土壌の力を微生物が引き出す、共生の仕組みと可能性を探る
応用生物化学課程
応用生物化学課程
土壌学研究室
立石 貴浩 准教授
ここでは、土の機能維持や保全、荒廃・疲弊した土壌の修復についての研究をしています。
たとえば、植物の根に住み着いて土壌の中にある養分・リンを吸収し、それを植物に与える働きをするアーバスキュラー菌根菌(AM菌)に着目。植物とAM菌をリンの少ない荒廃地に導入し、植生を回復させる研究を進めています。また、肥料に使うリンはこれまで中国などから輸入してきましたが、リンも貴重な限りある資源であるため、今後も同じように輸入し続けることは難しくなってきます。そこで、AM菌の働きを利用し、輸入に頼らず日本の土壌に含まれているリンを有効活用できないだろうか、とその方法を探っています。
ほかにも、土壌の堆肥化の過程で蒸発してしまう窒素を、堆肥内にとどまらせる役割を持つキノコについての研究、産業廃棄物の不法投棄による汚染物質が植物や土壌微生物に及ぼす影響を数値化する研究などを行っています。
土の中にはいろんな生物が住んでいて、有機物を分解したり、植物に必要な養分の化学的変換を担っています。これらの働きを観察し、荒廃地の回復や農地での応用に役立てていきたいと考えています。