種類や個体差の大きい動物に適正な薬を
獣医学課程
獣医学課程
獣医薬理学研究室
古濱 和久 教授
私は以前、製薬会社で創薬研究をしていました。授業では動物薬理学や毒性学、医薬品化学など薬剤の基礎的な部分を教えていますが、この研究室では、薬剤からみた動物の個体差、種差についての研究をしています。ラットから馬や牛などの大きな動物までを使って、薬を投与した場合の血中濃度を計ると、体の大きさや動物の種類によって、血中濃度の違いや、薬がよく効いたり効かなかったり、副作用が現れたり、といった差が現れてきます。この差がなぜ現れるのかを探り、薬剤の適正使用につなげる、というのが研究の目的です。
また、抗生物質など残留性のある薬を投与した場合、牛や馬などの動物は人間の10〜20倍の量の薬を使うため、それが排泄されることで土壌汚染にもつながります。そのため、少量、しかも短期間ですむような、効率的かつ効果的な薬の投与について研究、指導をしています。
動物は、たとえば犬だけでもたくさんの種類があり交配も複雑なため、個体によって薬に対する反応がそれぞれ違います。将来的には、個体ひとつひとつに合わせた薬の適正使用ができるようになれば、と考えています。