寒冷バイオシステム研究センター | ||||||||||||||
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>年報 2002 (Vol.5)>V | [ 目次 | II | III | IV | V | VI | VII | VIII ] |
花き開発センター(日影孝志 副所長)、細胞複製研究分野(高橋美穂、斎藤靖史、堤 賢一)
研究テーマ:リンドウの育種および利用に関する研究
エゾリンドウ(Gentiana triflora)は多数の切花りんどう品種が育成されているが、そのF1親株の維持・増殖は、越冬芽形成が困難なためかなり工夫を要してきた。
また、栄養増殖(さし芽等)も同様の理由で実用技術になっていないのが現状である。そこで、私たちはリンドウの冷温による越冬芽形成のメカニズムの解明をリンドウの
育種上の重要なテーマと位置づけ研究している
水稲優良品種開発プロジェクト(寺内良平 主席研究員、清水武史研究員)、生体機能開発研究分野(上村松生)
研究テーマ:いもち病菌エリシターによってリン酸化されるイネの新規タンパク質の探索
私たちは、いもち病菌感染に応答するイネの信号伝達経路に関心をもって研究している。イネ懸濁培養細胞を[32P]正リン酸で標識した後にイネいもち病菌エリシター処理
を行い、抽出したタンパク質を二次元電気泳動で分離してオートラジオグラフィーを行った。その結果、エリシターに応答してリン酸化されるタンパク質スポットが幾つか
検出された。質量分析の結果、これらのタンパク質はイネのヒストン脱アセチル化酵素や熱ショックタンパク質(HSP)と相互作用するタンパク質などを含んでいた。HSPは
ストレス応答に関与することが広く知られており、本実験で見出されたHSPと相互作用するタンパク質もストレス応答に関わっている可能性が高い。現在、このタンパク質の
詳細な解析を進めている。
◇岩手県安代町
花き開発センター(日影孝志 副所長)、細胞複製研究分野(松川和重、斎藤靖史、堤 賢一)
遺伝子組換え技術を応用した次世代型植物の開発に関する研究(独立行政法人農業生物資源研究所 石川雅也)、生体機能開発研究分野(伊藤菊一、上村松生)
研究テーマ:熱産生機能を付加した低温回避イネの開発
低温ストレス耐性作物の作出は、我が国の主要作物であるイネの冷害の克服をはじめ、地球レベルでの安定した食糧供給においても重要かつ緊急の課題である。本研究では、
ザゼンソウより得られた脱共役タンパク質(UCP)をコードする遺伝子を導入したイネを作出し、その熱産生機能等の諸性質を解析することを目的とする。これまでに、SfUCPa
を導入したイネの作出に成功し、その形質の解析を継続している。
◇バイオテクノロジー等先端技術開発研究・21世紀グリーンフロンティア研究:イネ・ゲノムの有用遺伝子の単離及び機能解明
全体課題名:組換え体を用いた有用遺伝子の大規模機能解明と関連技術の開発
担当課題名:RNAiを用いた選択的mRNA分解による遺伝子機能解析
斎藤靖史(細胞複製研究分野)
協力分担:(独)農業技術研究機構・作物研究所稲研究部遺伝子技術研究室
イネゲノムの塩基配列解析が2002年にも完了する勢いで進められている。塩基配列情報から遺伝子のアミノ酸配列を推定することができるが、それだけで遺伝子機能を解明
するには限界があり、機能不明遺伝子の有効利用は難しい。
本研究では、イネゲノムの成果で得られた有用遺伝子の機能解明を進めるため、ベクター開発や関連した基礎的データの蓄積を行って、RNAi技術を利用した効率的なイネ
遺伝子機能破壊法の開発と機能解析法としての適用を図る。
◇生物系特定産業技術研究推進機構(生研機構):新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業
研究テーマ:植物の耐寒性形質に関わる分子機能の複合的解析とその応用