生態系のバランスを保ちながら、森をつくり、育てる
共生環境課程
共生環境課程
環境樹木・造林学研究室
橋本 良二 教授
この研究室では、環境と樹木との関わりを考えながら森をつくる、という研究をしています。たとえば、造林により針葉樹の割合が増えてしまった森を、針葉樹と広葉樹が混交する森に変えたり、外来種で生命力の強いニセアカシアを伐採し雑木林をつくるなど、森をなるべく「本来の姿」に近づける取り組みです。一方で、企業からの要請を受け、自動車工場の敷地に新しく森をつくるという取り組みも行っています。
もうひとつの研究は、樹木の寿命診断と生理研究です。木の中を流れる水(樹液流)の速度を測定して木の乾燥度を調べ、木の寿命や健康状態を推測します。乾燥しているということは、その木がストレスを受けているということ。根から十分な水が吸い上げられず乾燥してくると、菌が繁殖しやすくなり、やがて根は腐っていきます。
しかし、寿命を迎えた木を治療したりすることはほとんどありません。どんな大木にも寿命があります。その寿命を受け入れ、次の世代に命を引き継ぐのも「本来の姿」ではないかと考えているからです。過保護にしすぎないように森を守る。そのバランスを保ち、樹木や森のあるべき姿を考えながら、森づくりをしていきたいと思っています。