食品の新素材、製造法および品質評価法を開発し、安全でおいしい食品を効率よく作る
応用生物化学課程
応用生物化学課程
食品工学研究室
三浦 靖 教授
全国レベルから地域レベルでの食品産業界のニーズに応える研究と、東日本大震災からの復興に関する研究、そして、自ら新技術を提案するシーズ型研究に取り組んでいます。シーズ型研究の一つに、嚥下困難者対応の固体食品の開発があります。高齢者(65歳以上)の死因別死亡率の第3位が肺炎です。そして、食べ物等が肺に入って起こる誤嚥性肺炎がその7割以上を占めると言われています。この誤嚥を防止するために、嚥下機能が低下した高齢者向けの食べ物の多くはゼリー状になっています。しかし、ヒトは視覚で外観、嗅覚で匂い、聴覚で咀嚼音、味覚で味、体性感覚(触覚、温度覚)で食感と温度を知覚して美味しさを総合的に判定していますので、高齢者でも安全に食べることができる固体食品の開発を進めています。また、東日本大震災からの復興に関する研究では、水産加工技術の革新を目指しています。省資源かつ省エネルギーで高品質な加工食品を製造できる技術を開発し、それを製造現場に普及・定着させることによって、水産業復興に貢献したいと考えています。
私たちの研究では、加工・測定・解析手法や、必要があれば加工・測定装置を作るところから始めますので、ある意味では先端研究なのですが、日が当たらないことが多いです。食べ物は安全で、美味しく、適切な価格であることが当たり前になっていますが、誰かが努力をしているからこそ、それが実現されています。私たちの研究は「黒子」のようなものですが、やりがいを持って取り組んでいます。