2011年のイベント情報
第1回 セミナー
ネコの本能行動を制御する嗅覚システムを紐解く
岩手大学 特任准教授 宮崎 雅雄
2011年5月10日 17:00-18:15
会場 農学部4番講義室
参加申込不要
我々に身近な動物は何かと問われれば、多くの人が伴侶動物としているイヌやネコをあげるであろう。イヌやネコもマウスなど他の動物と同様に様々なにおいやフェロモンを種内コミュニケーションの重要な媒体として利用していると考えられている。しかし実のところその詳細については、驚くほどに分かっていない。そこで我々は、「フレーメン」と呼ばれる、ネコが同種の尿を嗅いだ時に口を半開きにして恍惚とした表情を提示する本能行動に着目して、ネコの嗅覚システムを個体レベルから分子レベルまで理解を目指している。本セミナーでは、フレーメンを誘起するフェロモンの検索やその受容機構など、これまで得られた研究成果と今後の展望について発表させて頂く。
第2回セミナー
オオクチバスの性フェロモンとその誘引効果を利用した防除技術の開発
藤本泰文 (財)宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
2011年9月22日 16:30-17:30
会場 農学部北講義棟1階2番教室
参加申込不要
特定外来生物であるオオクチバス防除のため、バスを誘引して捕獲する駆除技術の開発に取り組んできた。バスから採取した数種の体液を比較した結果、繁殖期のオスから採取した胆汁に、繁殖期のメスに対する誘引効果を確認した。この誘引効果は繁殖期のメスに対してのみで、バスのオスや他魚種(コイ、フナ類)に対しては確認されなかった。これらの結果は、繁殖期のバスのオスの胆汁の中には、同種のメスを誘引する性フェロモンが存在することを示す。胆汁中のフェロモン物質を特定することで、新たな防除技術が実現する可能性が出てきた。
第3回セミナー
フェロモン受容体とフェロモン受容機構の多様性
山岸公子 東京都医学総合研究所・ヒト統合脳機能プロジェクト
2011年12月12日 16:30-17:30
会場 農学部1号会議室
参加申込不要
フェロモンは、匂いとしては認識されない匂い物質であり、同種他個体の情動や生理機能に作用して、性行動や縄張り行動など、種の存続や個体の生存に関わる様々な行動を引き起こす。フェロモン受容体の発見により、フェロモンの受容認識機構を分子レベルで解析することが可能になった。今回は、脊椎動物のフェロモン受容体に焦点をあて、現在までに得られたフェロモン受容体に関する知見を易しく解説すると共に、様々な脊椎動物における多様なフェロモン受容機構の一端をお話したい。