉教授
2 事例紹介
 ① 面川農場株式会社 代表取締役 面川 義明 氏(宮城県)
 ② 農業体験農園 緑と農の体験塾 園主 加藤 義松 氏(東京都)

【1についての概要】

  1. ○ リーダーシップとは、ポジショニングに関係なくタスクを解決していくこと、目標を達成する力のことをいう。リーダーシップの資質とは、トレーニングによって後天的に獲得できるものでなければ、研究の対象にならない。
  2. ○ リーダーシップに必要なのは、周囲を引っ張り、周囲を巻きこんでいく力。それを実現するためには、①目標提示機能(「どこへ」「何のために」「何を目指して」という目標を掲げること)、②巻き込み機能(目標や信念を人々に伝える力があること)、③仕掛け作り機能(目標実現のための協働作業の仕組みを作ることができること)が必要。現在放送中の朝ドラ「とと姉ちゃん」に典型的なリーダーシップの在り方が描かれている。
  3. ○ 現代の地域づくりの合意形成を成功に導くためには、不利益を被る人をなくす又は現状よりも悪化する人をなくすという「パレート最適な合意形成」が重要。そのためには、利害関係者が少なく小さなグループで、地域づくりの意思決定をする方が、「パレート最適」を保証する全員一致がしやすい。また、小さなグループの方が、グループの目標設定が容易で、個人目標とグループ目標との乖離が少なくグループ構成員の積極的な合意形成への参加を促すことができ、強力なリーダーシップがなくてもグループの運営が可能となる。
  4. ○ 他方で、全員一致の最大の弱みは、現状打破が難しい点にある。多数決の利用条件を把握して、場合によっては、合意形成の方法として多数決を採用することも必要。

【2についての概要】
① 面川農場株式会社 代表取締役 面川 義明 氏(宮城県)

  1. ○ 農業経営者の社会貢献の一環として、角田市アジアの農民と手をつなぐ会を設立し、主にタイの農業者と交流。近年では、留学生に日本のファンになってもらうプログラムを有する東京工業大学から、留学生のホームステイを受け入れ。日本の文化に触れるには、古都もいいが、日本の原風景である地方農村で、農家の繋がりの中で日本の人情を味わって欲しいと東工大の教授が話を持ってきた。留学生からも、農家の普段の日常生活を見てみることができると好評を得ている。ただし、長年にわたりホームステイを受け入れるためには、家族の中で格好をつけるのをやめるというコンセンサスが必要。
  2. ○ 地域リーダーとして農業経営の向上に向けた取組としては、JA農業簿記新穀会の会長として、パソコンを活用した複式簿記による青色申告に努めてきた。パソコンソフトの充実により青色申告が浸透してきたと考えている。
  3. ○ 地域リーダーについては、リーダーの役割は農家がしなければならないと考えている。兼業農家を否定するつもりはないが、他の仕事をリタイアして農業に本格参入した人が地域リーダーに就任してもらっても、農業技術の指導などの観点で若い担い手が育たない。農業で収益を上げ、地域農業を生業にしていくのであれば、地域リーダーは専業農家が担うべきと考えている。
 

② 農業体験農園 緑と農の体験塾 園主 加藤 義松 氏(東京都 全国農業体験農園協会理事長)

  1. ○ 105ヘクタールの農業経営で、カキ、ブルーベリー、野菜のほかに、農業体験農園を経営。農業体験農園は、専業農家が作付計画、技術指導を行い、参加した消費者が割り当てられた区画で農作業を行い、生産物を買い受けるという仕組みであり、市民農園や観光農園とは異なる新しい形態の農業経営。
  2. ○ 市民農園及び農業体験農園では、市報や区報で入園者や区画を募集する点は類似。農業体験農園は、市民農園に多い輪作障害を作付計画を園主が策定することにより克服するとともに、市民農園が受けられない相続税納税猶予制度を受けられるようになっている。
  3. ○ 農業体験農園は、園主が入園者に農業栽培の講習会を実施することで、プロの農業者の指導のもとで農業を体験できるため、誰でも高品質な農産物を収穫できるとともに、入園時の契約により、収穫物は入園者の買い取りになることから、収量が増加すれば確実に園主に利益が入るようになっている。美味しい品種の選定、種を蒔く量の決定、施肥料の決定は園主が行うことにより、農園の管理を適正に行うことが可能。また、入園者に野菜作りへのハードルを下げ、農業に対する理解の促進や入園者同士による新しいコミュニティーの創出にも役立っている。
  4. ○ 練馬区では、1区画5万円で5年間の契約。当方の農園では、更新率が97%で、10アール当たりの粗利益が100万円を基準としている。入園者は、農園で過ごす時間を大切にしており、農業体験農園のコミュニティーを大切にする利用者のルール作りが重要。
 
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○ 8月18日(木)「地域担い手形成論」

[講師]東京農業大学名誉教授 門間 敏幸 氏

講師の門間先生は、東北農業試験場や筑波の農業研究センターで28年間農業経営分析・診断・予測手法の開発、住民参加型農村計画手法の開発等に関する研究を行っており、むらづくり支援手法「TN法」を開発・普及したことでも有名です。
東京農業大学に転出後は、企業的農業経営の分析・評価、経営者能力の解明、農商工連携による地域活性化などの研究に取り組まれています。
今年度から拡充された「農村地域活動」コースの主任講師をお願いしています。

「地域担い手形成論」は、以下の6つに課題を分けて説明されました。

  1. 課題1  わが国の水田農業の未来の姿を考える
  2. 課題2  担い手(優れた経営者)の育成を考える
  3. 課題3  農業ビジネスの成功者の取り組みから担い手の役割を考える
  4. 課題4  ネットワーク型農業経営の取り組みから担い手の役割を考える
  5. 課題5  担い手(優れた経営者)経営をどのように支援するかを考える
  6. 課題6  担い手を支援する人材の姿を考える
講義内容は門間先生が実施してきた地域の事例調査や地域活性化の研究などの豊富な経験をもとに導き出されたものであり、担い手育成に対する考え方は説得力のあるものでした。
特に、優れた担い手たるべき条件として、経営者能力を研究した成果として作成した リーダー度や社長度を診断できるチェックシートは興味深く、将来農業経営のプロとなる農業経営コースの受講生の皆さんも是非チェックしてみることをお勧めします!
途中、今後作成する「地域振興戦略計画」を策定するに当たっての解説やカードを使った演習なども実施し、非常に盛り沢山な1日となりました。

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○ 8月17日(水)、23日(火)「会計財務管理と経営診断」

[講師]八木橋美紀税理士事務所 八木橋 美紀 氏

IAFS全教科の中でも、最難関といわれる会計・財務管理の2日間の講義が行われました。
ふだん農作物の栽培や家畜の飼養技術については得意な受講生も、会計財務は専門用語も多く、苦手とする方が多いように思えます。
配付資料も大量 !! 以下の構成になっています。

第1章 貸借対照表第8章  家族農業経営における経営分析
第2章 損益計算書第9章  農業経営の診断と改善
第3章 キャッシュフロー計算書第10章 経営診断の方法
第4章 経営分析第11章 農業における原価のあらまし
第5章 貸借対照表の経営指標第12章 運転資金・資金繰り
第6章 損益計算書の経営指標第1章 貸借対照表
第7章 損益分岐点第13章 付加価値
講義は、1章が終わるごとに演習問題を行い、指名された受講生が回答して、講師が解説するというスタイルで進めたので、皆真剣な表情で取り組んでいました。
ほど良い緊張感のまま、あっという間に1日目は終了、2日目も講義と演習を繰り返しながら進められました。
理解度を上げるため、丁寧に説明しながら進めましたので時間が足りないようでしたが、最後は終了時間を大巾にオーバーしながらも損益分岐点を下げる以下の方法を学び、講義を終了しました。
  1. ①変動費の線の傾きを下げること。→変動比率を下げること。
  2. ②固定費の線の高さを引き下げること。→固定費総額の節約をすること。
  3. ③1個当たりの販売価格を上げること。
授業アンケートでは、講義レベルが「高い、やや高い」が4割以上いましたが、講義の感想をみると、「満足、とても満足」が8割と好評でした。
この2日間の講義の成果が、これから自らの計画に生かされることを期待しています!

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○ 8月3日(水)「農業経営戦略演習」

岩手大学農学部 佐藤 和憲 教授

岩手県中央農業普及改良センター県域普及グループ
佐藤 嘉彦 上席農業普及員
松浦 貞彦 主査農業普及員

戦略計画の策定について、現在の経営状況を把握するため、KJ法やSWOT分析の手法を紹介。経営の三要素である人・物・金の他に情報と時間を考慮した上で、農業経営に関わる様々な要素を、外部環境である機会と脅威、自身の能力や努力次第で変更が可能な内部環境である強みと弱みに分けて分析していく方法が、分かりやすく説明されていました。

そして実際に、岩手の農業をテーマに、KJ法で岩手の農業について現状と課題を受講生の皆さんで整理し、岩手の農業の強みと弱みを踏まえて、SWOT分析を用い、岩手農業の戦略の方向性を皆さんで意見交換しました。

受講生の皆さんがそれぞれが盛っている新しいアイディアがシナジー効果をもたらし、個々の受講生の皆さんの戦略計画の策定に役立つことと思います。

 
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○ 7月27日(水)・28日(木)「現場スタディ」(山形県)

本年度の現場スタディーは、山形県で実施し、土地利用型農業、果樹、畜産、集落営農、6次産業化などに取り組まれている農家さま、企業さまのお話を伺いました。内容が多岐にわたるため、箇条書きにしています。

1 田村畜産株式会社 部長 門間 和裕 氏

  1. ○ 直営農場で約2700頭、預託で約1800頭を肥育。肥育期間は長めの30ヶ月で、年間2000頭出荷。
  2. ○ 取引先は95%が首都圏及び関西圏で、全て相対取引で販売しており、市場出荷はしていない。直接、相対取引で販売していて、売り手・買い手の双方が納得できる価格で販売することができ、消費者の声を直接聞く機会が得られていると実感。その他に、ふるさと納税で東根市から贈られる特産品にも選定されている。
  3. ○ 肥育により生じる堆肥の処理については、産直で販売するとともに、牧場周辺の農家(さくらんぼ、もも、りんご等)に使って貰っている(と耕畜連携)。そして、地域の農家が生産するさくらんぼ等の商品とコラボしながら、自社製品のPRを行っている。
  4. ○ 現在、子牛の価格が上がっている状況。今後は、繁殖部門も取り入れて子牛の肥育頭数を増加させていきたい。
 

2 農事組合法人 村木沢あじさい営農組合 代表理事 開沼 雅義 氏

  1. ○ 現在、260名の組合員が所属し、一戸あたりの耕地面積は1.6ヘクタール程度。この地域では、小学校の学区単位で営農組合が設立。
  2. ○ 経営面積は130.5haで、水稲22ha、そば40ha、大豆43haなどで、これからそばの作付面積を減らしながら大豆を増やしていくところ。組織体制は、役員6名、従業員10名で組合の事業を執行。
  3. ○ 従業員10名のうち、男性が8名で、その8名が農作業従事者。将来的には、従業員に経験を積んでもらって、村木沢あじさい営農組合の役員にしていきたいと考えている。ハローワークを通じて、労力の確保に努めている状況。
  4. ○ 従業員の冬場の仕事は、11月まで里芋の収穫作業があり、1月末まで里芋の調整作業がある。冬場こそ、従業員が休む時間と考えており、研修などの時間に充てている。
  5. ○ 組合員には、出資金1万円、畦畔管理として10aあたり3万円の管理料、作業受託料の負担をお願いしている。現状としては、組合員に作業をお願いすることはほとんどなく、役員・従業員で営農やイベントを実施しているところ。従業員の作業効率を向上させるため、畦畔の取り払いについては、組合員の承諾が得られれば随時実施している。
  6. ○ 規模拡大については、他の人と異なることをしないと達成出来ないと考えている。全ての作目について原価計算をしているほか、祭り的なイベントを地域で開催し、農業への理解者を増やし、市町村との連携の端緒を作っている。当組合としては、市民参加の要望があったら、基本的に受け入れる姿勢でおり、そこから繋がりをつくりビジネスに繋げていくことを考えている。たとえば、農作業が観光サービスにもなっており、9月下旬に枝豆のもぎ取り体験ツアーを開催し、毎年1000〜1200人が来場して、リピーターも増えている状況。来場者を当組合の顧客台帳に登録し、イベントや農産物の直販ダイレクトメールを送付している。
  7. ○ 農業者ではない第三者の視点で、地域資源を商売にする必要。都心からは雪下ろし体験ツアーにも来ており、観光業との更なる連携をしていきたい。
 

3 有限会社 蔵王ウッディファーム 代表取締役 木村 義廣 氏

  1. ○ 昭和27年頃から果物の栽培を開始。現在では、さくらんぼ1ha、西洋梨3ha ワインぶどうを4.8ha栽培。
  2. ○ ワインぶどうの栽培は、南果連協働組合への出荷用に昭和51年から開始。平成18年頃から、全国に小規模ワイナリーが誕生し、休耕田や耕作放棄地の活用方法として、ワインぶどう栽培を拡大。自家農園でのぶどう栽培から、ワインの醸造、熟成、瓶詰めまで全て行う「ドメーヌワイナリー」を目指す。
  3. ○ 平成25年に醸造免許を取得。ニュージーランドの職業専門学校で醸造を学び、卒業後カルフォルニアのワイナリーで修行していた方を醸造責任者として迎え、本格的にワイン醸造を開始。山形県内で12番目のワイナリーになった。現在では、日本酒の蔵元で醸造をしていた方も雇用。
  4. ○ ブランド作りに力を入れ、「ドメーヌワイナリー」であることにこだわるとともに、ラベル・パンフレットの作成に6次化ファンドを活用。ボトルも、フランスから輸入している。
  5. ○ 日本ワインで、自社の「ソーヴィニヨン・ブラン」ほど、柑橘系の風味を出せているものはないと自負している。水分を保持するためにフランス製の樫樽がよいが、木材の乾燥期間や焼き加減、使用期間によってワインの熟成度や味が変わるので、醸造責任者のブレンドの感覚が大変重要。
 

4 井上農場 部長 井上 貴利 氏

  1. ○ 家族5名と雇用3名で経営。法人化はしていないが、部門制を導入し、役割分担をしている。
  2. ○ 水田45haで、30ha分の処理能力を有するミニライスセンターを所有(20年前に水田12haの経営面積時に全て自己資金で建設し、年間65ha分の乾燥調整を行っている)。またハウスは16棟あり、夏場にトマト(大、中、ミニ、シシリアンルージュ)と空心菜、冬場には全棟で小松菜を栽培。水稲、トマト、葉物の全て、特別栽培認証で独自の減農薬・無化学肥料での栽培を実施。
  3. ○ 米(はえぬき、つや姫等)は、通常の使用慣行から化学合成農薬と除草剤は7割以上削減し(農薬散布はシーズンに1回するかしないか程度)、さらに化学肥料は一切使用せず栽培し、「井上農場米」として販売。特に、全国 米・食味分析鑑定コンクールでの受賞(全国3位・特別賞2回)しており、評価もいただいているところ。
  4. ○ 米の売り先は、全て独自に開拓し、4割が飲食店、3割が小売、3割が個人向けに販売し、年間全収量の97%を売り捌いている状況。売り先の大半は、首都圏がほとんど。現在では、通年出荷できる体制を整え、米を冷蔵保管できる施設を設置。飲食店との取引では、輸送費も飲食店持ちで契約している。価格は、5kg3000円、30kg12000円で販売。農家でも自ら販売していかないと単価が取れないと思料。
  5. ○ トマトについては、これまで30年間栽培。「完熟トマト」という名称が浸透しているが、当農場は、その発祥の農場。最近では、「完熟トマト」でも品質が悪いものが出回っていることから、「樹熟トマト」と名付け、樹で完熟にすることで、他と差別化を図っている。ただし、樹熟トマトにすると、皮にひび割れが全収量の1割程度でるので、それをトマトジャムやドライトマトなど加工品に回し、A単価にして販売。トマトジャムなどは、夏場に地域のお菓子屋さんの仕事が少なくなることから、その時期に加工をお菓子屋さんに委託している。無理をして加工所を設置しないで、地域と連携していくのが6次化のポイント。
  6. ○ 米をはじめとして、販売先を探すのに苦労した。系統に販売していないので、JAからのバッシングもあった。しかしながら、周りの人の手助けがあり、料理人や雑誌の編集長の方々が、口コミで井上農場米を広げてくれた。
  7. ○ 自分の子供たちが農業をしたいという風に思わなければ、農業の維持はできない。
 

5 小野寺農園 代表 小野寺 紀允 氏

  1. ○ 30年前から有機栽培に取組み、水田2.5ha、だだちゃ豆2.5ha、その他少量多品種で野菜を年間50~60種類栽培。有機に取り組んだのは、母が農薬アレルギーであったため。循環型農業を目指し、「ぼかし肥料」(米ぬかを6割、だだちゃ豆殻3割、燻炭1割の発酵肥料)を使用。米の主な販売先である庄内協同ファームに集荷されている米の中でも、食味が良いと評価されている。肥料が農家によって異なり、味に差が出ている模様。
  2. ○ 販路は25年前に立ち上げた農事組合法人庄内協同ファームに米の6割、だだちゃ豆の3割を出荷。だだちゃ豆の3割は卸・小売(イトウヨーカドー系)に販売。その他、野菜を地元の消費者(登録件数30件程度)へ宅配サービスを30年前から継続するとともに、地元の飲食店・レストランへ供給。冬場は、出稼ぎに行かなくてもいいように餅を販売。
  3. ○ 農家民宿については、約15年前から農水省からの政策的な誘導。消費者と生産者の交流の機会を生協から提供され、実際に消費者を招いて試しに農家民宿をやってみて興味を持った。農家民宿を運営するなら旅館業法の許可を取って生業にしようと考えた。年間450名程度の宿泊客に来ていただいている。風景や癒やしを求めているお客様が多く、ゆったりと寛げる空間づくりに心を砕いている。利益率を上げるためには、安宿からのイメージの脱却が必要。
  4. ○ 農家レストラン「菜あ」は、地元食材にこだわって農家料理を提供。築130年の実家をリフォームしてレストランを始める。当初は、年間3000人程度のお客様で、その後5~6000人の訪問で頭打ちであったが、日経農家レストランNo.1になって、現在、ランチのみで年間9000人来場。地元のお客様を当初ターゲットに農家レストランを運営していたが、地元の人が観光目的の都会の人に口コミで当レストランを勧めてくれ、現在に至っている。庄内地域は在来作物が豊富で、年中農家レストランで同じ料理が提供されている訳ではなく、季節や食材により様々な農家料理を提供。食べていただくことにより、小野寺農園の生産物の販促に繋がっていると考えている。
  5. ○ 農家民宿や農家レストランは、農業経営のリスク分散のために運営。自分の強みをはっきりと持ち、農家の良さを演出し、決して無理をしないことが大切。
 

6 有限会社 米シスト庄内 代表取締役 佐藤 彰一 氏

  1. ○ 業況としては、正社員7名の他、従業員11名(パート含む)で、水田規模102ha、業況は平成27年6月期で210百万円、平成28年6月期で230百万円。
  2. ○ 農協主催の消費地視察研修で、東京で購入したササニシキが、普段自分たちが食べているササニシキと比べて本当に不味く、消費者に本当に美味しいものを届けられているのだろうかと疑問に思ったところから、直接米を消費者に届けたらどうかと考え、米シスト庄内を8名の農家で設立。農家により肥料や栽培方法が異なっていたが、それらをマニュアル化して統一するとともに、自分たちで乾燥調製施設を建設することで、味を均一化することに成功。有限会社にしたのは、農業以外にも進出できるので、あえて農事組合法人にしなかったところ。
  3. ○ 栽培している水稲の品種は、山形由来の米で、ササニシキ、つや姫、中国輸出用の夢ごこち、はえぬきなど全6品種。新規需要米制度で、豪州のゴールドコーストに知人がいたことから、豪州に電気釜を持って行き、知人周辺の日本人に販促活動を開始したところ好評を得た。平成22年度までに、豪州、NZ、EU8カ国に、米シスト庄内の米を約230万トン輸出していたが、東日本大震災に起因する放射性物質被害で輸出不可となった。
  4. ○ 輸出不可となり在庫となった米を何とかすることができないかということで、6次化に取り組む。当初は、100%米粉せんべいに挑戦したが、大手◯◯製菓など、薄利多売のせんべいには太刀打ちできないと方針転換。東京駅で行列ができていた「かりんとう」に目を付けた。米粉かりんとうをネットで検索したところ、13件の商品があったが100%米粉かりんとうは一つもなく、「100%米粉かりんとう」を作ることに決定。しかし、試作品を作っても、原材料に小麦が入れられないので成形が難しく、代わりに水分を多くして成形すると水分が跳ねて揚げられない状況。そのようなときに、FOOMAでよい機械に巡り会い、「100%米粉かりんとう」が完成。
  5. ○ 「100%米粉かりんとう」は、米にこだわっている。パッケージを米袋の形にして、1袋の重量を八十八グラムにした。そして、100%庄内米、100%米糠油、100%米菓子ということで、商品名を「かりんと百米」(平成24年度優良ふるさと食品中央コンクール農林水産省食料産業局長賞受賞)とした。米へのこだわりをどうストーリーにして表現するかが重要。
  6. ○ 安易な6次化には取り組んではいけない。「6次化は 農家の借金 増やすだけ」と川柳を詠んで農水省のアンケートに書いたことがある。6次化に本気で取り組むのであれば、道の駅で観光客をターゲットにするのではなく、首都圏に出しても恥ずかしくないものを作るべき。
  7. ○ 「かりんと百米」は、息子が主担当で事業をしているが、息子から米シスト庄内の米を全てかりんとうの原材料にしたら、年商は18億になると言われた。また最近、「5haで生き残る農業」を提唱し始めた。水田農家は、規模拡大せずとも、5haもあれば食べていけると。これも、農業への新しいビジネスの感覚。

今回の現場スタディーでは、自分の商品にこだわりを持ち、強みを活かして、それを実需者に上手く訴求していること、その訴求方法としては、食材としての品質だけでなく、山形の地域や風土、食文化、料理などに引っかけて、地域資源のよいところを上手く活用してストーリーを創り上げていくことがポイントとしてあったと思います。
この現場スタディーから受講生の皆さんが感じ取ったことやアイディアを御自身の戦略計画を考えていく上で、役立ててほしいと思います。

 

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○ 7月21日(木)「農場の衛生管理」

講師 田上 隆一 氏(一般社団法人 日本生産者GAP協会理事長)

今日は、農業生産を行うにあたり、今後最も留意すべき「農場の衛生管理」についての講義でした。

  1. 本来、研修等では3日以上かけて話している内容を、1日で講義してもらいましたので、講師も受講生も大変だったと思いますが、講義は分かりやすく、アンケートでも、「興味がわいた」が96%、「満足、とても満足」が92%、と好評でした。
  2. ひと口に「GAP」といっても、とらえ方は様々、認証団体もいくつかあり、私達が誤解して理解している面もあります。アンケートも、「今までの認識が違っていたことを知った」との声が多数ありました。
  3. 講義は、①はじめに−農業由来の環境破壊と健康被害−から始まり、②21世紀農業の課題−持続可能な開発と発展−へと続き、③GAPの意味、④GAP農場の認証、⑤農場認証の国際標準化、について解説、⑥世界標準と日本の対応、まで、GAPを巡る情勢について説明されました。
    そして、いよいよ生産者に直結する、⑦GAPの実践、⑧農場の評価、⑨GAP教育・評価システム、について説明され、最後に、⑩GLOBAL G.A.P.認証への取り組み、で締められました。
  4. とかく「認証」にとらわれがちな「GAP」ですが、認証取得はあくまでスタートライン、GAPが目指すのは「真の持続的農業」であり、日本と欧州との考え方の違いやオリンピックなどで否が応でも世界標準にならざるを得ない時代の趨勢を感じました。
  5. 「BAPをなくせば、GAPになる」、「リスク評価と改善が重要」ということがよく分かりました。

 
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○ 7月20日(水)「地域マネジメント論」

講師 広田 純一 氏
(岩手大学農学部食料生産環境学科 農村地域デザイン学コース田園計画研究室 教授)

本年度新たに開設した「農村地域活動科目群」の最初の科目です。県内市町村や県、省庁等の地域づくり等の委員を務めている広田教授から講義と演習をしていただきました。

【講義】「地域づくりの手順と方法」
  1. 地域コミュニティの基礎知識
    地域コミュニティは、①町内会、自治会等地縁によって形成された地域団体と②スポーツ・文化、防犯・防災、交通安全等目的(テーマ)によって形成された地域団体とがある。
  2. 西和賀町小繋沢地区の事例紹介
    お宝さがし→お宝マップづくり→お宝改善活用策の検討→夢語りの会→実践テーマの絞り込み→繋の郷づくり委員会の設立→各部会の行動(広報誌、ふるさと応援団事業、ふるさと便など)
  3. 地域づくりとは何か?
    1. 地域づくりの成功事例に共通する成果は「地域づくりを進める無形の力」=地域の共通の課題(目標)を協同で解決(達成)する力(地域力、住民力、ご近所の底力etc.)
    2. 地域づくりとは、地域の課題解決力を高めること→実践の積み重ね
    3. 課題解決力向上の手順と方法=動機付け→目標設定→体制づくり→そして実践
  4. 地域づくりの仕掛け
    1. ポイントは4つ=①目標、②参加者・対象者、③推進体制、④進め方。
    2. リーダー、支援者の心構え=①住民に感心を持ってもらう、②相手の話をよく聞く、③うまく進まない場合はやり方に無理がある。
    ※そもそも良い地域とは?→はらがくくれている地域(ないものねだりをしない、あるものを生かす)=「この地域で暮らしていくことへの覚悟」

【ワークショップ】
午後は2班に分かれ、「農業・農村の夢語り」をテーマにワークショップを行いました。
さすがに農村地域活動コース受講者のほとんどはワークショップの経験があるとのことでしたが、改めて原則(お互いを認め合う、批判しない等)を確認して取り組みました。
広田先生からは、受ける側でなく運営する側としてのコツも随所で教えていただき、色々なワークショップに参加してきた受講生の「今回は勉強になった」との声が印象的でした。
ワークショップの仕上げのタイトルは、1班が「明るい農村の処方箋」、2班が「岩手県民総活躍農業」となりました。

 
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○ 7月13日(水)「農業技術先進地研修1 / 6次産業化関連現地研修1」

7月13日(水)に行われました、平成28年度いわてアグリフロンティアスクール「農業技術先進地研修1及び6次産業化関連現地研修1」について、リポートします。

今年度の農業技術先進地研修及び6次産業化関連現地研修では、雫石町の2件の農家さんを訪ね、農業技術や6次産業化などのお話をお伺いさせていただきました。

① 有限会社ファーム菅久
代表取締役 菅原 久耕 氏
常務取締役 菅原 紋子 氏(平成24年度アグリ管理士取得)

  1. ○ 約140haの水田で、ひとめぼれ、あきたこまち、古代米、銀河のしずくを作付け。ひとめぼれのうち一部を独自ブランド米「たんたん米」として販売。
  2. ○ 6次産業化については、株式会社千秋堂さんが工場を雫石町に移転してきたことを契機として、農商工連携の形で開始。岩手県産の原材料にこだわった菓子を製造したいというコンセプトを千秋堂さんが持っておられ、カステラの原料となる米粉やゆべしの原料となるトマトを作ってくれないかとの依頼があった。トマトについては、岩手の品種「すずこま」を栽培し、昨年からは作付面積も増やし7月〜8月にトマト狩り体験も開始し、好評を得ているところ。
  3. ○ 米粉カステラについては、米粉の粒度が細かくないとカステラの製造が難しく、商品化までの道のりが大変であった。現在、米粉の製粉は、県内一の製粉技術を誇る西和賀町のある業者にお願いしている。6次産業化に取り組んでみて感じたことは、6次産業化は1農家が単体で取り組むよりも製造・販売のプロと一緒に取り組んだ方がよいということ。
  4. ○ 6次産業化など加工に取り組む場合には、生産部門のコストを下げつつ、品質を上げていかなければならない。ファーム菅久では、田植えの際、約1万3千枚の苗箱を田植機に積むという作業が発生するが、その作業効率を良くするために、2.5葉齢期ぐらいで密播移植をしている。密播なので、石灰窒素を入れて土を発酵させる「土づくり」がより重要になってくる。
  5. ○ 今年は、麦の出来が良い状況。そういう年は、米の出来が悪くなる傾向があり、現に気温も例年より低いので、7月13日現在、深水管理をしているところ。

② 松原牧場(松ぼっくり)
松ぼっくり 店長 松原 たみえ 氏

  1. ○ 松原牧場における現在の課題は、事業の継承。特に、生産技術面でのノウハウの継承が難しいと感じているところ。
  2. ○ アイスクリームの製造・販売に取り組むきっかけは、生乳を近くの小岩井牧場に売るだけでは事業は難しいと感じていたことから、とりあえず何か商品を作って売ってみようと考えたため。店長であるたみえさんがお子様に作っていたアイスクリームが御家族に好評であったことから、これを商品化することを決定。ただ、販売するには、プロに技術を習う必要があると考え、アイスクリームの作り方をプロの先生から習い、地元住民の味覚に合わせて甘さを控え目にして徐々に改良してきたとのこと。
  3. ○ アイスクリームは、何か特徴を持たせ差別化をしないとお客様が付いてこない。たとえば、市販のジャムを使っても、様々な味のアイスクリームはできるが、そういった原材料を使ってしまえば、どこにでもあるアイスクリームになってしまうので、それはしたくなかったとのこと。身体に良く素材にこだわったアイスクリームということで、枝豆や地元の栗を入れたアイスクリームを作ってみたら、お客様に好評であった。素材を入れることで、アイスクリームの甘さが抑えられ、さっぱり感を出すことができたと考えている。
  4. ○ 現在では、平日で1日500個、土日で2000個のアイスクリームを売り、年間で22万人のお客様にお越しいただいている状況。今後は、アイスクリームよりも、日頃から食べられていると思われるヨーグルト販売にも挑戦していきたい。

雫石町は、長野の軽井沢や志賀高原、山梨の清里などの避暑地に近い雰囲気が感じられる土地であると思います。グリーンツーリズムを含めて、6次産業化の資源の宝庫であるとともに、今回お伺いさせていただいたファーム菅久さん、松原牧場さんはじめ、地域の農業者さま、事業者さまが、それぞれに地域おこしのために頑張っていらっしゃいます。
今後、横への繋がりを展開していくストーリーができれば、さらに面白い取組みが生まれるのではないかと可能性を感じました。

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○ 7月6日(水)「経営成長の管理」

今回は、午前中に経営成長の総論、午後にIAFSの大先輩である盛川IAFS同窓会会長をお招きし、経営成長の管理について事例紹介が行われました。

−午前−

1 経営成長の管理
 岩手県立大学総合政策学部 新田 義修 准教授

新田准教授からは、経営の成長の大前提として、何のために農業をやっているのかという「経営理念」が大切との指摘がありました。個別経営体であれば、所得やオリジナリティーの追求、集落営農組織であれば、担い手の確保や農地の維持など「経営理念」を踏まえた目標があると思うが、それ次第によって経営行動が変わってくるとのこと。
そして、ゴールである目標に向かって、現状を分析し目標の達成のための課題を解決していくことが経営成長の管理であると説明されていました。そして、経営成長のために必須な経営者能力の向上には、生産者能力、企業者能力(商品をどこに誰をターゲットにつくるか)、管理者能力(雇用者にサボらないで仕事をしてもらう仕組み作り、マネージメント)が必要と指摘されていました。

 

−午後−

2 事例紹介

有限会社 盛川農場代表 盛川 周祐 氏
盛川先生からは、米の作付から始まった御自身の40余年に及ぶ営農活動を振り返って、これまでの経験をもとに御自身の経営について語っていただきました。
まず、農業経営者として、経営が失敗しないよう、天候不順によって米の収穫が減ったときのリスクヘッジの方法を考え、米以外の作目を作ることに着手されました。
そして、土地利用型農業で作業効率を考えると機械化することが必須と考え、作業の機械化に適した作目を選択するとともに、輪作により土地を最大限利用することを考え、小麦と大豆を選定したそうです。これにより、米、小麦、大豆と周年生産を達成されています。
米については、作業が多く人件費が高くなる作目であるが、最近、乾田直播の技術の確立により、作業時間を短縮して栽培できるようになったことから、米の作付面積を増やしているとのこと。
今後は、労働生産性を向上させ更に単収を上げていくのが課題として考えており、土地利用型農業は、国の政策や助成金次第で収入が上下するので、助成金に過度に依存しないことが重要と指摘されていました。

 

盛川先生の経験談は、現状の課題を分析し、それを解決するための方法を着実に実行する力が本当に農業経営に重要であることを感じさせました。
新田先生から、受講生に対して「農業経営の成長に重要なものはどこにあると思いますか」との問いかけに対し、「野心が全てです」と答えた受講生の心意気に、今後の岩手の農業の将来の明るさを見た気がしました。

 
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○ 6月29日(水)「病害虫管理」

−午前−

 「植物の病気」
 岩手大学農学部植物生命科学科 植物病理学研究室 吉川信幸 教授

植物の病気を中心に基本的な事項について講義いただきました。

  1. • まずは岩手大学の前身である盛岡農林高等学校と植物病理学、宮沢賢治と植物病院など、植物病理学の歴史が話され、特に、「医学は人間を救うが、植物病理学は人類を救う」という言葉が印象的でした。
  2. • 全世界で農作物の病害虫による損失量は41%、雑草による損失が29%あり、防除なしで得られる収量は3割しかない。これは世界人口の1/3が飢えに苦しんでいる食糧危機の中で、植物保護(病害虫防除)の重要性を表すものである。
  3. • アイルランドのジャガイモ飢饉やコーヒーサビ病の影響でイギリスで紅茶が飲まれるようになったことなど、人類の歴史を変えた植物の病気があることが紹介されました。
  4. • 植物に病気をおこす病原体として、ウィルス性病原(ウイルス、ウィロイド)、生物性病原(ファイトプラズマ、細菌、菌類)があり、それらの形態や生活環、病徴などが説明され、予防や防除についても講義いただきました。

−午後−

 「岩手県における環境に優しい病害虫管理技術」
 岩手県農業研究センター 環境部 病理昆虫研究室 大友令史 室長

  1. • 農業・農村は、食料など農産物の供給機能以外に、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全等多面にわたる機能を有している。
    一方で、農業生産では、施肥や防除等による環境負荷も与えており、これからは環境に配慮した農業(いわゆる「環境保全型農業」)が必須となってくる。
  2. • 農薬について、農薬取締法から始まり、その定義や登録のしくみ、適正使用について分かりやすく説明いただいた。
  3. • また、農薬の役割については、大幅な減収や病害虫が原因となる毒素の存在など、使われないことの「リスク」を考えるとともに、一定の品質を安定的に供給し、水稲除草等の重労働から解放するなどの大きな効果があることを理解し、決して一方的な報道やイメージだけで判断しないよう説明された。
  4. • そして、日本の農薬残留基準の厳しさや天然物が決して安全なものばかりではないことについても話された。
  5. • 以上を踏まえ、環境に配慮した栽培(有機栽培、特別栽培、エコファーマー等)について、岩手県が進める総合防除(IPM)とGAP(農業生産工程管理)も含めて解説された。
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○ 6月28日(火)「食産業ビジネス論」

今回は、午前中に6次産業化の総論、午後に実際に6次産業化に取り組まれている方々をお招きし、事例紹介が行われました。

−午前−

1 講義「食・農・人連携による6次産業化」
 ブランドストーリー代表 大平 恭子 氏

大平先生から、6次産業化は、作る力、売る力、情報の加工、管理する力のバランスが重要との指摘がありました。販路形成や商品の品質確保が難しいところですが、農業者が自身の顧客であるターゲットをどのように設定するかによって、販路や商品品質の程度が変わってくるとのことです。
そして、ターゲットの設定次第で、顧客の求める価値・ニーズの内容も異なってくることから、食材の安全・安心や品質だけではなく、2次産業・3次産業の技術やノウハウ、デザインにも目を向ける必要があるとの説明がありました。
特に、高級品を目指すのであれば、出口にいる消費者が欲しいと思うもの、買った自分に満足できるものという要素がデザインなどで求められるとのことです。
さらに、人に近い「食」という観点から農業生産を考え、地域の業界が欲しいだろうと思うものを作っていく「地消地産」、地域の個性、驚きの商品を消費者に訴求していく「ふるさと産品の名物化」、2次産業及び3次産業と連携して、地域ぐるみで地域の食文化を再構築していくグリーンツーリズムなど、競争相手の少ない「ブルーオーシャン」で事業を展開していくのが6次化として参入しやすいのではないかとの提案がありました。

 

 

−午後−

2 事例紹介とパネルディスカッション

〈事例1〉「宮古の海が育んだ潮風のハーブ」
宮古市 潮風のハーブ園代表 古館 富士子 氏
古館さんは、訪問ホームヘルパーと兼業でトウモロコシ等を栽培されていましたが、震災で御主人を亡くされ、御義母様の介護、鳥獣被害など諸般の事情があり、農地を守るためハーブへの転作を決意されました。約20年前、県農政部主催のハーブ講座を受け、その後も自主的にハーブに係るグループ勉強会をしていたことがハーブ園を立ち上げる契機になったとのことです。
ハーブ園の農地は、ちょうど太平洋側からの潮風が通るところで、古館先生は、無農薬と自然乾燥にこだわって、ハーブティーを製造されています。味・香りのよいハーブを育てることができ、ハーブによって人に癒し・リラックスの時間を提供できたら嬉しいと御自身の事業を説明してくださいました。
昨年10月には、新しくハーブ工房が完成し、地域の憩いの場になっているとのこと。訪問ヘルパーや被災の経験があることから、これからハーブ工房を障害のある方や被災された方の癒しの場にしていきたいと仰っていたのがとても印象的でした。

 

〈事例2〉「フルーツほおずきの挑戦」
岩泉町 (有)早野商店取締役 早野 由紀子 氏
早野さんと「フルーツほおずき」との出会いは、2004年にフランスを旅行した時、料理の付け合わせとして食べたのが最初。どことなく懐かしい味がして気になり、国内の種苗会社から「フルーツほおずき」の苗を購入し、翌年から栽培を開始。岩手県産の「フルーツほおずき」を目指されました。
早野商店は、元々、酒小売と昆布巻きの製造販売に取り組んでおり、ほおずき栽培の技術はなかったものの、売り先への繋がりは持っていたことから、「フルーツほおずき」の加工や販売について、農商工連携の形態を採用されたとのこと。「フルーツほおずき」のPRのため、これまで県内の企業と様々なコラボ商品を発売し、商品発表会を盛岡市内のホテルで実施されてきました。
これにより、レバレッジ効果を生むとともに、各ホテルの料理人・パティシエの方とチャンネルができ、「フルーツほおずき」の販路が拡大していったと説明してくださいました。
現在では、フルーツほおずきのスイーツを食べた方から、青果の「フルーツほおずき」の人気が広がってきているようで、夢がさらに広がります。

 

〈事例3〉「地域の海の幸を使った『釜石海まん』」

釜石市 KAMAROQ株式会社 代表取締役社長 中村 博充 氏

中村さんは、関西の御出身。地域おこし協力隊として、震災後に釜石に定住されました。地域の人口が減少する中、地域が元気になるとはどういうことなのかを考えた上で、「海まんじゅう」の製造に着手し、釜石に収益が落ちる仕組みを作ることにより、Uターン、Iターンの定住者の受け皿を目指されています。
釜石地域の将来について危機感を持った地元企業のリーダーが集まり、それぞれの企業の強みと未利用資源の利用という観点から、まず「魚介類を使ったまんじゅうを作ってみよう」ということで6次産業化の取組が始まったそうです。釜石をPRする食ブランドとなるよう、「泳ぐホタテのアヒージョ」など首都圏の若い世代向けにメニューを設定したとのこと。
中村さんからは、これまでの取組を通じた気づきの点・課題ということで、以下の興味深い指摘がありました。
まず、各企業のリーダーがそれぞれ個別に事業を持っている中で、地域連携の難しさがあるとのこと。顧客となるターゲットの設定や商品開発についても、各リーダーに、それぞれの成功体験に基づく判断基準があり、メンバーの「気づき」の点を見える化し共有する必要性を感じているとのことです。
また、企業の強みを活かすという発想からプロダクトアウトで「海まんじゅう」の製造販売に着手したものの、季節性が強く、冷凍が必要という点をあまり考慮していなかったとのこと。今後は、各企業の「本当の強み」は何か再度精査するとともに、売り手や流通を視野に入れた商品開発が必要と説明されていました。

※6次産業化については、少し前まで「イノベーション」と「バリューチェーン」であると説明されてきました。新しい創意工夫により「新機軸」をつくり、良いものと良いものを繋ぐことで付加されていく価値を農業者に落としていこうという発想でした。
制度が始まってから、数年経ち、加工食品を作るという6次化だけでなく、グリーンツーリズムを含めて地域の食文化を発信していくというように6次化の動きも深化しているように思います。
特に、古館さんの「癒し」をテーマにした6次化というのは、今までになかったものと言えるでしょう。6次化の夢の広がりと難しさの双方を感じさせる講義でした。


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○ 6月23日(木)「地域資源活動論」

①農業生産法人有限会社柑香園(観音山フルーツガーデン)
 代表取締役会長 児玉 典男 氏

児玉先生は、和歌山県紀の川市で「観音山フルーツガーデン」を営み、柑橘等の栽培及び柑橘等を原材料とした商品の製造・販売をされています。
御自身の「観音山フルーツガーデン」で製造・販売しているみかんジュースなどの商品サンプルを持ってきていただき、先生から次のような質問が受講生に対してありました。

「このみかんジュース、いくらだったら買いますか?」

先生は、同様の質問を地元・和歌山と東京で、消費者の皆さんに聞いてみたそうです。すると、和歌山では200円、東京では800円との回答が多かったようです。
このことは、地域や場所によって、商品に付ける価値が異なるということを意味しています。「観音山フルーツガーデン」では、このみかんジュースを500円でインターネット販売をしているとのことですが、インターネットを使用すれば、高く買ってくれる需要者の元へ直接商品を訴求できるということを、実例をもとに説明してくださいました。

また、農業者が持っている固定観念を自ら打破していく重要性について指摘がありました。
ある時、某CM製作会社から、「黄色いレモン」がないか、電話で問い合わせがあったそうです。その時期は、周辺地域でも「緑色のレモン」があるのみ。

その時、先生は、直感的にCM製作会社が方々に電話を掛けて断られていることを察知し、農業技術的にレモンを黄色くできるアイディアがあったので、こう言ったそうです。

「何とかします。」

結局、約1週間後には、自然の発色による美しい「黄色いレモン」をCM製作会社にお届けできたそうです。

このエピソードから、先生は、固定観念にとらわれず、顧客のニーズに対して、自身の努力や周辺の人の知恵を借り、対応していくことが顧客の信用を獲得するには重要と説明されていました。先生は、顧客のニーズに対して、「それはできません」とは決して言わないようにしているようです。

先生は、講義の中で、地域資源の活用の鍵は、「気づき」であると何度も指摘されていました。その「気づき」とは、顧客との対話の中で、ニーズを捉まえて生まれてくるものであり、そのためには、常に新しい発見を大切にし、やわらかい頭になることが重要と指摘されていました。


②有限会社 秀吉 取締役営業企画部長 渡邉 里沙 氏
 「地域資源を活かし一次産業を繋ぐ活動」

渡邉先生は、盛岡市の㈲秀吉で飲食事業に携わる一方、食材事業部を立ち上げ、岩手の食材を全国の飲食店に向けて販売するとともに、一次産業を持続可能なものとすることを目指して、オーナー制での食材販売(牡蠣の一本買いなど)に取り組んでいらっしゃいます。

地域資源という点では、岩手にある全てのものが資源であり、岩手の食材等を、どのように人に伝え繋ぎ、活かすかが重要ではないかとの指摘がありました。その意味では、人の繋がり・ネットワークが一番の資源ではないかとのこと。

具体的に、先生は、グリーンツーリズムなどイベントを実施することで、需要者を岩手に呼び寄せ、生産者と直に触れ合ってもらう機会をつくり、岩手の食材の訴求力を高めているそうです。

需要者にとって、生産者と直に接したという体験は、岩手の食材を購入する強い動機付けになっているようで、イベントの開催は、岩手食材のファンをつくり、その価値を多くの人に伝達する機会になっているとのこと。
また、イベントで、岩手県外の方に来ていただき、その方々に岩手の魅力や岩手食材の価値を認識し評価してもらい、対外的に発信してもらうことで、地域資源に「気づき」易くなるのではないかとの指摘がありました。


③やまに農産株式会社 代表取締役 高橋 医久子 氏
 西和賀町における『わらび』への取り組み」

高橋先生は、西和賀町で主に「わらび」等の栽培と観光農園の経営に取り組んでいらっしゃいます。

先生は幼少の頃、全国を転勤していたという経験をお持ちで、西和賀町産の「わらび」が、他の産地の「わらび」と比べて味が良いと気づいたことが、「わらび」に着目するきっかけになったとのことです。

そして、わらびを栽培するようになってから、わらび粉の活用を考えていたときに、地元のお菓子屋さんから100%国産のわらび粉による「わらび餅」がないことを教えてもらったことが、地元のお菓子屋さんと「わらび餅の里づくり協議会」を結成する契機になったそうです。このような農商工連携の取組は全国的にも珍しく、今では毎年、マスコミからの取材があり、「わらび餅」のPRになっているそうです。

高橋先生からは、地域資源に「気づき」、それを「育てること」(いいものを作りPR等すること)が重要との指摘がありました。そして、その「気づき」は、いろいろな人の話を聞き、顧客に喜んでもらえるにはどうしたらよいかという視点によって生まれるのではないかとのことでした。
そして、岩手には、食文化として、それぞれの地域に長い冬を生き抜いてきた知恵があるはずで、その伝統を現代風にアレンジすることで、地域資源をより魅力あるものにできるのではないかとお話されていました。

 

今回の講義では、それぞれの講師の先生方から、地域資源を消費者に対して、どのように訴求していくのか、そのヒントがちりばめられていたように思います。

3人の先生ともにフットワークが軽く、出会った人の繋がり・御縁を本当に大切にされていることを感じました。

 
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○ 6月21日(火)「土壌管理」

①午前−「土壌の基礎」
 岩手大学農学部 応用生物化学科 土壌学研究室 准教授 立石 貴浩 氏

  1. • 土壌は岩石の風化物に腐植が加わり、それに気候や生物が作用してできたもので、地球全体で平均18cmの厚さしかない非常に貴重なものである。
  2. • 土壌はその種類によって性質が大きく異なり、例えば日本全国に分布する黒ボク土は、腐植を多く含むが、リン酸吸収高く、改良しないとススキ位しか育てない。
  3. 土壌動物、土壌微生物には多くの種数があり、有機物の分解や植物との共生など、色々な役割を担っている(「抗生物質」は、もともと土壌微生物が出していたもの)。
  4. 土壌を介して生態系の炭素や窒素の循環が行われているが、世界各地で土壌荒廃が進んでいるのが懸念される。
  5. ※土壌サンプルや土壌生物の回覧、土壌の保水力や色素吸着等の実験により、土壌の物理性・化学性・生物性を分かりやすく説明いただきました。

 


②午後(前半)−「植物の栄養と土」
 農研機構 東北農業研究センター 生産環境研究領域 土壌肥料グループ長 三浦 憲蔵 氏

  1. • 連作障害の原因は、大別して、土壌に蓄積した養分による過剰症と土壌伝染性病害となるが、対策としては輪作や土壌診断に基づく施肥管理等が挙げられる。
  2. • 植物の生育に必要な必須元素は17元素あり、うち炭素、水素、酸素等9元素が多量に必要な要素、更にそのうちの窒素、リン、カリウムは土壌中で不足することが多く、肥料の三要素として施用する。
  3. • 化学肥料単用による土壌化学性、収量の変化、有機質資材15年連用による土壌理化学性、収量の変化等がグラフで説明された。
  4. • 水田の生産力の維持・向上管理として、水稲は稲わら連用あるいは稲わら堆肥や厩肥連用の場合、地力が高まり増収する(窒素とカリウムの過剰蓄積に注意)。
  5. • 大豆は、2年目以降の減収要因に応じた対策が必要で、特に湿害対策や土壌の酸性化対策が必要となる。

 


③午後(後半)−「岩手県における環境にやさしい土壌施肥管理技術」
 岩手県農業研究センター 環境部 生産環境研究室長 島 輝夫 氏

  1. • 県内の耕地には、リン酸やカリが比較的多く蓄積されている(特に野菜畑)ので、減肥できる可能性がある
  2. • 肥料を少なくすることで、コストが削減されるほか、環境へのダメージを少なくする効果もある。
  3. • 環境にやさしい土づくり・施肥技術として、①緩効性肥料の利用、②局所施肥、③有機質資材による土づくり・化学肥料代替、④施肥基準・減肥基準の遵守による適正施肥、などがある。
  4. • 岩手県には、牛糞、鶏糞等の家畜由来有機物をはじめ多様な有機質資源が豊富にあるので、有効活用するとともに、養分の過剰蓄積にならないよう、土壌診断を実施して、肥料の施用量を考えましょう。

 


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○ 6月15日(水) 「農業経営戦略論」

「農業経営と経営者の役割・農業経営の経営戦略」
IAFS副校長 岩手大学農学部 佐藤和憲 教授

  1. <概要>
  2. • 農業経営者は経営理念・目標を行動指針として、戦略や計画を実行に移すことが求められる。特に、金融機関からの資金調達の際には、自らの経営理念に基づいて何をしたいのか、説明出来なければならない。
  3. • 経営理念・目標を達成するために、経営を取り巻く環境を考慮しながら、自らの資源を利用して、経営活動するための長期的な計画・方策、経営活動を行っていくうえでの指針・ルールが経営戦略である。

佐藤教授から、新規就農者の事例を用いて、農業経営者には企業者的能力(使命感・自由な発想など)が必要であるものの、将来にわたって経営規模を大きくしていくためには、管理者能力が必須になってくるということが分かりやすく紹介されていました。経営管理的な素養である簿記や数字の読み方の重要性について、受講者のこれからの気付きに期待したいところです。



午後は2人の先輩から戦略についての考え方を聞き、総合討議を行いました。お二人の経営概要等は次のとおりです。

1. 菊池亮喜(H23アグリ管理士・奥州市)〈蔦の木営農組合 組合長〉

  1. ○戦略
  2.  ①農地を守るため、可能な限り国の交付金を得る対策をとる。
  3.  ②農作業は機械化するが、レンタル機械を活用し、設備投資を極力控える。
  4.  ③集落住民を巻き込んだ共同作業や行事を通して、農村環境の保全に努める。
  5. ○16年程前に公葬地や河川沿いに梅の苗を植栽し、管理しながら花見など行ってきたが、年々良い梅の実がとれるようになってきたため、IAFSの同窓の漬物屋さんに委託して梅漬を作って「瀬谷子梅」としてブランド化を進めている。
     →クロステラスやアネックス川徳等10店舗で販売。
  6. ○梅で収入をと考えた訳ではなく、共同の作業等で地域がまとまることを考えたもの。


2.南幅清功(H25アグリ管理士・盛岡市)〈キートスファーム㈱代表〉

  1. ○戦略
  2.  ①盛岡近郊の利便性を最大限に生かした販売・納入戦略の確立。
  3.  ②緑肥や野菜残滓有機物等を使った土づくり。
  4.  ③減農薬栽培など差異化の実践でお客様から選ばれる野菜作り。
  5. ○借地を中心とした400aの農地を回転させ、効率的な栽培を行っている。
     →輪作、マルチの2作使用、施設化など。
  6. ○系統出荷のほか、市内スーパー等の産直コーナー(35ヵ所)、飲食店への直接販売等、多様な販売ルートを確保してきた。
  7. ○栽培は23品目にも及び、更に加工品にも積極的に取り組んでいる。(トマトジュース、野菜パウダーを利用したロールケーキ、パスタ等)
  8. ○後継者が残るようにするためにも、活性化した儲かる農業を構築してみせる必要がある。
 

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○ 6月8日(水) 「人的管理・労務管理」
  1. ① 午前 − 横山 信英 氏(社会保険労務士・行政書士)
  2. ② 午後 − 葛西 信昭 氏(㈲かさい農産 代表取締役)

第3回講義は、「人的管理・労務管理」をテーマとして、お二方を講師に迎え行われました。
キーワードは、「なぜ?」、「どうして?」。

① 「人事・労務管理から人的資源活用(Human Resources Management)へ向けて」
  社会保険労務士 横山 信英 氏
横山先生からは、農業には機械・施設の導入など、大きな資本投下が必要であり、需要や時勢の流れを捉まえて、時代の先を読み取る力が大変重要であること、そのためには、「なんで?」、「どうして?」という物事の本質を自分の感覚で読み取る力が必要という指摘がありました。
その上で、農業経営者として、研究、企画開発、商品設計、営業、購買、生産・加工・組立、物流、販売、アフターサービスという一連のバリューチェーンの中で、自己の優位性をどの分野に求め利潤を追求するのか、経営理念や経営方針に従って自己決定していく重要性が説明されました。
また、組織を動かしていくためには、経営者として中間指導職能の人材の適正な配置が要であることとの説明があり、特に農業分野では中間指導職能としては、簿記の習得、農業技術に係るある程度の専門性、機械修理の習熟が必須であり、そのことを考えて、将来農業経営者として、人材を適切に配置して組織を運営してほしいとのアドバイスがありました。



② 「戦略的経営へ~人材・組織編~」
  ㈲ かさい農産 代表取締役会長 葛西 信昭 氏
農業とは、どういう仕事ですか?
なぜ、あなたは農業を職業として選択したのですか?

葛西会長から突然、受講生に対して投げかけられた質問です。

「農業とは何か?」、「なぜ農業を仕事としてするのか?」、「そもそも仕事とは何か?」。

答えは、個々人のこれまでの経験や人生観により様々です。
「組織」についても、これと同じことが言えます。

葛西会長からは、経営戦略や人材育成は、その組織の「理念」、「行動指針」、「目的」をどう設定するのかにつきるとの指摘がありました。「なぜその行為・仕事をするのか」の理由付け・答えの全てに、その組織の「理念」、「行動指針」、「目的」が絡んでくるということです。

また、「農業とは何か?」という答えについても、「組織」が農業をどのように捉えるのかによって違ってきます。

葛西会長からは、農業について、食料供給産業であると同時に、障害者の方々の生き生きとした生活・仕事を支える福祉産業の側面や食育といった教育産業の側面があるとの指摘がありました。そして、農業を「組織」として、いかなる定義付けをするのかが起業家的視点であり、世の中の変化に応じて、顧客に対してどのような価値提案ができるのかを常に考えていかなければならないとのことでした。

お二人は、「経営理念」の重要性をともに強調されていて、「なぜ?」、「どうして?」という視点を経営に活かすのが大切ということを御自身の経験等になぞらえて説明されていました。受講生の皆さんによい「化学反応」が生じるのではないかと思っています。

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○ 平成28年6月3日(金) 「農業経営の発展と農業協同組合」

6月3日(金)の講義は、「農業経営の発展と農業協同組合」をテーマとして、お二方を講師に迎え行われました。

  1. 「担い手支援を基軸としたJA事業戦略の再構築と連合会機能の発揮」
    JA全農茨城県本部管理部監理役(茨城県農業総合センター駐在) 関 良男 氏

     関先生からは、JAグループ全体の全事業利益について、1998年を100とすると、2013年には約80になっていること等、様々な指標を用いて現在のJAの経営状況について説明があり、その要因として、消費者サイドの「食の外部化」、実需者サイドの業務用生鮮食品の需要の増加とそれに伴う商品に係る「定(低)価格、定品質、定時、定量」といったニーズへの対応の遅れが課題となっていると指摘がありました。
     JA全農茨城県本部では、課題解決への方向性として、法人など多様な担い手との連携強化、業務用・加工需要に対応できる販売体制の確立が必要と考えているとのことでした。

  2.  地域によって主たる作目がJAごとに異なるので、地域の実情に応じた対応方向の可能性があることを実感させられる講義でした。


  3. 「農業経営の発展と農業協同組合」
    福島大学経済経営学類教授 小山 良太 氏

     小山先生からは、儲かる農業にしないと担い手が確保できないこと、儲かる農業経営とするためには、北海道のように産地形成によって農業者の手取りを増やすパターンと、加工業者・農協等との連携により農業者の手取りを増やすパターンが考えられるとの指摘がありました。
     そして、現在、全国的に取り組まれている6次産業化の推進は、後者のパターンであり、その中でも ①特産品の加工による土産品の販売といった移出代替のカテゴリーと、②日常品の加工等、地域内で消費される移入代替のカテゴリーがあるとのことでした。
     全国的には①の方向による6次産業化の取組が多いところですが、②の方向であれば、地域内の消費者が日常的に必要なものを作ることになるので、顧客を確実に確保できることから、岩手県内で日常の消費量が多い加工品を地域で製造販売する枠組を作ってみてはどうか、との提案がありました。

    ②の移入代替による6次産業化の取組は、新しい視点で、6次産業化のこれからの可能性を感じさせる講義でした。
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○ 平成28年5月26日(木) IAFS第1回講義「農業を巡る内外情勢」

 例年第1回の講義では「農業を巡る内外情勢」と題して、農林水産省幹部の方から講義していただいています。今年は公開講座として以下のとおり開催しました。

○ 日 時 平成28年5月26日(木)13:00~16:00
○ 講 師 農林水産省大臣官房付研究調整官 安岡澄人氏
○ 参加者 受講生、修了生等75名

講師の農林水産省大臣官房付研究調整官 安岡氏公開講座としOBも多数参加

○ 内 容

  1. 日本農業の現状
    1. • 国内生産額(H25 928.9兆円)のうち、農業・食料関連産業分97.6兆円(10.5%)、そのうち農林漁業分は11.4兆円(1.2%)のみ。
    2. • 地方では食品製造業の位置付けが大きく、それを地域の農業が支えている。
    3. • 日本の人口は減少する一方で老齢人口は大きく増加、生産人口は大きく減少する見込み。
    4. • 林水産業就業者数も年々減少、担い手が高齢化(H27 基幹的農業従事者数175万人、平均67.0歳)。
    5. • 農業総産出額も年々減少(H26 8.4兆円)、米の割合が減少し、野菜・畜産が増加。
  2. 世界農業の動向
    1. • 世界の穀物の生産量の増加は今までのような伸び率は期待できない(地球温暖化、水資源の制約、土壌劣化などの不安要素)。
    2. • 世界の人口の増加が止まらない(2010年69億人→2050年96億人予測)
    3. • 日本の人口は減少する一方で老齢人口は大きく増加、生産人口は大きく減少する見込み。
    4. • 中国による大豆、米の輸入の増加(大豆2.9倍 2016/2006(世界の64%)、米2.8倍 2016/2012)
    5. • 穀物等の国際価格の変動(大豆、とうもろこしは2012年史上最高値、翌年以降低下)
  3. 農林水産行政の展開方向
    1. • 平成25年に決定された「農林水産業・地域の活力創造プラン」に基づき、産業政策と地域政策を車の両輪とする農政改革を進めてきた。
    2. • TPP協定では、日本は他の参加国に比べて かなりの農林水産物を守ったと自負。
    3. • 「強くて豊かな農林水産業」と「美しく活力ある農山漁村」を実現するための政策を推進。
      <産業政策>−農村水産業の成長産業化
      ①需要フロンティアの拡大
      農産物輸出の拡大、戦略的インバウンドの推進、新たな国内需要への対応 等。
      ②バリューチェーンの構築
      ファンドの活用、次世代施設園芸の推進、ロボット革命、6次産業化 等。
      ③生産現場の強化
      農地中間管理機構創設、米政策見直し、法人化推進、経営所得安定対策の見直し 等。
      <地域政策>−美しく活力ある農山漁村の実現
      ①多面的機能の維持・発揮
      日本型直接支払制度の創設、農山漁村の活性化 等
  4. イノベーションによる攻めの農業の展開
    ~日本の強みを生かしたスマート農業等の展開~
    1. ① 品種・新技術による「強み」のある農産物づくり
      1. 変化する需要や需要構造、拡大する世界の食の市場規模に対応。
      2. ラーメン用小麦、加工適正のある玉ねぎ、ブランド化、変色しないりんご、多収苗 等。
    2. ② ロボット、IT等を活かした「スマート農業」の展
      1. 超省力、大規模生産(GPS導入等による自動走行等)
      2. 作物の能力を最大限に発揮する栽培(ドローンやIT技術を活用したきめ細かな環境等の制御)
      3. 危険作業、重労働からの解放(アシストスーツ、除草ロボット等)
      ※ロボット等の技術は、動画による紹介で、最新技術がよく分かりました。
ドローンを活用したほ場や作物のセンシング畦畔法面用除草ロボット
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