平成20年岩手・宮城を襲った未曾有の土砂災害に学ぶ
共生環境課程
共生環境課程
森林科学コース
砂防研究室
井良沢道也 准教授
2008(平成20)年6月14日の「岩手・宮城内陸地震」では、崩壊や地滑りが起きた箇所が約3500カ所、全体で1億3千万立方メートルもの土砂が流出するというすさまじい土砂災害が発生しました。
土砂災害を防ぐとともに渓流環境の保全や森林の再生に関する諸研究を行う井良沢道也准教授は、岩手・宮城内陸地震発生後、研究室の学生とともに被災地の土砂の採取と土質調査を行いました。震源周辺は新第三紀と呼ばれる非常に新しい火山性地質で、被害が拡大した原因の一つと考えられています。研究室では、地形・気象条件・植生などの各種データと関連づけながら引き続き調査を進めています。
厳密なデータ収集で研究がさらに進めば、将来再び土砂災害の危険性が高まったときに、災害の場所や規模をある程度予測することが可能になると考えられています。井良沢准教授は「災害が起きた地域だけでなく、同様の地質を持つ他地域にも応用できるデータにして予測技術を確立していきたい」と目標を語ります。
台風や集中豪雨の頻発、北国特有の降雪、大規模地震など今後人類が直面するであろう気候変動や災害に、人々は強い関心を寄せています。自然の力にいかに対処し共生していくか、この研究はその方向性を教えてくれるはずです。
国内のここ100年の歴史の中では最大規模の土砂災害となった「平成20年 岩手・宮城内陸地震」の被災現場
砂防学は、防災エンジニアなど各方面から人材が求められており、社会的に注目の集まる研究分野