天然資源から人間に有用なバイオプローブを探し出す
応用生物化学課程
応用生物化学課程
天然物生化学研究室
木村賢一 准教授
豊かな自然に恵まれた岩手県では、山や海の幸に事欠きません。農学部では、こうした岩手の天然資源を人間の暮らしに生かす研究も行われています。
木村賢一准教授の天然物生化学研究室では、岩手の植物・食品など数多くの天然資源の中から、「がん」などの生活習慣病に有効な機能性物質(バイオプローブ)を見つけ出す研究を行っています。発見した物質を用いて生命現象を解析するとともに、実用化も目指しています。
これまでに約700種類もの天然資源を調べてきた研究チームでは、研究室が開設された2001年以降、製品化が期待できる特徴的なバイオプローブを各種発見しており、7件についてはすでに特許申請も行われています。なかでも、山菜のモミジガサには、抗がん作用のあるバイオプローブが発見されており、注目が集まっています。
岩手では「シドケ」と呼ばれ、身近な山菜の一つであるモミジガサに発見されたバイオプローブは「ビサボラン型セスキテルペンのエンドバーオキサイド」という物質で、がん細胞にアポトーシス(プログラム細胞死)を引き起こすことが確認されました。医薬品やサプリメント、特定保健用食品、機能性食品などへの応用が待たれているほか、産地である地域の活性化にもつながるのではと大きな期待が寄せられている研究です。 豊かな自然に恵まれた岩手県では、山や海の幸に事欠きません。農学部では、こうした岩手の天然資源を人間の暮らしに生かす研究も行われています。
「何百種類調べて、実際に成果のあるものはそのうちのいくつかしかありません。根気のいる研究ですが、宝探しのようにワクワクできる楽しい研究なんですよ」と木村准教授
岩手ではシドケとしておなじみの山菜「モミジガサ」を乾燥させたもの