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作物学研究室研究室ホームページ イネを中心とした食用作物を対象に、高品質で生産性が高い作物やそれらの品種が備えるべき生理・生態・形態的特性とその遺伝的背景を明らかにするとともに、異常気象に負けない作物を育てるための基礎研究を行っています。 准教授:下野 裕之(しもの ひろゆき)研究内容異常気象に負けない作物を育てるための機構の解明、冷害、高CO2下での多収性、湿害、直播、量的遺伝子座について研究しています。 担当科目食用作物学、作物学実験、情報処理演習 メール:shimn(at)iwate-u.ac.jp 教員研究室の所在:2号館1階104号室 異常気象に負けない作物を育てるための機構の解明 ここ岩手県が位置する寒冷地域では、賢治の時代以前から今日まで、やませに代表される低温が作物を栽培する上の大きな制限になっています。将来にわたって安定して作物を生産するために、「どのような品種特性を持つのがよいのか?」、「なぜその特性が関わるのか?」、圃場での試験を中心に解析しています。 (1)大気中CO2濃度上昇下での寒冷地イネの収量増加に関与する遺伝子領域の探索 産業革命以降、私たち人類は、地球が長い年月をかけ徐々に蓄積した化石燃料を爆発的に消費し、大気中CO2濃度は過去数万年にないほどの高いレベルに達しています。高CO2濃度は、環境ストレスのない条件下において、光合成・成長を促進し、収量を増加させますが、その一方で、異常低温などの温度ストレスへの耐性を弱めることが明らかとなっています。本研究では、将来予測される高CO2濃度かつ温度の変動の大きい環境下において、高い収量性を達するのに必要な特性、またそれに関与する遺伝子領域の推定を行い、将来の育種選抜の指標などに役立てたいと考えています。 (2)幼穂形成以前の低温がイネの穂ばらみ期耐冷性に及ぼす影響の解明 寒冷地でイネを栽培する上で大きな問題となっている穂ばらみ期の低温による不稔発生のメカニズムの解明です。これまで同じ冷害の強度にも関わらず、例えば施肥量や植付け方角などにより不稔発生の程度が異なる事例が多く報告されてきました。私たちは、その要因の一つとして、幼穂が分化する前の低水温が穂ばらみ期耐冷性を弱めるという知見を得ました。そのメカニズムを明らかにするとともに、例えば幼穂形成以前の水温を人為的に制御することで、耐冷性を高めることができるかもしれません。将来の技術化に向けた基礎研究を進めています。 雨にも、風にも、異常気象にも負けない作物を育てるためには?を問い続けます。
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