|
研究室・教員一覧
比較薬理毒性学研究室比較薬理毒性学は動物の疾病に対し、予防、診断および治療を“薬”を通して学ぶ学問です。その中には薬の有効性、代謝、安全性、適正使用や有害(副)作用の解析、環境への残留性も含まれます。また、全ての動物種を対象にしていますので非常に広範かつ多様な学問であるとも言えます。当教室で最も力を入れているのは獣医師として基本となる動物の保定、投与あるいは採血です。興味がある方は 是非来てみませんか。 准教授:鈴木 忠彦(すずき ただひこ)研究内容hydroxyfura誘導体の薬理作用について研究しています。 担当科目獣医薬理学、獣医薬理学実習 メール:ts2668(at)iwate-u.ac.jp 教員研究室の所在:3号館3階327号室 hydroxyfuraの誘導体の薬理作用 ピラジン化合物は、生薬センキュウの有効成分として抗炎症作用、抗血小板・抗血栓作用を持つことが知られています。他方、この物質は私達の研究から納豆の主要香気成分であることも明らかにされ(Sugawara et al., 1998)、そのうちのテトラメチルピラジン、ジメチルピラジンには、ホスホジエステラーゼ阻害を介する抗血小板作用、鎮痙(平滑筋抑制)作用があることが最近の研究で明らかになり(Suzuki et al., 2000, 2001)、また強心効果まで認められました(Suzuki et al., 2001)。さらに興味あることに、ジメチルピラジンには動物の親子の認識に関係するフェロモンとしての役割がありました。すなわち、この匂い成分は動物の嗅覚システムに特有の鋤鼻器(ジョビキ)に存在するプリン受容体(Gタンパク質)を介して、ごく微量でも認識されていました。 どうやら、ピラジン化合物の構造の一部がプリン構造(ATP、ADPなど)に類似しているため、生体内のプリン化合物の作用に拮抗することが原因となっているらしいのです。生体内でのATPやADPの生理作用は必ずしも明らかにされているわけではありませんが、この化合物をツールとして解明が促進されるでしょう。このように、我々岩手大学の研究グループが納豆の香気成分から発見したジメチルピラジンは、系統発生学的に初期段階の情報伝達の中心的役割を担っており、そのことが偶然にも伝統的食品の香気成分として現代人に摂取されていることが判りました。
|