エキゾチック動物医療専門診療科について

エキゾチック動物医療専門診療科は現在休診中です

 

担当獣医師からのメッセージ

エキゾチック動物の獣医学は、日進月歩で、国内では、犬猫の臨床レベルは世界の水準に達していますが、エキゾチック動物の臨床レベルは発展途上にあります。例えば、ウサギのメスは、4歳頃を過ぎると、子宮の病気にかかる個体が増えてきますので、繁殖の予定がないならば、避妊手術をお勧めします。また、セキセイインコで感染して発症すると致命的になり得るマクロラブダス(メガバクテリア)は投薬によって治療することで助けられる病気ですので、家庭にお迎えされた後、動物病院で健康診断を受けることをお勧めします。このように、エキゾチック動物も、積極的に診断治療することで、ウサギなら2、3歳以上、寿命はまだまだ延びて一緒に暮らせる時間は長くなると信じています。彼らの生活の質(QOL)の向上のためにも、適切な獣医療を受けていただくことを願っております。

 

診療対象

ヒト以外のすべての動物種(ただし法令を遵守した飼育個体に限る);各種相談に応じます。

 

診療方針と診療料金

犬猫以上に、デリケートで、症状が進行して病気に気づくことも多いことから、受診時には、相当弱っていたり、命に関わる状態であることもあります。観察中に容態が急変してしまう可能性もあります。
診療では、個体の状態に合わせ、十分な問診と注意深い観察から始め、診断のために必要な検査をご提案します。家庭での飼育管理の状況(ケージ、飼料や温湿度管理など)を十分に聞かせていただき、飼料、便や尿などを持って来ていただければ、診断のために貴重な情報を与えてくれることがあります。治療は、診断に基づいた適切な治療方針を提示させていただき、飼い主様にご検討いただきます。エキゾチック動物の診察(特に初診)では、犬猫よりも問診や検査に時間を要し、取り扱いにも繊細さと技術を要しますので、診療料金には、エキゾチック動物診療加算が加わりますのでご了承ください。

 

診療実績

哺乳類:ウサギ、ハムスター、モルモット、デグー、シマリス、ハリネズミ、フェレット、フクロモモンガなど、鳥類:各種インコ、ブンチョウ、クジャク、ジュズカケバト、猛禽類など、爬虫類:リクガメ、イシガメ、クサガメ、ミシシッピーアカミミガメ、フトアゴヒゲトカゲ、グリーンイグアナ、ヒョウモントカゲモドキ、ヘビ類、両生類:アホロートル、アフリカツメガエル、ツノガエル類他

 

診療内容

伴侶動物診療に準じた高度医療;より安全で効果的な麻酔管理、CT・MRI・エコー・内視鏡などによる画像診断、生検と病理診断、エネルギーデバイスなどの先端機器を活用した手術、手術時の積極的な血管・気道確保や人工呼吸管理

 

手術実績

ウサギ、ハムスター、モルモット、デグー、シマリスの麻酔下歯科処置、ウサギの手術(子宮腺癌、胃切開、膀胱結石、脊椎骨折など)、ウサギの胸腺腫の放射線治療、ハムスター・モルモット・デグーの手術(腫瘍、開腹手術など)、ハリネズミの眼球摘出や抜歯、鳥の手術(腫瘍摘出、骨折整復、断翼、開腹手術など)他

 

麻酔

エキゾチック動物は、デリケートで、人に触られることで非常にストレスを受ける個体も多いため、動物と人の安全のため、鎮静や麻酔が必要になることも多くなります。本診療科では、エキゾチック動物に対し、必要に応じ、積極的に鎮静や麻酔を活用しています。最新の研究成果に基づき、種ごとに、安全かつ効果的な鎮静・麻酔方法を選択し、研究開発を進めています。また、物を言えず、痛みを隠そうとする性質もある動物ですから、痛みの治療や手術時の鎮痛を適切に施すように取り組んでおります。

 

CT検査

私たちの研究(2018年)では、エキゾチック動物の疾病診断に、CT検査が高い有用性を示すことがわかっています(CT検査の有用率:約9割⇔レントゲン検査の有用率:約4割)。レントゲン検査では、わからない異常でも、CT検査によって検出可能な場合があり、早期診断、正確な治療と治療成績の向上につながります。CT検査は、無麻酔でも実施できることが多いため(7割以上)、安全かつ非常に有効な診断ツールとなります。例えば、ウサギの脳などに感染して斜頚や運動失調などの中枢神経症状を起こすエンセファリトゾーン症の診断には、中耳・内耳の細菌感染と鑑別するため、レントゲン検査では病変の検出が難しい場合が多く、CT検査が必要になります。

 

エキゾチック動物とは?

エキゾチック(Exotic)という言葉の意味には、「外国産の」、「外来の」、「珍しい」あるいは「新種の」などが含まれます。つまり、エキゾチック動物(Exotic animal)とは、「外国産の動物」ということになります。
本診療科では、エキゾチック動物を「伴侶動物として家庭で飼育されている犬猫・家畜以外の動物」と定義し、診療対象としています。
一般的な種としては、ウサギ・ハムスター・モルモットなどの小型哺乳類やセキセイインコ・ブンチョウなどの小鳥類が当てはまります。すでに伴侶動物として、社会に受け入れられ、継代繁殖されて生産と流通が安定し、飼育に必要な技術や飼料・物品が整備されている種が主な対象種になります。野生動物や動物園動物は、対象に含みません(動物園水族館動物診療科の対象となります)。

 

エキゾチック動物の飼育に潜む課題

犬や猫の飼育について、放し飼い・遺棄や多頭飼育などによる野生化・外来種としての生態系への影響や動物福祉上の課題が大きな社会問題となっています。
また、エキゾチック動物についても、遺棄や逃亡による野生化・外来種としての生態系・作業への影響や不適切な飼育管理・十分な医療を受けられないことによる動物福祉上の問題が起こっています。
飼育される動物は、与えられた飼育環境がすべてであり、動物は飼い主を選べません。したがって、飼育する前に一生の付き合いを十分考え、適切な飼育管理方法を十分準備して、動物を家庭に迎え入れることが絶対です。
以下に、近年、問題になっているエキゾチック動物の飼育に潜む課題を整理し、このようなことが起こらないように、社会認識の向上と動物の貴重な命の取り扱いを望みます。
特に、テレビ番組や動物園水族館などで一目惚れして十分な知識を得ないで命を衝動買いするようなことのないようにしましょう。また、野生動物の国内種は、その飼育が法律で原則禁止されていますが、一方、外国産の野生動物は、国内に輸入されて販売流通していることがあり、本来は、個人で飼育すべきでないということを強調しておきます。

 


▲ このページの上部へ

エキゾチック動物医療専門診療科