植物の特性を解明・活用して 世界の食糧生産を向上させる
応用生物化学課程
応用生物化学課程
植物栄養生理学研究室
河合 成直 教授
イネ科の植物が根から分泌するムギネ酸について研究しています。このムギネ酸は根から分泌されて、土の中の鉄と結びついて、鉄分を吸収させるアミノ酸の一種です。私の前任の教授が、世界で初めて発見し、農学会最大の賞である日本農学賞を受賞した研究を引き継いでいます。世界の主食はみんな稲の仲間。今、世界中の耕地が減り問題になっています。不良な土地ではムギネ酸が出る植物がよく育つのか、ムギネ酸以外でもどのような養分が足りなくて食料ができなくなるのかなどを解明して、世界の食料生産を向上することが究極の目標です。植物の持っている力をうまく利用すれば、もっと食糧生産ができると考えています。
近年は三陸復興支援として、土壌を良くするための植物栄養肥料学にも取り組んでいます。津波被害にあった田畑に、山の土を入れたことで、すごく土が痩せている状態なので、有機質肥料を使って元通りにすることを目指しています。岩手県では鶏糞が大量に余っているので、利用できればと思っています。
一人の教員ができることは限られていますが、日本の社会を作る時に少しでも役に立つ人材を育てたいと思って指導しています。先日も卒業生が開発したモヤシの新製品を持って来てくれました。モヤシのように実際に生活で接するものが美味しいと、人々は豊かな生活だと感じることができる。そういうところを支えることのできる人材を育てていきたいですね。