世界中を悩ませている寄生虫 肝蛭から動物を守る
共同獣医学科
共同獣医学科
獣医寄生虫学研究室
関 まどか 助教
寄生虫の中でも、肝臓に寄生する肝蛭(カンテツ)という虫にフォーカスを当てて研究しています。肝蛭は動物の胆管に住んで、胆管を詰まらせてしまう寄生虫です。日本ではだいぶ減ってきているのですが、世界中では被害かなり広がっていて、大きな問題になっています。日本にいる肝蛭には単為生殖する特徴があります。オスの機能は持たず、メスの機能だけで増殖するので、とても効率よく増えてしまいます。遺伝子を調べたところ、単為生殖する肝蛭は中国で生まれたことがわかりました。今は世界中にどれくらい広がっているかを調査しています。これからどうやって感染を防ぐのか、なぜ単為生殖できるのかを解明し、薬を作って効果的に予防することが私の夢です。肝蛭はゲノムが明らかになっていないので、研究が進められない状態です。私たちのチームでは世界各地から集めた寄生虫のサンプルがあるので、そこからゲノム比較をして解明していければと考えています。
私はこの研究室の卒業生で、この研究をしたくて母校に戻ってきました。動物のお医者さんになりたいと思って岩手大学に入ったのですが、講義で感染症について学び始めたら興味が広がり、夢中になってしまいましたね。私のように大学に入ってから志望を変えることができるのが岩手大学の良いところだと思います。私も肝蛭の研究を中心に仕事をしていますが、獣医学は本当に幅広く、臨床や公衆衛生など、たくさんの仕事があります。学生の皆さんにはそれぞれの分野を知り、視野を広く持って進路を選んでもらいたいと思いますね。