タンパク質から、生命の神秘をさぐる
寒冷バイオフロンティア研究センター
寒冷バイオフロンティア
研究センター
寒冷発育制御研究分野
西山 賢一 教授
私は2010年の1月にこのセンターに赴任し、大腸菌におけるタンパク質の膜輸送に関する研究をしています。
私たちの体を構成している重要な物質・タンパク質がちゃんと働くためには、適材適所に配置される必要があります。タンパク質は細胞質の中でつくられますが、なかには細胞質を包んでいる膜を通過して、細胞質の外や膜の中で働くものもあります。しかし細胞質と外の境目である生体膜はそう簡単に通過することができません。では、細胞質の外で活躍するタンパク質はどうやって膜を通過しているのか。その輸送の課程やしくみを、大腸菌を使って明らかにしていくのがこの研究の目的です。タンパク質はほかのいろんな研究にも関わってきますから、この研究の成果をほかの研究に生かすことができます。そういった「研究のための研究」という側面もあるのでは、と思っています。
また、膜は基本的に油でできていますから、温度が下がると固くなります。もしこれが作物の成長を妨げているとしたら、膜の通過のしくみを解明し「温度と生命現象」の関係を明らかにすることで、低温に強い植物をつくることができるかもしれません。これは、寒冷バイオフロンティア研究センターの重要な研究テーマのひとつとなっています。