日本ではここだけ 猫の腎移植手術と臓器保存液の研究
獣医学課程
獣医学課程
小動物外科学研究室
片山 泰章 助教
私は主に、猫の腎移植についての研究を行っています。もともとは獣医として動物病院で働いていましたが、その後アメリカの大学院に留学し、猫の腎移植に出合いました。アメリカではわりとメジャーな治療法ですが、日本ではほとんど例がありません。特に現在、
腎移植を行っている大学は岩手大学だけです。
猫の腎移植の難しさのひとつに、ドナーの問題があります。放置すれば、腎臓だけ移植してあとは安楽死、という事態も起こりうる。だから今は、岩手大学にいる役目の終わった実験動物の腎臓を移植し、その猫も引き取って飼ってもらう、というルールを定めています。検診には2匹一緒につれて来てもらい、移植された猫の術後の経過はもちろん、ドナー猫もきちんと飼育されているか確認しています。
また、もうひとつ研究を進めているのが「臓器保存液」です。現在、猫の腎移植は移植する方とされる方、同時進行で手術をしなければなりません。しかし臓器が保存できるようになれば、手術時間をスライドすることができ、1回の手術に必要な人員が少なくて済みます。いずれは、保存液を人にも応用できるようになれば、と考えています。