医療にも役立つ昆虫の知恵
農学生命課程
農学生命課程
応用昆虫学研究室
鈴木幸一 教授
「コガタルリハムシ」は6月〜4月という長い期間を土中にもぐって休眠する昆虫です。温度・湿度が高くカビや細菌が活発なこの時期になぜ休眠するのか? 鈴木教授の研究室では、休眠中のコガタルリハムシの体内で「休眠特異ペプチド=DSP」が合成されることを発見。DSPがカビの生長を抑える働きと、神経を遮断する働きを持つことを解明しました。
また、日本原産の蛾「ヤママユ」からは、ヤママリンという休眠物質が発見されています。従来のガン治療は病原を攻撃するものが中心でしたが、これらの物質を活用してガン細胞を「眠らせる」「鎮痛する」ことができれば、副作用の心配もなく病気と付き合うことができます。
地球上の昆虫の数は実に100万種あり、この地球最大の未利用資源は未知なる力の宝庫です。グローバルな次世代産業として、また地球環境を考える上でも「昆虫に学ぶ」ことは大きな可能性を秘めた研究分野といえるでしょう。